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【コインランドリーの出会い】梅雨の夜、乾燥機前で隣り合った25歳

【コインランドリーの出会い】梅雨の夜、乾燥機前で隣り合った25歳
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NIGHT REPORT / 現場

梅雨の夜、乾燥機前で隣り合った25歳

梅雨で部屋干しが乾かず、夜のコインランドリーに駆け込んだら、布団を洗いに来た25歳のミハルと乾燥機の前で隣り合った。回る乾燥機を眺める手持ち無沙汰の30分、パン屋の朝の匂いの話、連絡先交換で解散の甘酸っぱい夜をアキが実況する。

コインランドリーの出会い現場読了 14分
01 ENTRY入口を作る02 PLACE現場で動く03 VIBE空気を読む04 NEXT次へ繋ぐ
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TYPEミハル 25歳
個人経営のパン屋勤務
PLACE現場
現場レポ
HOOK現場感を
そのまま読む

梅雨に入ってから、うちの部屋干しが、まったく乾かない。

干して2日経ったタオルが、まだ「湿ってる」と「乾いた」の間でずっと迷ってる。生乾きのあの匂いが部屋に充満してきて、さすがに限界だった。で、その日の夜、洗濯物と布団カバーをまとめて袋に突っ込んで、歩いて5分のコインランドリーに向かった。22時くらい。雨は降ってないけど、空気が水を含んでて、Tシャツが肌に張り付くやつ。

今日はその、夜のコインランドリーで乾燥機の前に並んで座った子の話。

先に言っとく。この話、お持ち帰りは出てこない。乾燥機が回ってた30分ちょっとと、そのあと連絡先を交換して、別々の方向に帰っただけ。それだけなんだけど、なんか、いい夜だった。

Scene 01

梅雨のコインランドリーは、夜のほうが空いてる

FIELD MEMO

コインランドリーの出会いの入口、現場での空気、会った後の動きまで。場面ごとの温度を拾いながら、アキの現場感をそのまま読む記事です。

そもそも俺、コインランドリーって普段ほぼ使わないんだよ。家の洗濯機で足りるから。でも梅雨だけは別。部屋干しがどうにもならなくなって、乾燥機目当てで月に何回か駆け込む。

ガラス戸を開けると、外より明らかに暑い。ずらっと並んだ乾燥機が何台か回ってて、そのモーターの熱と、ドラムが回る低い音と、柔軟剤の匂いが充満してる。蛍光灯が無駄に白くて明るくて、外の蒸し暑い夜とは別世界。あの、現実から半歩ズレた感じ、嫌いじゃない。

夜のコインランドリーって、不思議と空いてる。みんな昼間とか夕方に来るんだろうな。22時にもなると、いるのは仕事帰りっぽいスーツの男とか、俺みたいに部屋干しに敗北した人間がポツポツ。基本、みんな無言。スマホ見てるか、回る乾燥機をぼーっと眺めてるかのどっちか。

俺は洗濯物を一番手前の大型乾燥機に放り込んで、コインを入れた。表示、30分。布団カバーも入れたから多めに回す。で、座る椅子を探したら——備え付けのベンチが一脚しかなくて、その端っこに、女の子が一人座ってた。

アキ
アキ

夜のコインランドリーで座れる椅子が一脚しかないの、地味な詰みなんだよな。立って待つか、知らん人の隣に座るか。

膝の上にたたんだエコバッグを抱えて、自分の回してる乾燥機をじっと見てる。俺が入ってきたとき、ちらっとこっちを見て、すぐ視線を戻した。ベンチの空いてる端に座っていいものか、一瞬迷った。でも立って30分は普通にしんどい。

Scene 02

乾燥機が回る30分、二人ともやることがない

「ここ、いいですか」って端っこを指したら、彼女が「あ、はい、どうぞ」って体を少し詰めてくれた。で、座った。

座ったはいいけど、ここからが問題なんだよ。コインランドリーって、やることが本当に何もない。乾燥機が回るのを待つだけ。読む雑誌もないし、テレビもない。スマホをいじるにも、30分まるまるスマホ見続けるのも、それはそれで疲れる。だから、みんな結局、自分の乾燥機がゴロゴロ回ってるのをぼーっと眺めることになる。

この「予定された待ち時間に、たまたま知らない人と居合わせて、二人とも手持ち無沙汰」っていう状況、よく考えると面白い。街で声をかけるのとは全然違う。向こうも別に俺と話したくて来たわけじゃないし、俺もそう。ただ、同じ箱の中で、同じだけ手が空いてる。

最初の30秒くらいは、お互い無言で別々の乾燥機を見てた。彼女の回してるやつ、よく見たら中身が布団っぽい。ドラムの中で、大きい布団カバーみたいなのがバッサンバッサン跳ねてる。

アキ
アキ

それ、布団っすか。けっこう派手に跳ねてますね。

ミハル

あ、敷きパッドです。梅雨で全然乾かなくて…。家で干したら、なんか変な匂いになっちゃって(笑)

ミハル
アキ
アキ

わかる。俺もそれで来たんで。タオルが2日経っても乾かないんですよ。

ミハル

2日(笑)。それはもう、乾かないやつですね…

ミハル

「乾かないやつ」って。笑 梅雨の部屋干し敗北者同士、最初の一言が「乾かない」で繋がった。コインランドリーの会話のきっかけなんて、だいたいこんなもん。お互い同じ理由でここにいるのが見えてるから、「なんで話しかけてきたの?」っていう街ナンパの最初の壁が、そもそも無い。

コウ
コウ

いや、でもコインランドリーで隣の人に話しかけるの、勇気いらないすか?無言が普通の場所っしょ。

アキ
アキ

無言が普通だからこそ、洗濯物っていう共通の話題が一個だけ転がってんだよ。布団がバッサンバッサンしてたら「それ布団っすか」は普通に出るだろ。それ以上でも以下でもない。

無理に間を埋めなくていいのが、この場所の楽なところでもある。喋ったらちょっと喋るし、黙ったらまた二人とも乾燥機を見る。それで気まずくならない。乾燥機の音が、沈黙を沈黙にしないでいてくれる。

Scene 03

「私、朝が早い人なんで」

布団の話から、ぽつぽつ続いた。彼女、なんでこんな夜遅くに洗濯に来てるのか、っていう話になって。

ミハル

私、ほんとはこの時間にいる人間じゃなくて…。いつもめちゃくちゃ朝早いんで、夜はもう寝てる時間なんですけど

ミハル
アキ
アキ

朝早い人がこんな夜にいるの、レアキャラじゃないですか。

ミハル

レアキャラ(笑)。今日は敷きパッドが限界で…。これ乾かさないと寝るとこ無いので、しょうがなく

ミハル
アキ
アキ

寝床がかかってるんですね、これに。

ミハル

かかってます。回ってるあれ、私の今夜の寝心地です(笑)

ミハル

なんでそんなに朝が早いのか聞いたら、パン屋で働いてると。それも、駅の近くの大手チェーンじゃなくて、住宅街にある個人のちっちゃいパン屋。仕込みがあるから出勤が朝の4時とか5時で、だから普段は21時には寝てるらしい。

アキ
アキ

4時って。じゃあ今、完全に夜更かしじゃないですか。

ミハル

夜更かしです(笑)。今めっちゃ夜ふかししてる感覚。22時で。

ミハル
アキ
アキ

22時で夜ふかし。健康優良児すぎる。

ミハル

だから今、ちょっとテンションおかしいかも。眠いのと、なんか変な開放感とで…(笑)

ミハル

これ、ちょっと面白い現象で。彼女、普段ならとっくに寝てる時間に、無理やり起きて知らない場所にいるわけ。だから、いつもの自分とちょっと違う、半分眠くて、半分ふわっとした、ガードが緩い状態になってる。本人も「テンションおかしいかも」って自覚してる。別にこっちが何かしたわけじゃなくて、夜の時間帯と眠気が勝手に作った緩さ。だから喋ってても、変に取り繕った感じがなくて、素っぽかった。

念のため言っとくと、俺はこの「ガードが緩い」を利用する気はなかった。眠い人間に何か仕掛けるのはナンパじゃなくてただのタチの悪い話で、前に書いた酔った子を介抱して何もせず送り届けた夜と同じ線引きの話。緩いから踏み込む、じゃなくて、緩いからこそ素の会話を楽しむ。それだけ。

Scene 04

パン屋の朝の話で、急に二人ともよく喋った

パン屋の話になってから、彼女の口数が一段増えた。

聞いてて面白かったのは、朝のパン屋の話。まだ外が暗いうちから店の中だけ電気が点いてて、オーブンが温まると、店じゅうにパンの焼ける匂いが満ちてくると。で、開店前のいちばん最初に焼き上がる食パンの匂いが、一日で一番いいらしい。

ミハル

朝、誰もいない店で食パンが焼き上がる匂い、ほんとに幸せで。あれのために働いてるみたいなとこあります

ミハル
アキ
アキ

それ聞くと、4時起きも納得しちゃうな。匂いだけ毎朝かぎたい。

ミハル

でも、ずっとパンの匂いの中にいると、自分が何の匂いか分かんなくなるんですよ。家帰っても、髪とか服がずっとパン屋で(笑)

ミハル
アキ
アキ

それ最高じゃないですか。歩くパン屋。

ミハル

最高じゃないです(笑)。だから今日、敷きパッドもちゃんと洗いたかったんです。なんか全部パンの匂いになってきて

ミハル

歩くパン屋。笑 しかも本人、それが嫌で敷きパッドを洗いに来てるのに、結局この乾燥機から出てきた敷きパッドにまた毎晩くるまって、翌朝またパン屋に行くわけで。匂いの無限ループ。なんだその巡り合わせ。

ここで気づいたんだけど、彼女、ガラス越しに自分の乾燥機を見るとき、ちょっと前のめりになるんだよ。今夜の寝床だから、ちゃんと乾いてるか気になるんだろうな。で、布団の話と、パンの話と、たまに二人で乾燥機の残り時間を確認して、また喋って。気づいたら、最初に座ったときのお互いの距離より、ちょっとだけ近くなってた。コインランドリーの蛍光灯の下って、何も特別な演出がない分、相手の素がそのまま見える。化粧とか雰囲気で盛れる場所じゃないから、逆にいい。

コウ
コウ

アキさん、パン屋の朝の話でめっちゃ食いついてるじゃないすか。柄じゃなくないすか。

アキ
アキ

いや、人が本気で好きなもん語ってるときって、普通に面白いんだよ。狙ってリアクションしてるんじゃなくて、食パンの匂いの話、純粋に聞きたかった。

Scene 05

先に乾いたほうから帰る。それだけのルール

で、コインランドリーには、残酷なルールがある。先に乾いたほうから帰る

彼女の敷きパッドのほうが、俺の洗濯物より回し始めが早かったから、当然、向こうが先に止まる。残り時間の表示が「3分」になったあたりで、なんとなく二人とも黙った。会話が途切れたんじゃなくて、終わりが見えたから黙った、っていう感じの間。

ピー、って音が鳴って、彼女の乾燥機が止まった。

ミハル

あ、私のだ。…乾いてるといいけど

ミハル

立ち上がって、ドラムから敷きパッドを引っ張り出して、頬に当てて確認してた。ふかふかに乾いてたらしくて、「あったかい」って小さく言って、ちょっと笑った。今夜の寝床、確保。彼女はそれをエコバッグじゃ入りきらないから腕に抱えて、たたみ直して、帰る支度を始めた。

俺のはまだ12分残ってる。だから、ここで終わりなのは分かってた。送るとか、どっか行きませんかとか、そういう流れにするには、お互いこの蛍光灯の下が健全すぎたし、彼女は4時起きで、すでに夜更かしの限界に見えた。眠い子を引き留めるのは、さっきの線引きの話に反する。

だから、連絡先だけ、こっちから聞いた。理由も込みで。

アキ
アキ

あの、急なんですけど。そのパン屋、今度買いに行きたいんで、店の場所だけでも教えてもらっていいですか。さっきの食パンの話、聞いたら気になっちゃって。

ミハル

え、店…(笑)。…まあ、お客さんとして来てもらう分には、全然いいですけど

ミハル
アキ
アキ

お客さんとして行きます。…あと、いつ焼き上がるか分かんないと無駄足になるんで、よかったらLINEだけ。「今日いい食パン焼けた」みたいなの、たまに教えてもらえると。

ミハル

食パン速報(笑)。なにそれ

ミハル
アキ
アキ

食パン速報です。

ミハル

…ふふ。じゃあ、それで。…でも私、夜は基本もう寝てるんで、返信めっちゃ遅いですよ(笑)

ミハル

「夜は寝てるから返信遅い」って先に予防線を張るあたり、ちゃんとしてる子だった。LINEは交換してくれた。アイコンが、パンの写真だった。自分で焼いたやつかは、聞きそびれた。

敷きパッドを抱えた彼女が、ガラス戸のところで一回振り返って、

ミハル

あの、…なんか、夜のコインランドリーも悪くなかったです。眠いけど(笑)。お先に

ミハル

って言って、蒸し暑い夜に出ていった。残された俺は、まだ12分回ってる乾燥機を一人で眺めることになった。さっきまで二人で見てた乾燥機を、一人で見るの、ちょっと長い。笑

Scene 06

乾燥機の待ち時間は狙えない。という話

後日談。ちゃんと食パン速報、来た。

交換した数日後の朝、「今日のんめっちゃ綺麗に焼けました」ってパンの写真が一枚だけ送られてきた。返信めっちゃ遅いって言ってたのに、朝の速報だけは早い。笑 で、休みの日に店に行った。住宅街の、ほんとに小さいパン屋。レジに彼女がいて、俺に気づいて一瞬目をまるくして、でもすぐ店員の顔に戻って、「いらっしゃいませ」って。例の食パンを買って帰った。あの夜の乾燥機の中身が、今こうしてパンを焼いてるんだな、と思うと、ちょっと変な気分だった。LINEはゆるく続いてる。向こうが寝てる時間に送ると、翌朝にパン屋から返ってくる。それくらいの距離感。交換したあとの間合いのやり方はLINE攻略まとめに書いたから、そっち見てくれ。

で、最後に現実の話をしておく。

こういう出会いは、最高なんだけど、再現性はゼロに近い。梅雨で部屋干しが乾かなくて、夜のコインランドリーに行って、たまたま椅子が一脚しかなくて、たまたま隣に座った子が、たまたま話の合うパン屋の子だった。この確率、冷静に考えてみてほしい。そもそも乾燥機の前で待つ手持ち無沙汰っていう、あの30分の偶然がないと始まらない。狙って起こせるもんじゃない。

同じ梅雨でも、ゲリラ豪雨の軒下でたまたま隣り合った夜を前に書いたけど、あれは「予定外の足止め」で、コインランドリーは「予定された待ち時間にたまたま居合わせる」。どっちも入口は違うけど、共通してるのは偶然頼みで、月に一回あればいいほうってこと。ドッグランで犬きっかけに知り合った日もそうだし、こういう日常の出会いって、当たったら一生覚えてるボーナスではあるんだけど、戦略にはならない。待ってるだけだと、ゼロの月が普通に続く。母数が足りないんだよな。

だから俺は、普段の母数はマッチングアプリで回しておいて、コインランドリーとか雨とか、日常の偶然は「来たら全力で乗る」枠にしてる。素面で、変なスイッチも入れずに、目の前の人とただ世間話する感覚は、夜の繁華街の声かけより休日の昼ナンパに近い。テンションで押す場じゃなくて、温度を合わせる場。で、その温度を合わせやすい相手と効率よく会うなら、結局は数を打てる場所も持っておいたほうがいい。どのアプリがどういう層か、みたいな比較はマッチングアプリのランキングにまとめてある。偶然を待てないタイプの人は、そっちから。

どのアプリで会えるかは、こっちにまとめた出会えるアプリランキングを見る

全部実際に使った俺の本音ランキング。目的別の使い分けも載せてる。

コウ
コウ

結局お持ち帰りしてないのに、めっちゃ満足げっすね、アキさん。

アキ
アキ

毎回そこに着地しなくていいんだよ。あの蛍光灯の下で、眠い子が食パンの匂いの話してたの、普通にいい時間だったし。それで十分。

ちなみに、うちの部屋干し問題は何も解決してない。梅雨はまだ続くし、来週もたぶんあのコインランドリーに行く。あの椅子がまた一脚しか空いてないことを、ちょっとだけ期待してる……って書きたいとこだけど、世の中そんな都合よくはできてない。たぶん隣はスーツのおじさんだろう。笑

NEXT ROUTE

この流れの次に読む記事。

読み終わったあとに動きやすいように、連絡、街での流し方、次の場づくりに近い記事を置いています。

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ABOUT ME
アキ
ナンパ歴10年ちょい。アプリ・ストナン・相席・遠征までなんでも行く30代。実際に行って出会って、どうなったかをそのまま書いてます。