3年ぶりにレコード屋でばったり会った元カノ・ミオと、気まずくて懐かしい夜
3年前に別れた元カノ・ミオ(28)と、二人でよく行ってたレコード屋でばったり会った。険悪に別れたわけじゃない。でも久しぶりすぎて、何を言えばいいか分からなくて固まった。気まずさと懐かしさが同時に来る、変な夜の話。よりを戻すとか、そういうきれいなオチはない。
(元カノ)PLACE現場
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今日はナンパの話じゃない。3年前に別れた元カノと、街でばったり会った話をさせてくれ。
普段は知らん子に声かける話ばっか書いてる俺だけど、これはその真逆。よく知ってる相手と、3年ぶりに、しかも完全に不意打ちで会っちまった。声をかけるとか、距離を詰めるとか、そういうテクが一個も役に立たない場面。むしろ、いちばん言葉が出てこなかった夜だったかもしれん。
相手はミオ。別れたときは25で、今は28になってるはず。3年前、別に大ゲンカしたわけでも、どっちかが裏切ったわけでもなくて、ほんと些細なすれ違いが積もって、なんとなく終わった。だからこそ、再会したときの空気が、めちゃくちゃ説明しづらい。嫌いで別れたわけじゃないんだよな。それが余計にややこしかった。
二人でよく行ってたレコード屋で、いきなり後ろにいた
元カノと再会の入口、現場での空気、会った後の動きまで。場面ごとの温度を拾いながら、アキの現場感をそのまま読む記事です。
その日は、別になんてことない休みだった。昼過ぎ、ふらっと寄ったのが、駅から少し歩いたとこにある小さいレコード屋。中古のアナログ盤を雑多に並べてて、奥に申し訳程度のコーヒーカウンターがある、あの手の店。
…で、勘のいい人はもう分かると思うけど、そこ、ミオと付き合ってた頃によく二人で行ってた店なんだわ。なんで別れた後もそこ行くんだよって話なんだけど、3年経つと、もうそんなの忘れてる。単に近くまで来たから寄っただけ。思い出に浸りに行ったとか、そんなロマンチックな話じゃない。
棚をかがんで漁ってて、ふっと顔を上げたら、すぐ後ろの棚に、見覚えのある後ろ姿がいた。最初は「似てる人いるな」くらいだった。けど、その人がレコードを抜くときの、ちょっと首をかしげる癖。あれで分かった。ミオだ、って。

うわ、それ心臓止まるやつじゃないすか。逃げました?

一瞬、本気で逃げようか迷った。笑 でも狭い店だし、出口あっち側だし、どう動いてもバレる位置でさ。固まったまま3秒くらい棚見てた。盤、一個も頭に入ってこない

知らない子には秒で声かけるのに(笑)
ほんとそれな。街で初対面の子には平気で声かけられる俺が、よく知ってる元カノの背中ひとつでこんなにビビるとは思わなかった。知らん相手のほうがよっぽど気楽。知ってる相手のほうが、何百倍も難しい。
で、固まってる間に、向こうが先に気づいた。気配で振り返ったミオと、思いっきり目が合った。
……え。アキ?


あ……おう。久しぶり
我ながら、ひどい第一声だった。「おう」って。3年ぶりに会った元カノにかける言葉が「おう」。笑 でも本当に、それ以上のなにも出てこなかった。
何を言えばいいのか、お互い分かってなかった
目が合ってから、二人とも、たぶん5秒くらい黙った。これがまた、長い5秒でさ。初対面の子との沈黙なら「話題探さなきゃ」って焦るんだけど、元カノとの沈黙は、その焦りとは別の重さがある。聞きたいことは山ほどあるのに、どれも軽々しく聞けない。「元気だった?」も、なんか他人行儀すぎる気がする。かといって、いきなり踏み込むのも違う。
結局、最初に転がしたのは、ほんとにどうでもいい話だった。

……この店、まだやってたんだな
やってるよ。私もたまたま近く来て


あー、俺も。ほんとたまたま
……ふふ、なにそれ。お互いたまたま

この「お互いたまたま」で、ちょっとだけ空気がゆるんだ。たぶん二人とも、心の中で同じこと考えてたんだと思う。よりによって、この店で、って。別れた人間がいちばん鉢合わせしたくない場所、二人の共通の店だからな。それを「たまたま」で片付けようとしてるのが、お互い分かってて、それがちょっとおかしかった。
ミオは、見た目はそんなに変わってなかった。けど、雰囲気が少し違った。前はもうちょっと、なんていうか、トゲがあった。俺もだけど。25の頃の俺らは、二人とも妙に尖ってて、些細なことでムキになってた。目の前のミオは、その尖りが取れて、落ち着いてた。3年って、人をそれなりに丸くするんだなって、こんなとこで実感した。

で、その立ち話のまま終わったんすか?

それがさ、店のおっちゃんに「立ち話なら奥のカウンター座りな」って言われて。3年ぶりの元カノと、なんか流れで並んで座ることになった。気まず
店の奥の、コーヒー二杯だけ出すみたいな小さいカウンター。3年前は、ここで二人してくだらない話してた。同じ椅子に、3年越しでまた並んで座ってる。…レコードを探しに来ただけなのに、なんでこうなってんだろって、内心ちょっと笑ってた。
ちなみに、街でばったり再会するエモさってやつは、前に書いた同窓会で再会した話にも少し近いんだけど、あっちは「当時ほぼ喋ったことない子」。今回は、付き合ってた相手。同じ「再会」でも、知ってる量が違うと、気まずさの種類が全然ちがう。元カノのほうが、断然しんどい。笑
当時のすれ違いの答え合わせを、3年越しにした
コーヒーが来て、最初は当たり障りのない近況から入った。仕事変えた、変えてない、最近どこ住んでる、みたいな。お互い、ちゃんと探りながら話してる感じ。地雷を踏まないように、っていうより、相手の今の生活に土足で入らないように、っていう距離の取り方。
でも、何杯か……いや、コーヒーだから何杯もないけど、しばらく話してるうちに、自然と当時の話に流れていった。流れていった、っていうか、避けて通れなかった。3年ぶりに会って当時の話を一切しないのも、それはそれで不自然だからな。
最初に切り出したのは、ミオのほうだった。
あのさ……最後のほう、私たちけっこうギスギスしてたよね


……してたな。なんであんなんなったんだっけ、俺ら
覚えてないの(笑)


いや、覚えてはいる。覚えてるけど、今思うと、なんであんな小さいことで、って
別れた直接のきっかけは、ほんとに些細なことだった。俺が仕事忙しい時期で、ミオからの連絡を後回しにしがちになって。で、ミオはミオで、「忙しいのは分かるけど、ないがしろにされてる気がする」って溜め込んで。俺は俺で「そんなつもりない、忙しいだけ」って突っぱねて。お互い、ちゃんと話せばよかっただけのことを、意地で話さなかった。それが何回か続いて、気づいたら、もう一緒にいる理由を二人とも見失ってた。
3年経って、当時を上から眺めると、どっちが悪いとかじゃなくて、ただ二人とも、人とちゃんと向き合うのが下手だっただけなんだなって思う。25って、そういう歳でもあった。

今だから言えるけどさ。あのとき俺、忙しいのを言い訳にして、ミオと向き合うのサボってたわ。それは普通に悪かったと思ってる
……えー、今ごろ謝るんだ


3年遅いよな。ごめん
いいよ。私も、ちゃんと「寂しい」って言えばよかっただけなのに、態度で察してもらおうとしてたし

この、お互いが自分の非を認める感じが、3年前にはどうしてもできなかったやつなんだよな。当時は、認めたら負けみたいな、しょうもないプライドが邪魔してた。今はもう、お互いその件で得することも損することもないから、フラットに「あれは悪かった」って言える。別れて時間が経って、やっと冷静に答え合わせができる。
なんか、不思議な感覚だった。あんなにギスギスして別れた相手と、その別れた原因について、もう責める気持ちゼロで穏やかに話してる。恨みとかは、とっくにどっか行ってた。残ってたのは、「あの時もう少し大人だったらな」っていう、薄いほろ苦さだけ。

なんか……聞いてるだけで、こっちまでちょっと切なくなるやつっすね

だろ。修羅場でもないし、感動の再会でもない。ただ、しんみりするんだよ。こういうの
別れた原因を相手のせいにしたまま時間が経つと、再会してもこうはならない。たぶん顔見た瞬間にまだムカついてる。その辺の、別れたあとの気持ちの整理については、前に復縁の方法をまとめた記事でも「原因を相手のせいにし続けると何も変わらない」って書いたけど、こうやって穏やかに答え合わせできたのは、3年かけてお互い、自分のダメだったとこを少しは消化できてたからなんだと思う。
お互い、ちゃんと大人になってた
当時の話がひと段落して、今度は今の話になった。ミオが今なにしてるとか、どんな毎日送ってるとか。聞いてると、ミオはミオで、この3年でいろいろあって、ちゃんと前に進んでた。仕事も落ち着いて、休みの日の過ごし方も、25の頃とは変わってた。
そのミオの話を聞いてるのが、変な感じだったんだよな。俺が知らない3年分のミオが、目の前にいる。付き合ってた頃は、ミオの一日をだいたい把握してた。今日なに食べたとか、誰と会ったとか。でも今は、何ひとつ知らない。当たり前なんだけど、その「知らない」が、ちょっとだけ寂しかった。
アキは?まだ夜な夜な遊んでんの


…まあ、ぼちぼち。笑 相変わらずだよ
だと思った。アキはそのままでいてくれないと、なんか調子狂う


それ褒めてる?笑
半々(笑)

この「半々」みたいな返し、ミオらしいなって、ちょっと懐かしくなった。付き合ってた頃も、こういう、はっきり褒めも貶しもしない、ちょっと意地悪な返しをする子だった。3年経っても、芯のところは変わってない。変わったのは、その言い方がちょっと柔らかくなったことくらい。
面白かったのは、お互い、相手の変化と変わってなさの両方を、自然に見つけてたこと。「そこは変わったな」「そこは相変わらずだな」って。これって、よく知ってる相手じゃないとできない見方なんだよな。初対面の子には、比べる過去がないから。元カノとの再会だけにある、この「答え合わせ感」が、なんとも言えなかった。

ミオ、なんか前より穏やかになったな。前はもっと、こう、ピリッとしてた
それはアキが私を怒らせてばっかだったからでしょ


うっ……返す言葉がない。笑
ふふ。でも、まあ……今は怒ってないよ

「今は怒ってないよ」が、なんか、効いた。3年前、ミオは怒ってた。たぶん、別れたあともしばらくは怒ってたと思う。でも今は、もう怒ってない。時間が、ちゃんとそれを溶かしてた。俺のほうも、別れた当時は「なんで分かってくれないんだ」って向こうに苛立ってたけど、今はもうその苛立ちもない。お互い、もう責めてない。それが、なんか、いいな、って思った。よりを戻すとかそういう話じゃなくて、ただ、ちゃんと終われてなかったものが、3年越しにちゃんと終わった感じ。
ここで一個だけ脱線させてくれ。こうやって元カノと穏やかに再会できると、つい「もしかして、もう一回……」みたいな気持ちが頭をかすめるんだけど、これ、けっこう危ない。懐かしさと、また付き合いたいは、別物だからな。過去がきれいに見えるのは、しんどかった部分を時間が削ってくれてるだけで、戻ったらまた同じすれ違いをする可能性は普通にある。だから、再会のエモさに飲まれて勢いで動くより、過去は過去として大事にしまっといて、新しい出会いは新しい出会いでちゃんと作る、っていうのが、結局いちばん健全だと思ってる。…まあ、その新しい出会いを作るのに俺がアプリ使ってるのは、別記事で散々書いてる通りだけど。笑
その後の話。連絡先は、結局
コーヒーを飲み終わって、店を出るタイミングが来た。気づいたら、けっこう長いこと喋ってた。立ち話から始まって、カウンターで一時間近く。3年ぶりにしては、よく喋ったほうだと思う。
店の外に出て、夕方の少し前の、中途半端な時間。さて、どうするかって空気になった。ここで「連絡先交換しよ」って言うのが、たぶん俺の普段のパターンなんだけど、なんか、この時はそれが言えなかった。

……じゃあ、俺こっちだわ
うん。私あっち


……元気でな
アキも。…またこの店で会ったりして


あー、それありそう。笑 じゃあな
それで、別れた。連絡先は、交換しなかった。LINEのIDは、3年前のはとっくに消してたし、お互い新しく聞こうともしなかった。なんか、聞いちゃいけない気がした、っていうのが正直なとこ。聞いて、また連絡取り合って、っていうのは、たぶん、せっかくきれいに終わったものを、もう一回こじ開ける感じがして。

えっ、連絡先交換しなかったんすか?アキさんらしくない…

らしくないよな。自分でもそう思う。でもさ、なんか、あの再会は、あの一時間で完結してた気がしたんだよ。続きを作るより、あれはあれで、って

……なんか、大人っすね

どうかな。ただのヘタレかもしれん。笑
帰り道、なんとも言えない気分で歩いた。会えてよかったのは間違いない。3年間、心のどっかに引っかかってた「ちゃんと終われてない感じ」が、あの一時間でほどけた。お互い、もう怒ってないって確認できたし、当時の非も認め合えた。それだけで、十分すぎるくらいだった。
でも同時に、ちょっとだけ、寂しかった。もう二人で同じ一日を過ごすことはないんだなって、当たり前のことを、改めて突きつけられた感じ。よりを戻したいとか、そういうハッキリした気持ちじゃない。ただ、過ぎた時間は戻らないっていう、それだけのことが、妙にしんみり来た。気まずさと、懐かしさと、ちょっとの寂しさが、全部混ざった夕方だった。
ここからは、いつものちょっと現実的な話をさせてくれ。元カノとの再会って、ロマンチックに語られがちだけど、たいていの場合、よりを戻すわけでもなく、ただ穏やかに過去を確認して終わる。それでいいと思う。むしろ、その「終わり」をちゃんと迎えられるかどうかのほうが大事で、ここで変に引きずったり、勢いで連絡先聞いて押したりすると、せっかくの穏やかな再会が、また別のしんどさになる。再会の後の連絡で焦って空気を壊さない、っていう感覚は、相手が元カノだろうが街で会った子だろうが、結局おなじ。前にLINEの距離の取り方に書いたのと、まったく同じことだった。
それと、元カノを引きずってる人へ。過去をきれいに整理するのと、新しい一歩を踏み出すのは、ちゃんと両立する。俺は今回、ミオとは連絡先も交換せず、過去は過去としてしまった。でも、それは恋愛を諦めたわけじゃなくて、むしろ、ちゃんと前を向くためだった。返ってこない過去を追い続けるより、新しい出会いを自分で作りに行くほうが、心も軽くなる。この辺の気持ちの切り替えは、音信不通の相手をどう考えるかの記事でも書いた通り。過去にいい思い出があるのは財産だけど、そこに住み続けると前に進めなくなる。

また同じ店行ったら、また会えたりするんすかね

どうだろな。会ったら会ったで、また「たまたまだな」って笑うんだろ。笑 それくらいの距離が、たぶん俺らにはちょうどいい
別れた相手と、街でばったり。修羅場になることもあれば、今回みたいに、しんみり穏やかに終わることもある。今回のは、たぶん後者の、いちばん優しいやつだった。よりを戻したわけでもない、何かが始まったわけでもない。ただ、3年間引っかかってたものが、ちゃんとほどけた。それだけの夜。…でも、たまにはこういう夜も、悪くないなって思った。
全部実際に使った俺の本音ランキング。目的別の使い分けも載せてる。
この流れの次に読む記事。
読み終わったあとに動きやすいように、連絡、街での流し方、次の場づくりに近い記事を置いています。


