旅好きの26歳と、次の旅行先の話で意気投合した日
Tinderでマッチしたカエデ(26・旅行会社で企画と添乗をやってる子)と、次の旅行どこ行く、の話だけで意気投合して数日後に会った話。スマホの中が世界中の写真だらけで、計画は雑なのにノリだけで地球の裏まで行ける子。フットワークの軽さの裏にあるものまで含めて、ナンパ師アキが実況するTinder体験談。
旅行会社の企画・添乗PLACE現場
現場レポHOOK会う前提の
導線
今回もTinder(ティンダー)の話。相手はカエデ(26)、旅行会社で企画と添乗をやってる子。つまり仕事で人を連れて旅に行く側の人間。マッチしてから会うまで、たしか3日くらい。きっかけは可愛いとか美人とかじゃなくて、「次どこ行く?」っていう、それだけの話で延々盛り上がったことだった。順番に書く。
プロフの2枚目がウユニ塩湖だった
Tinder体験談の入口、現場での空気、会った後の動きまで。場面ごとの温度を拾いながら、アキの現場感をそのまま読む記事です。
カエデのプロフは写真が5枚もあった。Tinderにしては多い。で、その中身がほぼ全部、旅先で撮った景色だった。1枚目だけ顔がちゃんと写ってる自撮りで、これは可愛い。でも2枚目がいきなりウユニ塩湖。鏡みたいな水面に空が映ってるやつ。3枚目が市場っぽい所で謎の果物を持ってる写真、4枚目がどっかの寺の階段、5枚目が飛行機の窓から撮った雲海。
顔写真より旅の写真のほうが多いアプリのプロフ、初めて見た。自己紹介文も短くて、「旅と写真。next候補募集中。提案歓迎」だけ。最後の「提案歓迎」が引っかかって、右にスワイプした。マッチした直後、その2枚目について聞いた。

2枚目ウユニ塩湖だよね。あれ実物どうだった?写真詐欺じゃない方の。
おっ、わかる人だ(笑)あれね、半分はガチで半分は奇跡待ち。乾季だと水ないし


え、水ない日あるんだ。じゃあ写ってるその水鏡、引きが良かったやつ?
3泊粘った(笑)最終日にやっと。執念です

この「3泊粘った(笑)」で、あ、ちゃんと旅する人だ、ってわかった。普通の旅行好きの何段階か上。SNS映えのために1泊で行って帰る感じじゃなくて、水が張るまで現地で3日待つタイプ。マッチして3往復目で、もう塩湖の乾季の話してる。入りが完全に旅トークだった。

アプリでウユニ塩湖の話から入る人、なかなかいないっすね。

だろ。可愛いって言うタイミング完全に逃したからな。笑 でも、こっちのが転がった。
俺も旅は好きで、国内も海外もそこそこ行ってる。カエデほどガチの場所には行ってないけど、写真の場所がだいたいどこか分かる程度には。だから「3枚目の果物なに?」って聞いたら「ドリアン。バンコクの市場。これ持って撮ったら隣のおばちゃんに笑われた」って、ちゃんと話が続く。向こうも、旅の写真の話が通じる相手がアプリにそんないないんだと思う。テンポが一気に速くなった。
4枚目どこか当ててみて。サービス問題


寺の階段でしょ。…カンボジア?アンコールっぽい。
正解(笑)ちょっと、合格点高い

「次どこ行く」の話だけで3日経った
そこから3日、ほぼ「次どこ行く」の話しかしてない。マッチングアプリのやり取りって、最初って探り探りで、趣味なに、仕事なに、休みいつ、みたいな項目を一個ずつ埋めていく感じになりがちなんだけど、カエデとはそれが全部すっ飛んだ。最初から旅の話で噛み合ってるから、自己紹介が要らなかった。
向こうが「next候補リスト」を勝手に送ってくる。台湾、ジョージア、メキシコのオアハカ、国内なら五島列島。一個ずつ「これは何月がいい」「これは安く行ける時期がある」って解説が付いてて、添乗の仕事してるだけあって情報が異常に具体的だった。
ジョージアね、ワインが甕で作るやつなの。あと物価が優しい。長居できる


情報が添乗員のそれなんだよな。パンフより詳しい。
職業病(笑)でも自分の旅は計画ぐだぐだなのよ。宿だけ取って後はノリ


え、仕事であんなに段取りするのに?
仕事で完璧にやるから、自分のはもう適当でいいやってなる(笑)

この、仕事はカチッとやるのに自分の旅は宿だけ取って後はノリ、っていうの、なんか妙に腑に落ちた。人に段取りを提供する仕事だからこそ、自分のときは段取りから逃げたいんだろうなと。話してて、計画は雑だけど決断は速い子だな、っていうのが文字越しでも伝わってきた。で、3日目の夜、こっちが何か言う前に向こうから来た。
ねえ、こんだけ旅の話して会わないの逆に不自然じゃない?(笑)今週どっか出れる?


いきなり週末の予定詰めてくるじゃん。笑 出れるけど。
じゃ金曜。お店は任せる。私お店選び苦手なの、目的地は決められるのに

このスピード感がTinderだなと思った。前に書いたTinderで美大生と当日に会った回もそうだったし、トレーナーの子と半日で会った回もそうだった。会話が噛み合うと、メッセを延々重ねる前に「会う?」まで一気に行く。タップルとかペアーズだと、まず何日かメッセを温めるのが普通で、3日で「金曜どっか出れる?」にはなりにくい。カエデは旅で初対面の客と毎回いきなり喋る仕事だから、人と会うこと自体に全然ハードルがないっていうのもあったと思う。
金曜の夜、世界地図みたいな居酒屋に入った
待ち合わせは駅前。来たカエデは、写真通り——というか、写真の景色の主役だけ抜いてきた感じで、めちゃくちゃ身軽な格好だった。リュック一個。財布とスマホとカメラだけ入ってますって雰囲気の小ささ。旅の写真の中にいた人がそのまま日常に出てきた、みたいな違和感のなさがあった。
店は、各国の料理を雑に全部出すみたいな無国籍居酒屋にした。壁に世界地図が貼ってあって、これはカエデに刺さるだろうと思って選んだ。案の定、席に着くなり地図のほう見てた。
お店これにしたの、絶対わざとでしょ(笑)


バレた。地図ある店なら話持つかなって。
もうこの地図だけで2時間いける。行ったとこにシール貼りたくなる


店の地図に勝手にシール貼るのはやめてあげて。笑
乾杯して、メニュー見ながら、また旅の話。カエデはメニューの選び方まで旅人だった。「現地で食べたやつあるか探す」って言って、ガパオとか、海南鶏飯とか、本場と比べて品評し出す。「これはタイのより甘い」「これは惜しい、パクチー足りない」。説教っぽくはなくて、ただ思い出と照合してるだけ。言ったあと自分で「あ、ごめん、つい比べちゃう。日本のも好きだよ」ってフォローするのがちょっと可愛かった。
おもしろかったのは、カエデが旅の写真は3泊粘るくせに、目の前の料理は雑に頼むこと。「全部気になるから全部頼も」って、4人前くらい注文しようとして止めた。

2人だからね。さっき全制覇しようとしてたよね。
だって全部食べたいんだもん。旅も食も、欲張りなの(笑)


頼む量がいちいち多いんだよな。笑
胃袋はちゃんと添乗できる(笑)

添乗の仕事の話になると、ちょっと顔が変わった
飲みながら、仕事の話を聞いた。添乗って、ツアー客を連れて現地を回る、あの旗持ってる人。カエデは企画もやるから、ツアーの行程を組むところから、当日連れていくところまで両方やる。話を聞いてると、想像の10倍ハードな仕事だった。
お客さん20人とか連れてくと、誰か絶対パスポート無くすし、誰か絶対お腹壊すの(笑)


それ全部カエデが対応すんの?旅っていうか引率じゃん。
引率です(笑)だから自分の旅はもう、誰も世話しないやつがいい

ここで、急にちょっと顔が変わった。さっきまでヘラヘラ全制覇しようとしてた子が、仕事の話になると目つきが落ち着く。一度、現地で台風に当たって帰りの便が全部飛んで、20人の客の足止め分のホテルと食事を一人で手配し切った話をしてくれた。淡々と話すんだけど、それ多分めちゃくちゃ大変だったやつで、こっちが「それ、すごいな」って言ったら、
いや、当たり前のことしただけ。お客さん全員無事に帰すのが仕事だから


いや当たり前のレベルが高いんだって。
ふふ、ありがと。…でもね、人ばっか運んでると、自分どこ向かってんだっけ、ってたまになる

この一言で、リュック一個でどこへでも行く旅好きの子、っていう印象が少し変わった。人を世界中に運ぶ仕事を全力でやってる分、自分は宿だけ取って後はノリで動く——身軽さの裏に、ちょっとだけ根無し草っぽい感じがある子だった。あちこち行けるけど、どこにも根を張ってない感じ。それを本人もうっすら分かってて、でも今はそれが楽、みたいな。

なんか、急に深い話になってません?

だよな。でもすぐ戻んの、この子。
実際すぐ戻った。「あー湿っぽい話した、なし!」って自分で言って、ハイボール飲み干して、また地図のほう見て「次は私の番、アキの行ったとこで一番よかった所どこ」って質問返してきた。切り替えの速さも添乗員だった。
2軒目のバーで、地図アプリを開いて旅の計画を立て始めた
居酒屋出て、2軒目どうする、って話になったとき、カエデが「もうちょい飲みたい、地図見れる静かなとこ」って謎の条件を出してきた。地図が見たい飲みの店ってなんだよと思いつつ、近くの暗いバーに入った。
カウンターに並んで座って、ハイボールとモスコミュール頼んで、そしたらカエデが当たり前みたいにスマホで地図アプリ開いた。
ねえ、さっきの五島列島、見て。これ車で全部回れるの。教会いっぱいあって


バーで地図アプリ開く人、初めて見た。
だってここ静かで見やすいんだもん(笑)ほら、この入り組んだ島の感じ


いや確かに、いい島だな。…って、今デートだよな俺たち。
デートで一緒に旅の計画立てんの、いちばん楽しくない?(笑)

このノリが、カエデだった。バーの暗いカウンターで、お互いのスマホを覗き込んで、行ったことある国にピンを刺し合って、行きたい所を勝手にプランニングする。やってることは出会って数時間の他人なのに、もう一緒に五島列島のレンタカーの台数まで真剣に話してる。距離が変な縮まり方をした。
途中で、画面を覗き込む距離が自然に近くなって、肩がぶつかった。カエデは画面から目を離さないまま、ちょっと笑った。
…近いな、地図


地図のせいにすんなよ。笑
ふふ、バレた

で、ここから先は、いつも通りで。カエデの所まで流れた、とだけ書いておく。細かいことを書く記事じゃない。
念のため、毎回書いてることをここでも書く。これは合意のある大人同士の話。カエデははっきり物を言う子で、その日も「お店は任せる」「これは飲まない」「これ気になる」って全部自分で言える人だったから、空気は読みやすかった。俺は、相手が乗ってこないなら引く。それだけ。ノリで地球の裏まで行くような子ほど、軽いノリに見えて本人の中の線はちゃんとある、っていうのは今回も同じで、その線はこっちが勝手に飛び越えるもんじゃない。
その後と、また連絡が来た日
カエデとは、その後もたまに連絡を取ってる。付き合うとかじゃなくて、向こうが添乗から帰ってくると「今○○から帰った、お土産の謎の菓子あるけど食べる?」みたいなLINEが来る、っていうゆるい関係。来るタイミングが完全に向こうの渡航スケジュール依存で、2週間音沙汰ないと思ったら「今ハノイ」とか送ってくる。本人がそういう生活だから、それでちょうどいい。
カエデとは今回Tinderで出会ったけど、旅の写真の話だけでマッチから3日で当日まで一気に行けたのは、いま思うとTinderの軽さと、カエデのフットワークが噛み合った結果だった。俺は会いたいテンションと相手の温度で持つアプリを変えてて、その辺の使い分けはマッチングアプリのランキング記事にまとめてある。
- 余裕のある大人の子が多い印象だから、変な探り合いが少なくてやり取りが楽だった
- 「会う前提」で繋がる空気だから、いいなと思った子とも上品なまま話を進めやすい
- 下見だけなら無料。本気で会いに行くなら、男は有料で動くのが結局いちばん早かった
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旅つながりで言うと、前に書いた尾道のゲストハウスで一人旅の子と道連れになった回とは、出会い方が真逆だった。あっちは旅先で偶然、時間の流れがゆっくりな所で勝手に距離が縮むやつで、今回は日常の中で、アプリで、数日で会う速いやつ。同じ”旅好き同士”でも、出会う場所でこんなに手触りが違うのか、っていうのは自分でも面白かった。ゲストハウスのほうは一期一会の濃さがあって、今回は日常に旅好きが一人増えた感じ。
会ったあとの連絡の組み立ては、相手が添乗員だろうが誰だろうが基本は変わらなくて、相手の温度とペースに合わせるだけ。その辺はLINEの距離感の記事に書いた通り。ただカエデの場合、相手のペースが「地球を半周してる」だったりするんで、追いすぎるも何も、こっちが追える速度じゃない。笑

結局、付き合ってはないんすね。

ないない。あの子捕まえとこうとするのは、たぶん渡り鳥に住所教えろって言うのと同じだわ。
この前、急に「五島、来月行くことにした。一人で。アキ忙しいよね?」ってLINEが来た。あのバーで一緒に組んだプランを、結局一人で実行に移すらしい。行ってらっしゃい、写真送って、とだけ返した。たぶんまた、3泊粘った教会の写真が、忘れた頃に届く。
会った後の流れまで、次に読む。
アプリで会ったあとに失速しないように、連絡、待ち合わせ、次のデートへ繋がる記事を置いています。


