ライオン通で声かけ→骨付鳥の店で26歳・地元OLと
出張ついでに四国・高松へ一人遠征。ライオン通の骨付鳥の有名店の行列前で声をかけた地元信金勤めのマヒロ(26)に、古馬場の店と締めの夜うどんまで案内してもらった夜の記録。駅前・ライオン通・古馬場・瓦町のゾーン差も表で整理した遠征レポ。
地元の信用金庫勤務PLACE現場
現場レポHOOK声かけから
次の店へ
今回は香川・高松に遠征してきた話。といっても最初から狙ってたわけじゃなくて、平日の高松出張が入って、夜が丸ごと空いたからついでに動いた一人遠征回。四国は正直ノーマークだったんだけど、歩いてみたら高松の夜は想像の3倍ちゃんと「街」だった。ライオン通ってアーケードの飲み屋通りから古馬場(ふるばば)の路地まで歩いて、最終的に、骨付鳥の行列の前で声をかけた地元の信用金庫勤めのマヒロって子(26)と、骨付鳥→締めの夜うどんまで行った。
ただ、綺麗な話だけじゃない。夕方のアーケードでは買い物帰りの子に感じ良くかわされて地味な軽傷を負ってるし、古馬場では客引きのおっちゃんに二回捕まりかけてる。その辺の滑った場面も隠さず、歩いた順に書いていく。
なんで高松|マリンライナーの「高松行き」が、ずっと頭に残ってた

高松ナンパの入口、現場での空気、会った後の動きまで。場面ごとの温度を拾いながら、アキの現場感をそのまま読む記事です。
そもそものきっかけは、この前の岡山遠征の夜の帰りだった。岡山駅のホームで「マリンライナー 高松行き」って表示をぼーっと眺めてて、そうか、瀬戸大橋を渡ったら四国って地続きなんだよな、対岸の夜はどうなってんだろうな、っていうのが頭の隅にずっと残ってた。そこにたまたま高松出張が入った。仕事は夕方前に終わる。宿は駅近のビジホ。夜が丸ごと空いてる。行くしかない。
で、ほぼ下調べなしで行った俺が着いてから知ったんだけど、高松の飲み屋街は四国でも最大級にデカい。中心部のアーケード商店街は総延長が約2.7kmで「日本一長い」って言われてる規模で、その商店街網の南のほうに、ライオン通っていう飲み屋が密集したアーケードと、古馬場っていう夜の店がぎっしり詰まった一角がくっついてる。つまり声かけも、飲みも、締めも、だいたい屋根の下で済む。雨が降っても濡れない飲み屋街。しかも瀬戸内の気質なのか街全体がゆったりしてて、路上でガツガツ押すより、店の中でじわじわ寄せていくほうが合う街だった。この温度は着いて2時間で分かった。

高松って、うどんの国ってイメージだったっす。夜も強いんすね

俺も完全に舐めてた。笑 四国で一番手クラスの飲み屋街、高松のライオン通と古馬場ってとこに固まってるんだわ。

ライオン通。名前だけ聞くと強そうっすね
高松駅前はサンポートっていう再開発エリアで、オフィスとホテルと綺麗な広場の区画。海が近くて、港のほうから船の音が普通に聞こえてくる。駅前だけ見ると綺麗すぎて夜の気配はゼロなんだけど、夜の中心はそこじゃなくて、駅から15分ほど歩くか、ことでん(地元の私鉄)で瓦町方面へ出た先になる。俺はホテルに荷物を投げて、明るいうちに中心部を一周下見することにした。
高松のゾーン早見表|ライオン通・古馬場・瓦町駅前の温度差

歩いた話の前に、高松の中心部がどう分かれてるかを表で整理しておく。初見だと「全部アーケードで繋がってて、どこが夜の中心か分からん」ってなるんで(俺がなった)、ここだけ押さえておくと迷わない。
| ゾーン | 顔つき | 主にいる人 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| 高松駅前(サンポート) | 再開発の綺麗な区画。オフィス・ホテル・広場 | 出張族・観光客・仕事中の人 | 宿の起点。夜は基本通過 |
| ライオン通 | アーケードの中に居酒屋・バル・呑み処が密集 | 仕事帰りの地元組・飲み会の流れ・店探しの人 | 夜の入り口。人の流れが一番読める |
| 古馬場 | スナック・バー・小箱が路地と雑居ビルに堆積 | 飲み慣れた社会人・常連・客引きも出る | 夜の本丸。店に入って腰を据える |
| 瓦町駅前 | ことでんのターミナル+商業ビル。若さ強め | 学生・若手社会人・待ち合わせの子 | 夕方の待ち合わせ帯と、終電前の動き |
補足すると、高松の面白さは、この表のゾーンがほぼ屋根で繋がってること。夕方の商店街で声をかけて、ライオン通の店で飲んで、古馬場に流れて、締めのうどんまで、全部アーケードと路地の中で完結する。前に川口の駅前だけで一晩が完結した回を書いたけど、あれの「半径200mで全部済む」感覚を、屋根ごと横に2.7km引き伸ばした街だと思ってもらえれば近い。

てか「古馬場」って読めなかったっす。こばば?

ふるばば、な。俺も現地で読み方知った。笑 スナックの看板が縦にえぐい密度で積んである一角で、夜はここが本丸なんだわ。
ライオン通で声かけ|夕方に1回滑って、骨付鳥の行列の前でマヒロと

17時半、下見がてら丸亀町のアーケードからライオン通方面へ歩きながら、最初の声かけ。買い物袋を提げた同年代くらいの子に、歩くスピードを合わせて軽めに入った。

すいません、地元の方ですか? 骨付鳥食べるならここ、って店があったら聞きたくて。
あ……ごめんなさい、ちょっと急いでて。(小さく会釈)

会釈が丁寧なぶん、じわっと効いた。笑 感じ良く断られるのって、雑にスルーされるより地味にダメージ残るんだよな。夕方の商店街は完全に生活の時間で、みんな足が速い。ここは仕込みと下見に使う時間帯で、勝負の時間じゃなかった。
一回ホテルに戻って、19時半にライオン通へ出直した。夜のライオン通はちゃんと飲みの顔になってて、仕事帰りのグループ、店決めで立ち止まる二人組、案内板を見上げてる出張族。で、通り沿いにある骨付鳥の有名店の前が、観光客っぽい行列で15人くらい膨らんでた。並ぶか30分悩む俺。その横を、仕事帰りっぽいきっちりした服の子が通りかかって、行列を見て、ほんのちょっとだけ笑った。完全に「地元の人の顔」だった。

すいません、いま行列見てちょっと笑いました? 地元の人の顔してた。
え、笑ってないよ(笑)……ちょっとだけかな


やっぱり。笑 俺これ並ぶかどうか、さっきから真剣に悩んでるんですけど、地元的にはどうなんですか。
んー、美味しいよ? 美味しいけど……うちらは並んでまでは行かんかなぁ(笑)


その言い方、絶対ほかにいい店知ってるやつじゃないですか。
……まあ、知っとるけど(笑)

出張で来てて今夜しかないこと、骨付鳥だけは食って帰りたいことを正直にそのまま出した。彼女は地図アプリで場所を説明しようとして、路地を2回ズームして、諦めた。
古馬場の奥やけん、口で言うのむずいなこれ……看板もちっちゃいし


ですよね。じゃあ図々しいついでにお願いなんですけど、店の前まで案内してもらうのって、なしですか。案内料に生1杯付けます。
(少しこっちを見て)……ほな、前までな。入るかは店見てから決めるけん(笑)

マヒロ、26歳。地元の信用金庫勤めで、この日は締め作業が長引いた帰りだと言ってた。歩くペースがゆっくりで、こっちが半歩合わせる感じ。歩きながら分かってきたんだけど、この子は声のトーンがずっと一定で、俺の軽口にも急に温度を上げない。そのくせ、俺が地図を開きかけたら「こっち」って先に路地を曲がる。穏やかなのに、決めるのは早い。押しでどうにかなるタイプじゃないなと思って、俺は喋る量を2割減らして、質問を増やした。ライオン通から古馬場に入ると、スナックの看板が積み上がった路地になって、客引きのおっちゃんに二回「兄さん、いい店あるよ」をやられた。俺はこの手の呼び込みには乗らないことにしてる。マヒロが半笑いで「ついて行ったらいかんよ」って言うのと、ほぼ同時だった。
店の前に着いた。渋い構えの小さい店で、換気扇からニンニクと鶏の油の匂いが、もう路地まで来てる。
ここ。……匂い、先に来とるやろ(笑)


来てる来てる。やば、店の外まで匂いが出待ちしてるじゃん。もう俺、入る以外の選択肢が消えたわ。
ふふ。……しゃあないなぁ、うちも晩ごはんまだやけん、付き合うわ

「店の前まで」の約束が、匂いの前であっさり崩れた。ありがとう換気扇。
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古馬場の骨付鳥|カウンターで讃岐弁講座が始まった

店は小さいカウンター主体で、地元の常連っぽいおっちゃんと仕事帰りの二人組で7割埋まってた。俺とマヒロは奥のカウンターに並びで滑り込む。椅子の間隔が最初から近くて、ここまでの30分で一番物理的に距離が縮まった瞬間が「入店」だった。注文はマヒロが全部仕切った。
おやどりとひなどり、両方いくで。初めてなら比べんと始まらんけん


両方いくんだ。笑 りょうかい、じゃあ生2つで。
生ビールが来た。ジョッキ、表面張力ぎりぎり。
お、まけまけいっぱいや(笑)


まけまけ……? 何すかそれ。
こぼれる寸前まで注がれとるってこと。讃岐弁ね。……今、ちょっとかわいい言葉やなって思ったやろ


思った。笑 ずるいんだよな、その系統の単語は。
骨付鳥は、おやどり(親鳥)とひなどり(若鶏)の二本勝負。ひなどりは柔らかくてジューシーで、まあ誰が食っても美味い。問題はおやどりで、これがしっかり硬い。

かった!笑 あごが仕事してる……でも噛むほど味出てくるなこれ。皮のとこ最高だわ。
やろ? みんなひなどりから入るんやけど、おやどりのほう美味しいって言う人は、ちょっとだけ信用するんよ(笑)


え、じゃあ俺いま何かの試験受けてました?
さあ(笑) ……合格やけどな

皿に残った鶏油にキャベツを浸して食うのが正解、っていう作法もここで教わった。こってり重ための味を讃岐弁で「むつごい」って言うらしい、って豆知識も。骨付鳥はほんまは丸亀が本場なんよ、と言いつつ、この店の油には忠誠を誓ってるらしい。うどんと骨付鳥の話になった瞬間だけマヒロの口数が1.5倍になるのが分かって、俺はしばらく聞き役に回って、その早口を眺めてた。教えるのが好きな子は、こっちが美味そうに食うたびに目に見えて機嫌が良くなっていく。途中、店のおばちゃんがマヒロに「彼氏?」って聞いて、マヒロは否定も肯定もせずに「行列から拾った人(笑)」って返した。拾われたのは事実なんで、俺は黙ってジョッキを軽く上げといた。隣の常連のおっちゃんには「にいちゃん、ええ店教えてもろたなあ」って言われた。狭い店の距離感が、そのまま会話の距離感になる。

さっきから語尾の「けん」って、聞き心地いいよね。方言の中で一番攻撃力低いと思う。
攻撃力て(笑) 地元やけん普通に出るんよ。……あ、ほら今も

方言は一回笑いになったら、それ以上はいじらない。マヒロは仕事の話(窓口で一日中お金を数えて、夕方に必ず1円ズレる話)もしてくれて、俺は東京の話を聞かれた分だけ返した。気づいたら生が3杯目で、ジョッキが来るたび二人で「まけまけ」を確認して笑うようになってた。
締めの夜うどん|0時前のカウンターで、終電の話が消えた

23時すぎに店を出た。会計は約束どおり俺。生1杯どころか晩めし一式になったけど、案内料としては破格に安い。外に出たら小雨が降ってて、降ってるのに、俺らの歩く道はずっと乾いてた。アーケードすげえな、と一人で感心してたら、いい感じに酔ったマヒロが時計をちらっと見てから言った。
……お腹、まだ入る? この街、締めはラーメンやなくてうどんやけん


聞いたことある、それ。笑 じゃあ従いやす。てか案内、今日2軒目じゃないですか。
ふふ、乗りかかった船よ。ここまで来たら最後まで面倒見るけん

古馬場のはずれ、暖簾と湯気。飲み帰りの集団と仕事明けっぽいおっちゃんで、0時前なのにカウンターが埋まりかけてた。かけの小を頼んで、ネギと生姜は自分で乗せる方式。マヒロに倣って天ぷらを一個だけ取る。

……なにこれ。飲んだ後のこの出汁、発明でしょ。
ええ顔で食べるなぁ(笑) 連れてきた甲斐あるわ


生姜、テンション上がって入れすぎたかも。笑
あー、それはいかん(笑) 出汁の味が飛ぶけん、生姜はちょっとでええんよ

食いもんにだけ妙に厳しい26歳、面白すぎるだろ。出汁を飲みきったマヒロが、ふう、と息をついて、「県外の人にこの流れ、最後まで全部やらせたんはじめてかも」って小さく言った。自分の好きなものを正解の順番で食わせて、全部いい顔で食われた夜って、たぶん案内した側もそれなりに気持ちいいんだと思う。俺はもう完全に、この子のペースに乗せられてた。で、丼が空く頃には、椅子の間隔以上に隣が近くなってて、マヒロがことでんの時間を一回だけ調べて、それからスマホを鞄にしまった。この先は、いつもどおり細かくは書かない。ちゃんと、いい夜になった。それだけ。
その後|翌朝のうどんと、マヒロからの宿題リスト

翌朝。「朝は朝で行く店がちがう」というマヒロの主張で、チェックアウト前に朝うどんに付き合うことになった。朝7時台から普通に人が並んでる製麺所っぽい店で、かけ小に温玉。朝の高松、パン屋より先にうどん屋が動いてる。マヒロは俺より小さい丼にして、代わりに俺の丼から天ぷらを一個だけ持っていった。昨日の夜より近いのか遠いのか分かんない距離感で、でも全然嫌じゃない。窓の外を通勤の自転車が流れてって、この子はこのあと普通に窓口に立つんだよな、と思ったら、帰るのがちょっとだけ惜しくなった。
昨日の行列の店もな、ほんまは美味しいんよ。うちは並ばんってだけで(笑)


結局知ってる味なのかよ。笑
地元やもん。……次来るときは、実家のほうの製麺所連れてったげるわ。朝しかやっとらん店


それ、次の約束って解釈していいやつ?
……さぁ、どうやろなぁ(笑)

帰りのマリンライナーが瀬戸大橋に乗ったあたりで、マヒロからLINEが来た。うどん屋が12軒、骨付鳥が3軒、ご丁寧に行くべき順番付き。『次までの宿題な。順番はうちが決めるけん』って一文まで付いてた。1泊でどうしろと。笑
正直に書いとくと、遠征がこんなに綺麗に転がるのは珍しい。夕方は普通に滑ってたし、あの行列の前を通るタイミングが5分ズレてたら、俺は一人で骨付鳥をかじって静かにホテルに帰ってた。遠征は当たり外れがデカい。だから俺は一人遠征のときも普段からマッチングアプリを並行して回してて、この夜も空振りだったらホテルからアプリに切り替えるつもりでいた。マヒロと会えたのは、ほぼ引きの強さだけ。
- 余裕のある大人の子が多い印象だから、変な探り合いが少なくてやり取りが楽だった
- 「会う前提」で繋がる空気だから、いいなと思った子とも上品なまま話を進めやすい
- 下見だけなら無料。本気で会いに行くなら、男は有料で動くのが結局いちばん早かった
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乗り継ぎの新幹線では、暇つぶしにこの前の広島・流川の夜の記事を読み返してた。で、スマホにはあの宿題リストが残ってる。一番上の釜玉の店の横にだけ、星が三つ付いてた。
現場の次の動きまで見る。
声をかけた後、どの街でどう流すか。場所選びと飲みの入口に近い記事を並べています。


