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【PCMAX 横浜】掲示板の「ランチ・ディナーいこう」に返して、野毛の二階の店で35歳の管理栄養士と

【PCMAX 横浜】掲示板の「ランチ・ディナーいこう」に返して、野毛の二階の店で35歳の管理栄養士と
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APP REPORT / 横浜

PCMAX 横浜掲示板の「ランチ・ディナーいこう」に返して、野毛の二階の店で35歳の管理栄養士と

木曜の夜、PCMAXの掲示板を神奈川の「ランチ・ディナーいこう」で開いて、「土曜の夕方、野毛で軽く。」に一通。三往復で決まった土曜、野毛の小さい店の二階の窓際から手を上げたのは、病院で献立を立てる35歳のツグミ。ハムカツを頼んでも何も言われなかった夜と、日曜に届いた一通の話。

PCMAX 横浜 横浜 読了 14分
01 APP会う前提で入る 02 MEET横浜で合流 03 VIBE空気を作る 04 AFTER次の場所へ
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TYPEツグミ 35歳
市内の病院の管理栄養士
PLACE横浜
現場
HOOK現場感を
そのまま読む

ハムカツを頼んだすぐあとに、向かいに座ってる人が管理栄養士だと知った。野毛の小さい店の二階、窓際のテーブル。注文はもう一階の厨房に通ってて、取り消すなら急な階段を下りていくしかない。下りなかった。笑

ツグミは35歳で、会ったのは10月の土曜の夕方。市内の病院で、入院してる人の朝昼晩の献立を立ててる。始まりは、PCMAXの掲示板に木曜の夜に返した一通。揚げ物への小言は、店にいるあいだ一つも言われなかった。

Scene 01

「土曜の夕方、野毛で軽く。」は、開いた三件目

その週の土曜は、昼から夜まで何も入ってなかった。都内の店で誰かと飲むのもなんか違う気がして、木曜の夜、帰りの電車でPCMAXの掲示板のエリアを神奈川に変えてみた。ジャンルは「ランチ・ディナーいこう」。今夜すぐ会う系じゃなくて、日にちを決めてから飯に行く人の書き込みが見たかったんだよ。

普段の俺は、掲示板はそのエリアの空気を眺めるのに使って、会う相手はプロフィール検索から探してる。掲示板は「読む」用、って見出しの付いた使い方のコツの段でも、その使い分けのまま話してる。だからこの木曜も、眺めるだけで終わる可能性のほうが高かった。

掲示板の検索そのものはタダで、書き込みを一件開くごとに1ptずつ減っていく。だから開くのは三件までにした。一件目は横浜駅の近くで平日のランチ。二件目は日曜の夜に川崎で焼肉。どっちも感じは悪くなかったけど、平日の昼は俺が東京で働いてるし、日曜の夜は月曜の朝が頭にちらつく。俺が空けてたのは土曜で、どっちとも日にちが噛み合わない。三件目がツグミの書き込みだった。

「土曜の夕方、野毛で軽く。」

そのあとに、食べ物の好き嫌いが一個だけ添えてあった。きゅうりが苦手、って。自己紹介らしいものはそれくらいで、写真も付いてない。俺はこの時点で、ツグミの顔も、何の仕事をしてる人なのかも知らない。

アキ
アキ

きゅうりのことしか書いてない。なんか、話が早そうな人だな

「軽く」ってところも効いてた。最初から長くはならないって言ってくれてる書き込みには、こっちも重たい一通を送らずに済む。横浜まで行って一杯で帰ることになっても、それはそれで土曜の使い方として悪くない。

年齢確認は前に済ませてあるから、日にちと場所の入った書き込みも普通に開ける。掲示板に書き込めるのは、18歳以上で高校生でもない人だけ。登録の入口でそう決まってる。

Scene 02

きゅうりは頼みません、と書いて返した

返す一通目には、書き込みにある言葉をそのまま拾うことにしてる。「棚卸し」の一語に乗って掲示板に返した回の一通も、その拾い方で打った。書き込みからメッセージを送るのが5pt。その晩のうちに打ったのが、これ。

アキ
アキ

野毛で軽く、に乗らせてください。東京からなんで、桜木町で降りるところまでは間違えません。きゅうりは頼みません

金曜の朝には、ツグミから返ってきてた。

ツグミ

桜木町で降りられたら大丈夫(笑)立ち飲みは足が疲れるから、座れる店がいい

ツグミ
アキ
アキ

座れる店、賛成です。18時くらいからでどうですか

ツグミ

いいよ。二階の小さい店、知ってるとこある。先に行って席取っとく

ツグミ
アキ
アキ

助かります。着いたら、そのまま二階に上がればいいですか

ツグミ

うん、窓のほう。階段せまいから気をつけて

ツグミ

金曜の昼に俺が二通目を送って、二階の店の話が戻ってきたのが夕方。残りの一往復は、その夜のうちに行き来してる。店の名前と場所は、ツグミの最後の返事にくっついてた。ptは、書き込みを開いた三件で3pt、俺から送った三通で15pt、足して18pt。

ツグミのプロフは、この時点でまだ一度も開いてない。書き込みで顔のことに一言も触れてない人に、こっちだけ先に顔を確かめに行くのは、なんか釣り合わない気がした。そのまま、土曜の18時と、店の二階の窓際が決まった。

アキ
アキ

向こうから聞かれたこと、ひとつも無いんだよな。それで何も困ってないのがすごい

PCMAXの掲示板を開くのは平日の夜だけにしてて、ツグミの書き込みを見たのも木曜の夜、開いた三件のうちの最後の一件だった。

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Scene 03

桜木町を17時半に出て、大岡川を回ってから階段を上がった

土曜、桜木町の改札を出たのが17時半。改札の外で、人の流れが海のほうと野毛のほうに二手に分かれていく。海のほうへ行く人たちは、だいたい手をつないでるか、紙袋を提げてる。俺は野毛のほうへ渡った。空はまだ少し明るくて、路地の赤提灯に灯が入りはじめたところだった。

18時までは30分ある。店の場所はもう分かってて、真っすぐ行けばすぐ着く。ただ、先に行って席を取っとくって言ってくれた人より先に俺が座ってたら、段取りをひっくり返すことになるじゃん。だから大岡川のほうまで出て、都橋のあたりの川沿いをひと回りした。川沿いの小さい店はもう半分くらい埋まってて、中の人たちはみんな顔見知りみたいな喋り方をしてる。俺が入る隙間は最初から無い。眺めるだけで通り過ぎた。

土曜の野毛は、路地の入り口ごとに二人連れや三人連れが固まってて、どこに入るか相談してる。野毛の軒先で24歳の横浜っ子に声をかけた夜は平日で、もつ焼きの立ち飲みから入ってる。今日は声をかける気はさらさら無くて、行く店も、二階の窓際ってとこまで決まってる。同じ野毛の路地なのに、目に入ってくるものがまるで違うんだわ。

18時の少し前に、店の前に着いた。一階は厨房とカウンターで、引き戸の上のほうから、揚げ油の匂いが外まで漏れてる。カウンターの脇に、人ひとりがやっと通れる幅の階段。せまいから気をつけて、の意味は見た瞬間に分かった。

手すりをつかんで上がっていく。途中で、上からグラスをテーブルに置く音がひとつだけ聞こえた。二階は四人がけのテーブルが三つと、窓際に二人がけが一つ。客は、その窓際に一人いるだけだった。階段を上がりきる前に、その人が片手を上げた。

アキ
アキ

手を上げられる側って、慣れてない。思わず会釈で返してた

ツグミ

階段、急だったべ?(笑)

ツグミ
アキ
アキ

急でした。手すり、二回つかみました

ツグミ

私も最初そうだった

ツグミ
アキ
アキ

てか、俺、まだ名乗ってないですよね

ツグミ

この時間に一人で上がってくる人、ほかにいないじゃん

ツグミ

それはそう。笑 ツグミは窓を背にして、階段のほうを向いて座ってた。前髪を横に流して耳にかけてて、白いシャツの上に、えんじ色のニット。テーブルの上には、緑茶ハイがもう一杯来てる。

アキ
アキ

もう飲んでる。待たせました?

ツグミ

ううん、座ったら頼みたくなっただけ。甘いのは苦手だから、いつもこれかビール

ツグミ

窓の外を見下ろすと、さっき通ってきた路地がそのまま見える。二人連れがのれんの前で立ち止まって、中をのぞいて、また歩いていく。一階のにぎやかさは床越しに伝わってくるのに、二階は俺たちのテーブル以外まだ空いてて、声が少し響く。

Scene 04

しめさばとぬか漬け、きゅうり抜き。俺はハムカツ

店の人が階段を上がってきて、注文を取りにきた。ツグミはメニューをほとんど見ないで言った。

ツグミ

しめさばと、ぬか漬け。ぬか漬けは、きゅうり抜きでお願いします

ツグミ
アキ
アキ

書き込みにあったやつだ

ツグミ

先に書いとけば、一緒に頼む人が困らないでしょ

ツグミ

俺は生ビールと、メニューのいちばん端にあったハムカツ。ツグミはそれを聞いても、閉じたメニューを店の人に返しただけだった。

注文が下に降りていってから、仕事の話になった。

アキ
アキ

仕事のこと、聞いても平気ですか

ツグミ

いいよ。病院で、入院してる人のごはんの献立立ててる

ツグミ
アキ
アキ

……それって、栄養士さん?

ツグミ

管理栄養士(笑)

ツグミ
アキ
アキ

ハムカツ、今から止められますかね

ツグミ

なんで止めるの(笑)

ツグミ
アキ
アキ

いや、何か言われるかと思って

ツグミ

言わないよ。休みの日まで、人のお皿の中身は見てないもん

ツグミ
コウ
コウ

管理栄養士の前でハムカツって、度胸ありすぎっすよ

アキ
アキ

頼んでから知ったんだって。順番が逆なんだよ

来た皿は、薄いハムを何枚か重ねて揚げたやつだった。ソースをかける前にツグミのほうをちらっと見たけど、ツグミはしめさばの皮のほうから箸を入れてて、こっちを見てもいない。何か言われるのを待ってたのは、俺のほうだけだったらしい。そのくせソースは、いつもより少なめにかけてた。笑

アキ
アキ

一個いります?

ツグミ

今日はいい。しめさば来たし

ツグミ
アキ
アキ

管理栄養士でも、嫌いなものってあるんですね。きゅうりとか

ツグミ

あるよ。仕事と口は別だから(笑)

ツグミ
アキ
アキ

それ、ずるい言い方ですね

ツグミ

しめさばは、どこの店でも絶対頼む。ポテサラは店による

ツグミ

俺自身のことをツグミが聞いてきたのは、この夜でたぶん一回だけ。しめさばを半分くらい食べたところで、箸を置かずに聞いてきた。

ツグミ

アキさんは、休みの日なにしてる人?

ツグミ
アキ
アキ

掲示板見て、神奈川まで飲みに来てます

ツグミ

それ今日のことじゃん(笑)

ツグミ
アキ
アキ

今日のことしか、すぐには出てこなかったんですよ

ほんとは家で洗濯して、昼すぎまで寝てる日のほうが多い。それを言ったら、「それが正しい休みだよ」って、そこだけ妙にきっぱり言われた。人の休みの過ごし方には口を出すんだな、と思ったけど、これは注文じゃないから別枠らしい。笑

皿は全部、店の人が一階からあの急な階段で運んでくる。足音が上がってくるたびに、ツグミの目は一回だけ階段の下のほうへ行って、皿が置かれるころにはもう戻ってた。

自分の好き嫌いは、聞かなくても全部言ってくれる。そのかわり、俺の皿については何も言わない。ビールの二杯目を頼んだときも、一皿目の次にげそ揚げを足したときも、ツグミは「うん」とだけ言って、ぬか漬けの大根をかじってた。

アキ
アキ

揚げ物ふたつめなんですけど、ほんとに何も言わないんですね

ツグミ

言ってほしいの?(笑)

ツグミ
アキ
アキ

いや、言われたら言われたで凹む

ツグミ

でしょ。おいしそうに食べてるし、それでいいよ

ツグミ
Scene 05

病院の厨房は、朝5時から動いてる

窓の外はもうすっかり暗くて、路地の向かいの建物の二階にも明かりが入ってた。向こうも飲み屋で、窓際の席の人と一瞬目が合う。路地をはさんで、二階と二階が向かい合ってる格好なんだよ。

アキ
アキ

向かいの二階の人、こっち見てません?

ツグミ

見てる見てる。こっちもさっき見てたし(笑)

ツグミ

げそ揚げの皿が空くころ、ツグミの仕事の朝の話になった。

ツグミ

病院の厨房って、朝は5時から動いてるの

ツグミ
アキ
アキ

その時間、俺はまだ寝てます

ツグミ

朝ごはんに間に合わせないとだから。で、明日その当番

ツグミ
アキ
アキ

明日って、日曜ですよね

ツグミ

病院に日曜はないの(笑)

ツグミ
アキ
アキ

あ、だから書き込みが夕方だったんだ

ツグミ

そう。夜って書いたら、先に帰るとき気まずいじゃん

ツグミ
アキ
アキ

朝の厨房って、どんな感じなんですか

ツグミ

湯気。お米とお味噌汁の。外が暗いうちから、ずっと湯気

ツグミ
アキ
アキ

なんか、いい話っぽく聞こえる

ツグミ

眠いだけだよ(笑)病院のごはん薄いって言われるでしょ。あれ、うちらのこと

ツグミ
アキ
アキ

言われてる本人と飲んでたのか、俺

ツグミは笑って、緑茶ハイのグラスを少し傾けた。薄いって言われるのは、たぶん慣れてる顔だった。

アキ
アキ

皿が上がってくるたび、階段の下のほう見てますよね

ツグミ

見てた?(笑)この店、最初に来たとき下の厨房がきれいだったの

ツグミ
アキ
アキ

そこ見るんだ

ツグミ

見ちゃう。入ったら、まず厨房。床が乾いてると、ちょっと安心する

ツグミ
アキ
アキ

じゃあ今日も、上がる前に見てたんだ

ツグミ

見た。乾いてた(笑)

ツグミ
アキ
アキ

掲示板って、よく書くんですか

ツグミ

たまに。休みが先に決まった週だけ

ツグミ
アキ
アキ

決まってから書くんだ

ツグミ

決まってないのに書いたら、来てくれた人に悪いでしょ

ツグミ

休みの日が勤務の表で決まって、それから書き込む。土日が勝手に休みになる俺とは、順番からして逆なんだよな。こっちは、何も入ってない土曜を木曜の夜まで放っておいて、それから掲示板を開いてる。

窓を背にしてるツグミの顔は、店の電球のほうからしか照らされてなくて、話してるうちに、笑うたびに肩が少し前に出るのが分かるようになった。座ってる位置はずっと向かい合わせのまま。それでも二人のあいだの空気は、階段を上がってきたときよりだいぶやわらかくなってた。

21時前に、ツグミが緑茶ハイの最後を空けた。グラスを置いたその手で、もう椅子の背の上着を取ってた。

コウ
コウ

三時間、二階の窓際から一歩も動いてないじゃないすか

アキ
アキ

動かなくてよかったんだって。病院に日曜は無いらしいし

階段はツグミが先に下りた。一階の厨房の前で、ツグミは中に向かって「ごちそうさまでした」と言って、揚げ場の前の人が、顔を上げないまま「はい、どうも」とだけ返してた。

店の前は、関内のほうへゆるく下っていく坂の途中だった。ツグミはここから歩いて帰る。関内とは反対の、路地を何本か抜けた先らしい。

ツグミ

じゃ、私こっちだから

ツグミ
アキ
アキ

明日、湯気がんばってください

ツグミ

思い出させないで(笑)おやすみ

ツグミ

ツグミはそのまま一本目の角を曲がっていって、俺は反対に、坂を下りて関内のほうへ歩いた。路地の両側で、一階の看板より上に、二階の窓がいくつも光ってた。

Scene 06

朝の当番が終わった夜の、「次は頼む」

揚げ物の話には、日曜の夜に続きがあった。その日の俺は、ツグミの言う正しい休みのほうで、昼すぎまで寝てた。ツグミの名前は、掲示板の新しい書き込みじゃなくて、俺宛てのメッセージの一覧のいちばん上に出てた。

ツグミ

揚げ物、私も次は頼む

ツグミ

暗いうちから湯気の中にいた人が、その日の夜に打ったのがこれなんだと思うと、ちょっと笑った。返すまでに少し考えて、げそ揚げの皿が空いたときのことを思い出した。

アキ
アキ

二皿で

送ってから、二人で二皿なのか一人二皿なのか、自分でもちょっと分からなくなった。

ツグミの書き込みは土曜と夕方と野毛が先頭に並んでて、そこに俺が足したのは18時って時刻くらいだった。

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どっちの二皿でも、片方はげそ揚げで決まってる。笑

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アキ
ナンパ歴10年ちょい。アプリ・ストナン・相席・遠征までなんでも行く30代。実際に行って出会って、どうなったかをそのまま書いてます。