商社勤め27歳と、鎧が脱げていく夜
ペアーズで出会った総合商社の総合職トモミ(27)。会った瞬間から喋るテンポが速くて、店も時間も全部こっちが仕切られる側。バリキャリの鎧がカチカチに見えた子が、二軒目で語尾が緩んでいった——マッチングアプリで商社勤めのバリキャリ女性と会った夜のリアルな体験談。
総合商社の総合職(出張多め)PLACE現場
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今回はペアーズで会った、総合商社で総合職やってるトモミの話。27歳。先に書いとくと、平日の夜にちょい良いビストロで会って、二軒目まで流れて、いい雰囲気になってお持ち帰りまで行けた。ただこの回でいちばん面白かったのは、会った最初の一時間と、別れ際のトモミがまるで別人だったことだ。
会った瞬間のトモミは、喋るのが速い、決めるのが速い、店も時間も全部こっちが仕切られる側、っていう完全に仕事モードの人だった。英語の単語が普通に会話に混ざってくるし、出張の話をしてても淀みがない。正直、最初は「これ、俺ペースに巻き込まれて終わるやつだな」と思ってた。それが、ワインが二杯入ったあたりから、語尾がだんだん緩んでいって、最後は全然違う喋り方になってた。その鎧が脱げていく感じが、この日の全部だった。
ペアーズの体験談は前にも何本か書いてて、同じ地方出身の子と地元トークで一気に縮まった同郷の子の回と、トーク上手の裏側が見えた保険営業の子の回もある。あの保険営業のカレンが「喋りのプロ」だったとしたら、トモミは「仕事のプロ」。同じペアーズでも、相手の仕事のクセがデートの空気をどう変えるか、っていうサンプルとして読んでもらえると思う。マッチングアプリでバリキャリの商社の子と会ったらどうなるのか、気になる人にはわりと刺さるはず。
プロフが、出張のスタンプで埋まってた
ペアーズ体験談の入口、現場での空気、会った後の動きまで。場面ごとの温度を拾いながら、アキの現場感をそのまま読む記事です。
トモミを見つけたのは、ペアーズのコミュニティ経由。俺はサウナと、あと出張が多い仕事柄で「ひとり飲み好き」みたいなコミュニティに入ってて、その並びで出てきた。写真が三枚あって、一枚目が空港のラウンジっぽい場所、二枚目が海外の街並みの前で笑ってる引きの写真、三枚目が分厚いステーキ。なんか、出張ついでに撮ったんだろうな、っていう生活感のある並びだった。
自己紹介がまた、変な言い方だけど「業務連絡」みたいに簡潔だった。
- 商社で働いてます。月の半分くらい出張で各地飛んでます
- 連絡はマメじゃないけど、会えば普通に喋ります(笑)
- 美味しいお店とサウナ知ってる人、教えてください
- 受け身な人より、ちゃんと自分の意見ある人がいいです
「連絡はマメじゃない」を先に宣言してくる子、珍しい。普通こういうとこって「マメに連絡取り合いたいです」って書くじゃん。先に「期待しないでね」を置いてくる感じが、いかにも忙しい人だなと思った。あと「自分の意見ある人がいい」っていうのが、地味に効いてた。たぶん仕事で押しの強い相手とばっかやり合ってて、フニャフニャした男が苦手なんだろうな、と勝手に想像した。
正直、商社のバリキャリ、って文字面だけ見ると、俺みたいなのとは住む世界が違いそうで一瞬ひるむ。年収マウントとか、こっちの仕事を値踏みされそう、みたいな先入観もあった。でも写真がやけに飾ってなくて、空港のラウンジも海外の街並みも「映え」を狙ってる感じが全然なくて、ただの記録っぽかった。それで、まあ会ってみるか、ってなった。今思えば、あの飾らなさが、後で出てくる「廃人モードのトモミ」の伏線だったわけだ。

アキさん、商社の子ってなんか、住む世界違いそうで怖くないすか。

それ俺も最初思った。笑 でもプロフがやけに飾ってなくて、逆にちょっと話してみたくなったんよ。
マッチして、最初のメッセは俺から送った。返信は、来るのが遅い。けど、来たやつが妙にスパッとしてた。
マッチありがとうございます。今シンガポール出張中なので返信遅れます、すみません


え、海外からわざわざ返してくれたんすか。仕事中でしょ、無理しないでください。
移動中なので(笑)日本帰ったら、サウナの話します

「日本帰ったら話します」って、もう次のアポの予約みたいな返し方。普通の子なら「いいですね〜、いつか行きましょう」でフワッと終わるとこを、こいつは時間軸で区切ってくる。あ、これスケジュールで動く人だ、ってこの時点で分かった。
日程の決め方が、もう商談だった
帰国してからメッセを再開したんだけど、デートの日程の出し方が、とにかく速くて無駄がなかった。
来週なら火曜か木曜の夜空いてます。それ逃すと再来週まで出張で埋まってます


じゃあ木曜で。てか、選択肢の出し方うますぎん?笑
これがいちばん早いので(笑)場所どうします、決めてくれます?

「これがいちばん早いので」がもう仕事の人だわ。二択を出して、相手に即決させて、次に進む。完全に段取りの組み方が商談のそれだった。場所はこっちで決めてって言われたんで、サウナの後にちょい飲める雰囲気のビストロを押さえた。プロフのステーキ写真を見てたから、肉が出る店なら外さない、って読みもあった。

全部向こうのペースじゃないすか。アキさん、それ主導権取られてません?

取られてる取られてる。笑 でもこういう人に変にこっちが仕切ろうとすると、たぶんダサく見えるんよ。乗れるとこは乗っといたほうが早い。
LINEはアポが固まってから交換した。交換のタイミングとか最初の文面で迷う人は、LINE攻略のまとめに症状別で書いたんで、そっち見てくれ。トモミは案の定、LINEもメッセと同じテンポで、用件だけがスパッと来た。スタンプはゼロ。笑
会った瞬間、テンポが速すぎて置いてかれた
木曜の19時、待ち合わせの駅前。現れたトモミは、写真より姿勢がよくて、歩き方が速かった。第一声から、もうビジネスのテンポだった。
アキさんですよね。お待たせしてないです?店どっち、もう予約の時間ですか


あ、はい、すぐそこっす。てか、もう動き出してるのすごいな。笑
あ、ごめん(笑)クセで、つい段取りから入っちゃう

待ち合わせの「最初の探り合い」が一切なくて、もう歩き出してる。店に着いて座っても、メニューを見る速度が速いし、注文の決め方も即決。「私これとこれ、シェアします?」って、こっちが迷う前に組み立ててくれる。便利っちゃ便利なんだけど、なんか、会議の進行役と飯食ってる感じがあった。
会話も、出張の話になると淀みがない。シンガポールの湿気がどうとか、現地のメシがどうとか、合間に英語の単語が普通に混ざる。ナチュラルに「アサインが」とか「コミットしてて」とか言う。俺、商社用語わかんないから、半分は雰囲気で頷いてた。笑

ごめん、さっきの“アサイン”って、要は担当割り当てられてるってこと?
あ、そうそう。やば、私カタカナ多いって言われる(笑)


多い多い。笑 でも、わかんないやつは聞くんで大丈夫っす。
聞いてくれるんだ。普通みんな、わかったフリして流す

「わかったフリして流す」が、ちょっと引っかかった。たぶんトモミ、仕事でも私生活でも、相手に合わせてもらうことに慣れてて、こっちが背伸びして付いてくるのを当たり前に見てきたんだろうな、と。俺がしれっと「いや、わかんない」って言ったのが、地味に予想外だったっぽい。
ワインが入ったら、語尾が緩んできた
赤ワインを頼んで、肉が出てきたあたりから、トモミの喋り方が少しずつ変わってきた。最初のカチッとしたテンポが、だんだん間延びしてきて、語尾がやわらかくなる。「〜です」が「〜なんだよねー」に変わってきた。
あー、このお肉やばいかも。私さ、出張多いと外食ばっかで、こういうちゃんとした店ひさびさ


お、敬語減ってきたな。笑
え、ほんと?(笑)やば、ワイン入るとダメなんだよね、わたし

「わたし」って、それまで「私」だったのが、急にやわらかい「わたし」になった。仕事の鎧がカチッと固まってる人ほど、ふとした拍子に脱げるとギャップがでかい。出張だらけで一人飯ばっかしてる話、ホテルのルームサービスで深夜に一人でビール飲んでると無性に虚しくなる話、休みの日に何もしたくなさすぎて気づいたら夕方になってる話、そういうのを、さっきの段取りモードとは全然違うトーンで喋りだした。
面白かったのが、グラスを持つ手の置き方まで変わってきたことだった。店に入った時はメニューも箸も全部キビキビ動かしてたのに、ワインが回ってくると、肘をテーブルについて、ちょっとだらしなく頬杖ついて喋るようになる。仕事の場じゃ絶対しない座り方なんだろうな、っていうのが伝わってきて、そのだらけ方を見せてくれてること自体が、なんか俺は嬉しかった。
ほんとはさ、休みの日めっちゃダラダラなの。誰にも言わないけど、一日中パジャマの日とかある


意外すぎる。プロフのバリバリな感じと真逆じゃん。
でしょ(笑)平日にエネルギー全部使い切るから、土日は廃人

会った瞬間に予定をねじ込んでくる人が、休みは廃人、っていうのが俺にはやけにおかしくて、つい笑った。そしたら向こうも笑って、笑ってる時のトモミは、空港のラウンジの写真の人より、ステーキの写真の人に近かった。

え、そんな急に崩れるもんすか。さっきまでビジネスモードだったのに。

固い人ほど、緩むときの落差がでかいんよ。これがこの日いちばんおもろかった。
仕切る側の人が、決めるのを俺に渡してきた
二軒目は、店を出てすぐの、カウンターだけの静かなバーに移った。トモミはハイボールを頼んで、もうこの頃には完全に語尾が緩みきってた。喋るスピードもゆっくりで、さっきまでの「次どうする」が口から出てこない。
なんかさー、今日わたし、全然決めてない


決めてない?
いつも、店も時間も全部わたしが仕切ってないと不安なの。なのに今、なんも考えてない(笑)

これ、けっこう本人にとっては事件だったっぽい。普段、仕事でもプライベートでも、自分が段取りを握ってないと落ち着かない人が、握るのを手放してる。その状態に本人がいちばん戸惑ってた。聞いてると、合コンとか飲み会でも、気づいたら自分が幹事ポジになってて、店の予約から会計から全部仕切ってるらしい。誰かに任せると不安で、結局自分でやっちゃう。デートでも、相手の男が頼りないと「じゃあ私が」ってつい奪っちゃうんだって。
俺はここで、いつもみたいに「そろそろどうする」って前に出るのをやめた。やめた、っていうか、この子に俺まで仕切りを取りに行くと、たぶんまた段取りモードのスイッチが入っちゃう気がしたんだわ。逆に、俺が頼りなさすぎても「私がやらなきゃ」になる。握りにも行かず、丸投げもせず、っていう微妙な力加減を探りながら、決めるのを向こうに残したまま、選択肢だけ置いた。

じゃあ今日は、トモミさんが決めなくていい日にしときなよ。帰るも残るも、別にどっちでもいいし。
……なにそれ、ずるい


え、なんで。笑
そう言われると、帰りますって言いにくいじゃん(笑)……もう一杯だけ、もらおうかな

「決めなくていい」って渡した瞬間に、トモミがグラスを置き直した。その手つきが、店に入った時の、メニューをパッと開いてサッと注文した時の手つきとは全然違って、やけにゆっくりだった。俺は何かを読み取ろうとしてたわけじゃなくて、ただその指の動きを見て、あ、今日はまだ終わらないやつだな、って肌で分かっただけ。乗ってこなかったらそこで引くつもりだったけど、向こうがもう一杯って言ったから、俺も頼んだ。
そのあとは流れでいい雰囲気になって、お持ち帰りまで行けた。詳細は毎回どおり省く。合意のある大人同士の話で、押しとか無理は一切なし、それだけは毎回書いとく。バリバリの鎧が完全に外れたトモミは、メッセの時とも待ち合わせの時とも別人みたいに脱力してて、それがこの日いちばんの収穫だった気がする。
その後。トモミとは、予定をねじ込まない距離で続いてる
トモミとはその後も続いてる。連絡のリズムは、出張中はほぼ既読スルー、帰国したタイミングで一気にまとめて返ってくる感じ。最初は「冷めたかな」って勘違いしかけたけど、プロフに「マメじゃない」って先に宣言されてたのと、出張だらけの生活を実際に見てたから、ああ今シンガポールか、で済むようになった。
今帰国した。三日ぶりにまともなご飯食べたい。あのビストロまた行かない?


お、おかえり。笑 今回はどこ飛んでたの。
もう聞かないで(笑)廃人モードで行くから、なんも仕切らなくていい?

「なんも仕切らなくていい?」って向こうから聞いてくるのが、最初の段取りモードのトモミからは想像できなくて、ちょっと笑った。俺は別に気の利いた会話をしてるわけじゃなくて、トモミが緩んでる時に、そのまま緩ませといてるだけ。仕切りを握りたがらない俺と、たまには握るのを手放したいトモミが、たまたま噛み合ってるだけだと思う。あと、出張中に連絡が減るのを追わないでいられるのも、続いてる理由のひとつな気がする。俺は連絡が途切れても勝手に解釈して凹まないようにしてて、向こうが帰ってきたタイミングで普通に返す、それだけ。
トモミとはペアーズで出会った。月の半分は飛んでる人だから、街でゆっくり相手を探す時間なんかゼロで、隙間時間にスマホで条件を絞って、空いてる一晩だけ会う、っていうアプリの使い方が、本人の生活にいちばん合ってた。出張の合間にシンガポールから返信が来たのも、アプリだからこそだよなと思う。
- 余裕のある大人の子が多い印象だから、変な探り合いが少なくてやり取りが楽だった
- 「会う前提」で繋がる空気だから、いいなと思った子とも上品なまま話を進めやすい
- 下見だけなら無料。本気で会いに行くなら、男は有料で動くのが結局いちばん早かった
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最後に余談。あれ以来、トモミの帰国メッセはだいたい「廃人モードで行くから」付きになった。空港で買ってきたへんな土産を毎回押し付けてくるのも、地味に続いてる。本人には言ってないけど、あの脱力したトモミにまた会えるのを、わりと楽しみにしてる。
会った後の流れまで、次に読む。
アプリで会ったあとに失速しないように、連絡、待ち合わせ、次のデートへ繋がる記事を置いています。


