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【ワクワクメール 大分】初めて伝言板の「お相手のみ」を使って会った火曜、府内町のとり天の店で31歳の酒屋の二代目と

【ワクワクメール 大分】初めて伝言板の「お相手のみ」を使って会った火曜、府内町のとり天の店で31歳の酒屋の二代目と
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APP REPORT / 大分

ワクワクメール 大分初めて伝言板の「お相手のみ」を使って会った火曜、府内町のとり天の店で31歳の酒屋の二代目と

大分に一泊の出張が決まった日曜の夜、ワクワクメールのプロフ検索を大分にして、酒屋の二代目の伝言板に「お相手のみ」で一行残した。鍵のマークを自分で付けたのは初めて。月曜の返事はメールで来て、火曜の19時、府内町のとり天の店の写真の前で合流。一軒だけで中央通りを駅まで歩いた夜と、水曜の朝に俺の伝言板に増えてた鍵のマークの話。

ワクワクメール 大分 大分 読了 14分
01 APP会う前提で入る 02 MEET大分で合流 03 VIBE空気を作る 04 AFTER次の場所へ
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TYPEハルミ 31歳
大分市内の酒販店の二代目(配達と店番)
PLACE大分
現場
HOOK現場感を
そのまま読む

とり天の写真の前に二人で立って、俺は皿の真ん中を、右隣の人は皿の端を見てた。その右隣の人の伝言板に、日曜の夜、鍵のマークを付けた書き込みを残してた。人の伝言板に書いたのは、それが最初だわ。ワクワクメールの伝言板には「全員に公開」と「お相手のみ」の二種類があって、お相手のみで書くと鍵のマークが付いて、書いた側と書かれた側しか読めない。公開のほうが安くて、お相手のみは少し高い。その高いほうを、大分に行く前の日曜に押した。

ハルミは31歳、大分市内の酒屋の二代目。昼は配達、夕方からは店番で、火曜の夜だけ店番を親に替わってもらって出てきてた。俺のほうは、10月の終わりの火曜に一泊の出張。府内町のとり天の店に19時、一軒だけで、中央通りを駅まで二人で歩いて別れた。二軒目は無い。ハルミの水曜は、朝から配達だったから。

Scene 01

玄関が閉まらない宿と、0時に閉まった宿

前に大分で泊まったのは8月の中旬で、福岡の仕事の帰りの二泊。宿の玄関が0時に閉まる夜だった。府内町と都町を時間の帯で割って歩いた8月の回だと、俺はとり天の写真を表に出した店の前で足を止めて、メニューを三分くらい読んで、入らずに都町のほうへ歩いてる。あの店に入るのは、だから今回が初めてなんだよ。

今回は羽田から大分へまっすぐで、昼の打ち合わせが先方の会議室で15時に終わった。宿は駅の北口から歩いて数分のところ。フロントで鍵を受け取るときに、玄関は何時に閉まりますかと聞いたら、閉めません、と一言で返ってきた。8月とは別の宿なのに、あのときの一言がまだ耳に残ってたぶんだけ、閉めません、のほうが妙に軽く聞こえた。

荷物を置いて、18時半に宿を出た。北口を出ると中央通りが北にまっすぐ伸びてて、歩道が広くて、両側に街路樹。8月はこの道を夜に歩いて、帰りは走った。10月の終わりの18時半は、まだ空に明るさが残ってて、上着が要る気温になってた。街路樹の葉はまだ落ちてなくて、歩道の照明が点き始める時間と、店の看板が点く時間がちょうど重なってた。

アキ
アキ

同じ道を、前は走って、今回は歩いてる。それだけで別の街みたいに見えるんだよな

府内町は中央通りの西側で、駅寄り。居酒屋と海鮮の店の看板が横一列で、入口はどこも一階。ガラス越しに中の明るさが歩道まで漏れてる店ばかりだわ。19時前のこの帯は、会社の集まりがこれから入っていく時間で、歩いてる人は店の前で立ち止まって中を覗いてから入る。俺もその一人だった。ただ今回は、覗く店が最初から決まってる。

Scene 02

日曜の夜、ハルミの伝言板で「お相手のみ」を選んだ

時間を戻す。出張が決まったのは日曜の昼で、夜になってワクワクを開いて、プロフ検索の範囲を大分に絞った。地方は恋活アプリの母数が薄くて、ニックネームで動ける出会い系に普通の地元の人が残ってる、というレビューの理屈を、自分で使う夜だわ。出張が決まった日の夜は、だからワクワクから開く。

ワクワクは、18歳未満と高校生は使えないサービスで、俺のほうの年齢確認は、入れた週末に済んでる。一覧の上から一人ずつプロフを開いて、自己紹介を読んでいった。文章だけなら、いくら開いても減るものが無い。

ハルミのプロフは、31歳、大分市。自己紹介がこうだった。「酒屋の二代目です。昼は配達、夕方から店番。お酒の話は、値段じゃなくて造ってる人の話がしたいです。」写真は、開くと減るほう。開いた。軽トラの荷台に酒のケースが積んであって、いちばん上に軍手が一組置いてある写真だった。顔は写ってない。配達の途中で撮ったんだと思う。

アキ
アキ

造ってる人の話、って書く酒屋の人。値段を聞かれ続けてきた人の書き方じゃん、これ

で、ここで俺はメールを打たなかった。理由は二つある。一つは、日曜の時点で火曜の夜が本当に空くかが九割で、九割のことにいちばん高い手段を使うのは、まだ早い気がしたこと。もう一つは、モバイラーズという三つ目のポイントまで辿った回で、伝言板の二行だけが俺の指の通ってない行だったこと。あの二行が、日曜の夜に目の前にあった。

伝言板は、会員ごとに付いてる掲示板みたいなもので、全員に公開で書けば誰でも読めるし、お相手のみで書けば鍵のマークが付いて、書いた俺と書かれたハルミしか読めない。ハルミの伝言板には、公開のほうは残せないことになってた。ひそひそだけ受け取る設定にしてる人には、全員に公開のメッセージは置けない決まりらしい。選ぶまでもなく、お相手のみだった。

書いたのはこれ。

アキ
アキ

造ってる人の話、聞きたいです。火曜の夜だけ、東京から大分の府内町にいます。とり天を食べる予定だけ、先に決まってます

送ったら、ハルミの伝言板の俺の書き込みに鍵のマークが付いた。これで読めるのは二人だけ。自分で付けた鍵を眺めるのは変な気分で、公開の掲示板に書くのと、メールを送るのの、ちょうど中間にいる感じがした。火曜の夜のことを書いたから、公開のほうじゃなくてよかったとも思った。

Scene 03

月曜の返事は伝言板じゃなく、メールのほうに入ってた

月曜は普通に仕事で、部屋に戻って上着も脱がないままワクワクを開いたら、メールが一通来てた。受信は0P。送り主はハルミで、伝言板に書いたことへの返事が、メールのほうで来てた。

ハルミ

伝言板に鍵付きで来た人、初めてです(笑)とり天の店、決めてます?

ハルミ
ハルミ

決めてないなら、うちが納めてる店が府内町にあります。中央通りから一本奥に入った、とり天の写真を表に出してる店。火曜は19時なら、店番を親に替わってもらえます

ハルミ

とり天の写真を表に出してる店。読んだ瞬間、8月に三分メニューを読んで入らなかった店だと分かった。府内町でとり天の写真を出してる店が一軒しか無いわけじゃないと思うんだけど、俺の頭の中では、もうあの店だった。

返事は一通にした。メールを送るのは、伝言板のお相手のみより減りが大きい。

アキ
アキ

決めてません。19時に、その写真の前にいます。前に一回、その店のメニューだけ読んで通り過ぎてるんで、たぶん場所は分かります。返事は無しで大丈夫です

返事は無しで、と書いたのは、向こうの店番の時間にスマホを開かせたくなかったから。で、本当に来なかった。月曜の夜のうちに、火曜の19時と、店の前、まで決まって、俺が送ったのはこの一通だけだわ。

コウ
コウ

酒屋の人と飲むの、注文で試されそうっすね。日本酒、何頼むんすか

アキ
アキ

試された。っていうか、俺が選ぶ番は一回も来なかった。笑 後で分かる

俺がハルミに最初に送ったのは、メールじゃなくて、鍵のマークの付いたほうだった。料金早見表の回で、全員に公開もお相手のみも一度も残したことが無いと書いた伝言板の、お相手のみのほうを、大分に行く前の日曜に初めて使った。

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Scene 04

とり天の写真の前で、二人とも別のものを見てた

18時55分、店の前。看板の下に、とり天の写真が8月と同じ場所に出てた。少し色が褪せたか、照明が変わったか、俺の記憶のほうが褪せたか。皿に盛られたとり天と、かぼすの半分と、小皿のからし醤油。8月に三分読んだメニューは、写真の横にまだ貼ってあった。

俺がその写真を見てたら、右側に人が一人、同じ写真の前で止まった。ベージュのジャケットに黒いパンツで、肩に小さい鞄。俺はとり天のほうを見てて、その人は写真の端のほうを見てた。顔を上げたのが、ほぼ同時だった。

ハルミ

……端のほう。うちの瓶、写ってます

ハルミ
アキ
アキ

瓶? とり天しか見てなかった

ハルミ

普通はそうです。ハルミです

ハルミ
アキ
アキ

アキです。同じ写真見てて、見てるとこが違ったね

ハルミ

ふっ。……納めた瓶が写真に写っとるか、毎回見るんです。癖

ハルミ

ふっ、というのは、鼻から息が抜けた音で、それが笑いだと分かるまでに二回かかった。口はあんまり動かない。鼻のほうが先に笑う人だった。

中に入ると、カウンターと、奥に小上がりが二つ。火曜の19時で、小上がりの一つに会社の集まりらしい六人が入りかけてた。俺らは入口に近いほうのカウンターに、二つ並びで座った。店の人がハルミの顔を見て軽く頭を下げて、ハルミも同じくらいの角度で返した。納めてる店、というのはこういう距離なんだなと思った。

生ビールを二つ。とり天はハルミが頼んで、一皿を二人で。それと、俺が頼もうとしたところで、ハルミが店の人に「いつもの、冷やで」と言った。俺の番はここで一回飛んだ。

アキ
アキ

いつもの、って。俺、何が来るか知らないまま飲むんだ

ハルミ

知らんほうがいいです。名前聞いたら、検索するやろ?

ハルミ
アキ
アキ

する。帰りの飛行機で

ハルミ

ほら(笑)値段が先に出てくるんです、検索は。それが嫌

ハルミ

それが嫌、で言い切って、一拍おいて「嫌なんです」と足した。大分の言葉が混ざる言い方と、標準語に寄せた言い方が、話してるあいだに何回も入れ替わって、どっちが出てくるかの境目が俺には分からなかった。寄せるのは、たぶん酒の話のときだけだった。

とり天が来た。衣が薄くて、揚げたての音がまだしてる。かぼすはハルミが半分だけに絞って、残りの半分はそのまま、と決めてた。からし醤油は俺が先につけて、口に入れたら熱くて、しばらく喋れなかった。

ハルミ

熱いうちに食べるもんです。ふっ……喋れんくなってる

ハルミ
アキ
アキ

8月に、この店の前でメニューだけ読んで通り過ぎたの、今けっこう後悔してる

ハルミ

なし入らんかったと?

ハルミ
アキ
アキ

飲む前に飯で足が止まるのが、なんか情けない気がして。都町のほうに歩いた

ハルミ

情けなくないです。この店の前で止まる人は、だいたい正解(笑)

ハルミ

冷やが来た。店の人がカウンターの奥で瓶から注いで、グラスだけがこっちに来る。瓶はラベルをこっち向きにしないで、奥の棚に戻った。ハルミが店の人に目で何か言って、店の人が小さくうなずいたのが見えた。俺には見せない、ということらしい。

Scene 05

造った人の話は出るのに、酒の名前が最後まで出てこない

グラスの酒は、冷たくて、匂いが先に来るやつだった。何の匂いかは言えない。言えないんだけど、とり天のあとに飲んだら、口の中の油が一回きれいになくなった。

アキ
アキ

これ、いくらくらいの

ハルミ

出た(笑)値段で聞かれると、話がそこで終わるんです

ハルミ
アキ
アキ

癖なんだよ。会社員の。すまん

ハルミ

配達先の人もみんなそう。造ってるの、三人の蔵なんです。お父さんと息子と、息子の奥さん

ハルミ
アキ
アキ

三人で、これ全部

ハルミ

全部。電話すると、だいたい奥さんが出る。息子は瓶詰めの日は電話取らん人で

ハルミ

そこから、酒の話は全部その三人の話だった。仕込みの時期に奥さんの声がかすれてくること、瓶詰めの日にハルミが手伝いに行くこと、お父さんのほうは配達に来たハルミに毎回同じ漬物を出すこと。酒の味の話を、一回もしなかった。甘いとか辛いとか、そういう言葉が出てこない。出てくるのは人の名前と、その人が何をしてるかだけで、それを聞いてるうちに、グラスの中の匂いが、なんとなく人の匂いに思えてくる。変な言い方だけど。

二代目の話も、同じ喋り方だった。

アキ
アキ

二代目って、継ぐって決めたのいつ

ハルミ

配達で、店の人に名前を覚えられてから。父の名前じゃなくて、うちの名前で呼ばれるようになって

ハルミ
アキ
アキ

それで決めたんだ

ハルミ

決めたっていうか、もう決まっとった。ふっ。……気づいたのが遅い

ハルミ
アキ
アキ

この店も、ハルミさんの名前で呼ぶ側?

ハルミ

ここは、二代目、って呼ぶ(笑)名前で呼んでくれん

ハルミ

鼻の笑いが、だんだん口に降りてきてた。最初は鼻だけだったのが、二代目、のところで口の端が動いて、そのあとは両方で笑うようになった。ジャケットを脱いで椅子の背に回したのもこのへんで、中は白いシャツだった。

俺の仕事の話も聞かれたんだけど、二分で酒の話に戻った。正しい。俺の仕事の話より、三人の蔵の話のほうが面白い。それはこっちも分かってる。

ハルミ

東京の人、ワクワクの伝言板に書いてくるの珍しいです。みんなメールで来る

ハルミ
アキ
アキ

俺も初めてだったんだよ、あれ。鍵が付いたのを見て、ちょっとびびった

ハルミ

びびったのに、火曜って書いてた(笑)

ハルミ
アキ
アキ

鍵付きだから書けた。公開だったら、曜日は書いてない

ハルミ

うちの伝言板、公開のほうは受け付けてないんです。配達先の人に見られるのが嫌で

ハルミ

配達先の人に見られるのが嫌で。この一言で、プロフの写真が軽トラの荷台だったことと、伝言板が鍵付きしか受け付けてなかったことが、同じ理由でつながった。狭い街で商売をしてる人の、顔を出さない理由だわ。軽トラの荷台のいちばん上の軍手まで、急に意味が付いて見えた。

21時を少し回ったころ、ハルミがグラスを置いて、腕時計を見ないで言った。

ハルミ

明日、配達が朝からで。7時に積み込みなんです

ハルミ
アキ
アキ

じゃあ今日は一軒で

ハルミ

一軒で。……二軒目、期待しよった?

ハルミ
アキ
アキ

してた。笑 でも7時の積み込みには勝てない

ハルミ

勝てんです(笑)ケース、重いんで

ハルミ
コウ
コウ

7時の積み込みって、こっちがまだ寝てる時間じゃないすか

アキ
アキ

だから一軒で終わりなんだよ。軽トラの積み込みの時間に、俺の夜を合わせただけだわ

21時半に店を出た。伝票は俺の手元に来た。ハルミは一回こっちを見て、財布には触らなかった。かわりに、店の人へ小さく頭を下げて、そのまま首だけこっちに向けて、もう一回下げた。

外は19時より冷えてて、ハルミはジャケットの前を閉めた。歩いて帰る、と言った。酒屋の軽トラは店にあって、飲んだ日は触らない。それだけの話で、だから今日は最初から歩きで来てる。駅までは中央通りをまっすぐで、歩いて10分かからない。俺の宿も駅の近くだから、途中まで同じ道になった。

中央通りの歩道は広くて、二人で並んでも余る。街路樹の下は照明が葉に遮られて、明るいところと暗いところが等間隔で交互に来る。火曜の21時半の中央通りは人が少なくて、前にも後ろにも、同じ方向に歩いてる人が二人か三人いるだけだった。

ハルミ

歩くの、速いですね

ハルミ
アキ
アキ

東京の速さ。合わせる

ハルミ

合わせんでいい。配達で、一日中歩いてます

ハルミ
アキ
アキ

じゃあこの道も配達で歩く?

ハルミ

毎週。昼のこの道と夜のこの道、別の道みたいでしょ

ハルミ
アキ
アキ

俺は8月の夜と今日の夕方で、同じこと思った。走ってる道と歩いてる道も、別の道だった

ハルミ

走ったんですか、ここ。ふっ……門限?

ハルミ
アキ
アキ

門限。0時。今回の宿は閉まらないって言われて、逆にそっちが落ち着かない

北口が見えてきて、バス乗り場の照明が中央通りの照明より白い。ハルミの家は駅の向こう側で、俺の宿は手前。ここで分かれる道だった。

バス乗り場から外れた、照明の届かない側で、少しだけ立ち止まった。その少しのあいだのことは、字にすると嘘になる種類のやつなんで、いい雰囲気、までにしとく。ハルミの鼻の笑いが、暗いところで一回聞こえた。

ハルミ

名前、明日

ハルミ
アキ
アキ

酒の?

ハルミ

酒の(笑)検索せんかったら、教える

ハルミ
アキ
アキ

名前知らないのに検索できないじゃん

ハルミ

教えてから、検索せんかったら、です。ふっ。……おやすみなさい

ハルミ

ハルミは駅の横を抜けて、向こう側へ歩いていった。足の速さは、中央通りのときと同じだった。鞄が肩で揺れてるのが、駅の建物の角で見えなくなるまで見てた。

連絡先は交換してない。LINEの話は、どっちの口からも出てこなかった。交換するなら一対一のメールか伝言板のひそひその中で、と公式が場所を決めてるのは、規約第16条の(22)と連絡先交換の※印を並べた回で読んでて、ハルミとのあいだには、その二つのうちの片方がもう開いてる。急ぐ理由がなかった。

Scene 06

水曜の朝、俺の伝言板に鍵のマークが一個

水曜、宿を出る前にワクワクを開いたら、俺の伝言板に、鍵のマークの付いた書き込みが一個増えてた。ハルミ。中身は、酒の名前がひとつ。それだけ。ここに書くと検索される側の名前になるんで、書かない。

名前を見て、昨日のグラスの匂いが一瞬だけ戻ってきた。読み方が分からない字が一字あって、店で聞いてたらハルミの声で覚えられたのにな、と思った。

アキ
アキ

検索せんかったら、って言ってたよな。したら、どうやって分かるんだよ

分かりようがない。分かりようがないのに、しなかった。宿を出て、昼の便で東京に戻って、夜に自分の部屋で、日曜と同じハルミの伝言板に、お相手のみで一行だけ返した。鍵のマークが、ハルミの伝言板で二個目になった。

アキ
アキ

覚えました。調べてはいません。一字、読めてないです

読めてない、と書いたのは、次に聞く理由をひとつ残しておきたかったからで、嘘は書いてない。ハルミからの返事はまだ無い。配達の朝が早い人の返事は、たぶん夜に来る。

数えると、メールが一往復、鍵のマークが三つ。ハルミとのあいだで動いた文字は、それで全部だった。

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東京の部屋で、酒の名前を検索の窓に入れてない。入れたら、三人の蔵の話より先に値段が出てくる。ハルミがそう言ったからというより、火曜のグラスの中身を値段で覚え直すのが、なんとなく損な気がしてる。読めない一字の形だけ、机の上に指で書いてみた。

NEXT ROUTE

会った後の流れまで、次に読む。

アプリで会ったあとに失速しないように、連絡、待ち合わせ、次のデートへ繋がる記事を置いています。

気になった動線から、そのまま次の記事へ。 関連記事
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アキ
ナンパ歴10年ちょい。アプリ・ストナン・相席・遠征までなんでも行く30代。実際に行って出会って、どうなったかをそのまま書いてます。