偶然同じ地方出身の26歳と、地元トークで距離が縮んだ夜
ペアーズで出会った経理事務のユマ(26)。上京して数年、標準語の鎧を張って暮らしてる子だった。プロフのコミュニティでたまたま同郷だと分かって、地元の店の話になった瞬間、本人も気づかないうちに訛りがぽろっと漏れた——その夜の距離の縮み方を書いたペアーズ体験談です。
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今回はペアーズで会った、経理事務のユマ(26)の話。先に書いとくと、金曜の夜に会って、二軒流れて、いい雰囲気になってお持ち帰りまで行けた。ただこの回でいちばん覚えてるのは、最後のことじゃなくて、序盤のあるワンシーンなんだわ。地元の話になった瞬間、それまでカチッとした標準語で喋ってたユマの口から、ふっと訛りが漏れた。本人もたぶん気づいてなかった。その一瞬の崩れ方が、この日全部だった気がする。
ペアーズの体験談は前にも書いてて、生命保険の営業をやってるカレンの回と、在宅Webデザイナーのフリーランスのサエの回がある。カレンが「会話のプロ」で、サエが「一人時間の人」だとしたら、ユマは「上京して、地元を隠してる人」だった。同じペアーズでも、出てくる子の背景が毎回ぜんぜん違うから、サンプルとして読んでもらえると思う。マッチングアプリで偶然同郷の子に当たったらどうなるのか、っていう一例として。
プロフのコミュニティに、知ってる地名があった
ペアーズ体験談の入口、現場での空気、会った後の動きまで。場面ごとの温度を拾いながら、アキの現場感をそのまま読む記事です。
ユマを見つけたのは、ペアーズのコミュニティ経由。ペアーズって、趣味とか出身地とかでひもづく「コミュニティ」が無数にあって、プロフに並んでるそれで相手の素性がなんとなく透ける。俺はわりと色々入れてるんだけど、その中に出身地のやつもあった。地元の県の名前のコミュニティ。深い意味はなくて、なんとなく入れてただけ。
で、その並びでユマが出てきた。ユマも同じ出身地のコミュニティに入ってた。写真は三枚。一枚目がカフェで横向いてる自然な感じの、二枚目が観葉植物の前で笑ってるやつ、三枚目が手元のコーヒー。盛りすぎてなくて、堅実そうな子だなと思った。自己紹介がまた、やけにきっちりしてた。
- 都内で経理の仕事をしています。数字とにらめっこの毎日です(笑)
- 休日はカフェ巡りか、家で映画を観ています
- 落ち着いた方とゆっくりお話しできたら嬉しいです
- マッチングアプリは慣れていないので、優しい方だと安心します
文章が、丁寧。丁寧すぎて、ちょっと固い。経理の人だからかな、と思った。で、いちばん俺の目を引いたのは、文章の中身じゃなくて、入ってるコミュニティのほうだった。出身地のコミュニティに加えて、地元のローカルなやつにもいくつか入ってた。県外の人はまず知らないであろう、地元の駅名のコミュニティとか。あ、この子ガチで地元同じだ、と思った。

アキさん、出身地のコミュニティとか入れてたんすね。

なんとなく入れてただけ。普段は何の役にも立ってない。けど今回はこれが効いた。
マッチして、最初のメッセは俺から送った。普通こういう時って「はじめまして、よろしくお願いします」から入るんだけど、地元のコミュニティ見たあとだったから、いきなりピンポイントで地元ネタを振った。

マッチありがとうございます。てか、◯◯(地元の駅)のコミュニティ入ってます?俺、あの辺出身なんすけど。
え、うそ。ほんとですか?まさかこんなとこで地元の人と当たると思わなくて(笑)


ですよね。俺もびっくりした。
一通目から、もう「はじめまして」感がなかった。地元が同じってだけで、最初の壁がほぼ無い状態でスタートできた。
標準語が、やたらきっちりしてた
メッセを続けて、最初に気づいたのは、ユマの文章がとにかく整ってることだった。経理だから、っていうのもあるかもしれないけど、それ以上に、なんか「崩さないように気をつけてる」感じがあった。語尾がちゃんとしてて、絵文字も控えめで、誤字もない。地元が同じってバレてるのに、文章だけは妙によそ行きのまま。

ユマさん、上京どんくらいすか?
もう五年くらいになります。最初は何もかも違って、けっこう大変でした


五年か。じゃあもう東京の人すね。
いやいや、未だに馴染めてないです(笑)でも、訛りはもう出さないようにしてます

「訛りはもう出さないようにしてます」が、サラッと出てきた。出さないように、っていう言い方が引っかかった。出ない、じゃなくて、出さないように。意識して標準語を保ってる、ってことだよな、と。そこから察するに、たぶん上京した頃に訛りで何か言われた経験でもあるのかな、と勝手に想像してた。聞かなかったけど。

え、訛り別に出してもいいじゃないすか。なんで隠すんすかね。

わかんねえけど、東京来た最初に、なんか言われたことあんのかもな。俺は出してても可愛いと思うけど、本人は気にしてんのかもしれん。
メッセは、地元の話になると一気に転がった。あの店まだある、あの川沿いどうなった、地元の方言クイズみたいなのを出し合ったり。共通の話題があるって強い。普通のアプリのやり取りだと、序盤って探り合いで会話が浅いんだけど、地元ネタは無限に出てくるから、勝手にラリーが続いた。何往復かして、デートの話になった。
地元の話、久々にしすぎて、なんかちょっと懐かしくなってきました


じゃあ続きは会って話しません?地元の飯の話とか、文字だと足りん。
あ、いいですね。じゃあ…金曜とかなら(笑)

アポは金曜の夜、19時で決まった。LINEはアポが固まってから交換した。交換のタイミングとか最初の文面で迷う人は、LINE攻略のまとめに症状別で書いたんで、そっち見てくれ。
店で「地元の店、まだある?」って聞いた瞬間
金曜の19時、待ち合わせの駅前。現れたユマは、写真のまま、堅実そうな雰囲気の子だった。第一声、ちゃんとしてた。
アキさんですか?はじめまして、ユマです。今日はよろしくお願いします


どうも、よろしくっす。てか、めっちゃちゃんとした挨拶きた。笑
あ、すみません、緊張しちゃって(笑)

会った時点でも、まだ標準語の鎧はガッチリ着てた。メッセで地元ネタで散々盛り上がったのに、対面だと逆に固くなってる感じ。店は俺が予約しといた、地元の郷土料理を出す居酒屋。これ、わざと選んだ。地元の飯の話を文字でしてたから、現物が出てくる店にしたら絶対盛り上がると思って。
席について、メニュー開いて、地元の名物料理が並んでるのを見たユマの目が、ちょっと泳いだ。で、俺がメニューを指さして、何の気なしにこう聞いた。

これ、地元の◯◯(名物料理)じゃん。てかさ、駅前の◯◯(地元の有名な店)ってまだある?
あー、◯◯ね。あるある、まだあるよ。こないだ帰った時も――

ここ。「あるある、まだあるよ」の「あるよ」のとこで、語尾がふっと地元のイントネーションになった。本人、たぶん気づいてない。それまでの「あります」「ですね」のきっちりした標準語から、急に距離が縮まった喋り方に変わってた。で、自分の声に一拍遅れて気づいたユマが、口を手で押さえた。
……あ。今、出た


え、なにが。
訛り。やば、めっちゃ出た(笑)


いいじゃん。てか俺、隠されてるほうが寂しいわ。地元同じなのに。
俺は別にうまいこと言ったわけじゃない。ただ、隠されてるほうが寂しい、って素で思っただけ。せっかく地元が同じなのに、よそ行きの言葉で喋られると、なんか他人行儀じゃん。
名物料理を前に、訛りが戻ってきた
訛りが一回出ちゃってからは、ユマの喋り方が、メニューの料理を一品ずつ食べるたびにどんどん地元寄りになっていった。鎧が一枚ずつ脱げていく感じ。名物料理が運ばれてきて、一口食べたユマが、箸を止めてちょっと黙った。
……これ、ばあちゃんが作ってたやつの味に近い


お、ばあちゃん。実家、よく帰んの?
年に二回くらいかな。盆と正月。ほんとはもっと帰りたいけど、経理って月末月初きついから、なかなか

そこから、上京組のあるある話になった。家賃が高いとか、満員電車が無理とか、地元の友達はもうみんな結婚してるとか。経理の仕事の話も出た。月末月初は数字の締めで死ぬほど忙しくて、その時期は地元に帰るどころか、誰とも喋らない日もあるらしい。一人暮らしで、平日は会社と家の往復。

五年いて、まだ東京馴染めてないって言ってたの、なんとなくわかる気がする。
でしょ。みんな速いんだもん、こっちの人。喋るのも歩くのも。地元だったらもっとのんびりなのに


わかる。エスカレーター、地元だと普通に二列で立ってたもんな。
それ!東京来て最初、急かされてる気がして怖かった(笑)

ユマの「訛りを出さないようにしてた」理由は、結局ちゃんとは聞かなかった。でも、五年かけて標準語を身につけてきた人なんだな、っていうのは、喋り方の端々から伝わってきた。地元を隠してたんじゃなくて、東京で生きていくために、地元を一回しまっておく必要があったのかもしれない。で、たまたま同郷の俺の前で、それを久しぶりに出してみた、って感じだったんだと思う。

なんか、聞いてるとちょっと切ないっすね。

な。でも本人は、訛り出してる時のほうが、めっちゃ楽しそうだったわ。
角のバーで、方言クイズを出された
一軒目を出て、二軒目は近くの静かなバーに移った。ユマはもう完全に地元のテンションで、歩きながらずっと喋ってた。一軒目で固かったのが嘘みたいに。バーのカウンターに並んで座って、ユマがカクテルを一杯頼んで、急にこっちを向いて、地元の方言クイズを出してきた。
じゃあ問題。「◯◯(地元の方言)」って意味わかる?


わかるに決まってんじゃん。同じとこ出身だぞ。笑
あはは、そうだった(笑)東京の人にこれ言っても通じなくて、いっつも寂しかったんだよね

東京の人に言っても通じない方言を、通じる相手に言える、っていうのが、ユマにとってはけっこう嬉しいことだったらしい。職場でも、近所でも、普段は標準語を保ってる。地元の言葉を遠慮なく使える相手が、たぶん今の生活にいなかったんだろうな、と。バーの薄暗い灯りの下で、ユマはずっと地元の言葉で喋ってて、グラスを持つ手も最初の挨拶のときよりだいぶゆるんでた。

てか、最初の挨拶クソ丁寧だったのに、今めっちゃ崩れてんな。笑
だってアキさんが地元の人だから。気を張んなくていいんだもん


それは光栄っすね。
ふふ、なんか敬語に戻った(笑)

俺は、ここでいつもみたいに「そろそろどうする?」って前に出るのを、ちょっとやめた。やめた、っていうか、ユマがやっと標準語の鎧を脱いでくつろいでるとこで、こっちがガツガツ引っ張ると、たぶんまた身構えさせちゃう気がした。だから、決めるのを向こうに渡した。

終電、まだいける時間だけど。どうする、帰る?
……んー。地元の言葉、もうちょっと喋ってたいかも


じゃあ、喋ろうよ。終電は気にせんで。
……うん(笑)

帰る、って言わなかった時点で、なんとなく今日まだ終わらないな、って肌で分かった。乗ってこなかったらそこで普通に駅まで送るつもりだったけど、向こうがもうちょっといたいって言ったんで、もう一杯ずつ頼んだ。
結論だけ書くと、そのあといい雰囲気になって、お持ち帰りは成功。詳細は毎回どおり省くけど、合意のある大人同士の話で、無理とか押しとかは一切なし。それだけは毎回書いとく。地元の言葉でずっと喋ってたユマは、最初の駅前で「よろしくお願いします」って頭下げてた子と、ほんとに同じ人かってくらい違ってた。
その後。地元が同じってだけで、連絡のリズムが妙に楽だった
ユマとはその後も続いてる。連絡のリズムが、地味に楽なんだわ。月末月初は経理で死んでるから返信が遅くなる、っていうのを最初に聞いてたから、しばらく既読つかなくても「あ、締めの時期か」で済む。あと、地元のニュースとか、地元のチェーン店が東京に進出したとか、そういうしょうもない話を送り合えるのが、なんか続いてる理由な気がする。
ねえ、◯◯(地元のチェーン)が東京にもできたらしいよ!行こ


マジで。地元の味、東京で食えるのは熱いな。
でしょ。アキさんとなら、訛り全開でいけるし(笑)

「訛り全開でいける」って言われて、俺はなんか妙に嬉しかった。一緒にいるとき、ユマは職場でも近所でも保ってる標準語をしまって、地元の言葉でだらだら喋れる。それが向こうにとっては、たぶん貴重な時間なんだろうな、と。俺は別に何も特別なことはしてなくて、ただ同じ地元出身だったってだけ。それだけのことが、上京して五年気を張ってきた子にとっては、けっこうデカかったらしい。
ペアーズで上京組とか地方出身の子を探してる人がもしいたら、出身地のコミュニティ、地味におすすめしとく。プロフ文だけ見てると堅実とか真面目とかしか分からないけど、コミュニティの並びに地元のローカルな駅名とか入ってると、それだけで一通目を「はじめまして」じゃなくて「あの店まだある?」で始められる。共通点が一個あるだけで、序盤の探り合いがごっそり省けるんだわ。
ユマとはペアーズで出会った。真剣め・大人多めの層に加えて、出身地のコミュニティで「同郷」みたいなニッチな共通点から入れるのがでかかった。最初の一通目が「地元どこ?」じゃなくて「◯◯(地元の駅)のコミュ入ってます?」で始められたから、初手から距離が近かった。
- 余裕のある大人の子が多い印象だから、変な探り合いが少なくてやり取りが楽だった
- 「会う前提」で繋がる空気だから、いいなと思った子とも上品なまま話を進めやすい
- 下見だけなら無料。本気で会いに行くなら、男は有料で動くのが結局いちばん早かった
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最後に余談。ユマと会ってから、俺、自分の地元の方言、ちょっとだけ意識して使うようになった。普段はもう抜けてたはずなんだけど、あの夜にユマがあんなに嬉しそうに地元の言葉喋ってんの見たら、しまっとくのもったいないなって思って。本人には言ってないけど。
会った後の流れまで、次に読む。
アプリで会ったあとに失速しないように、連絡、待ち合わせ、次のデートへ繋がる記事を置いています。


