フィルムカメラが趣味の24歳と、夕方の下町をスナップ撮り歩き
タップルの趣味タグ「カメラ」で繋がった雑貨屋店員のヒヨリ(24)。返信は超マイペース、なのにファインダーを覗いた瞬間だけ別人になる子。初デートは夕方の下町スナップ撮り歩き。現像が上がるまでがワンセットだった、そんな一日の報告です。
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今回はタップルで会った、ヒヨリの話。24歳、雑貨屋の店員。趣味タグの「カメラ」で繋がった子で、初デートが飯でも酒でもなく、「夕方の下町を歩きながら写真を撮る」っていう、俺の中では過去イチ変則的なやつだった。先に結果だけぼかして書いとくと、日が落ちる頃には最初の硬さが嘘みたいに消えてて、最後はいい雰囲気で終わってる。
ただ、そこまでが平坦じゃなかった。この子、返信がとにかくマイペースで、アポが組めるまで2週間かかってる。途中で3日既読がつかなくて、「あ、消えたな」って諦めかけた場面もあった。会ってからも最初の30分は会話がぽつぽつ途切れて、内心わりと焦ってた。それが一台の古いカメラでどうひっくり返ったか、って話。
タップルの趣味タグ「カメラ」で出てきた、プロフがほぼ風景写真の子

タップル体験談の入口、現場での空気、会った後の動きまで。場面ごとの温度を拾いながら、アキの現場感をそのまま読む記事です。
ヒヨリを見つけたのは、タップルの趣味タグから。前に「スイーツ」のタグで当たりを引いたことがあって、それ以来、趣味タグは盛れるだけ盛っとく主義になったんだけど、「カメラ」は正直ノリで付けてたやつだった。俺の撮影歴なんて、スマホで飯と空を撮るくらい。そこに引っかかってきたのがヒヨリだった。
プロフがちょっと変わってた。本人が写ってるのは1枚目だけで、あとは全部、フィルムで撮ったらしい写真。夕方の商店街、瓶のクリームソーダ、路地で伸びてる猫、物干し竿ごしの夕焼け。どれも色が少し古びてて、観たことないのに懐かしい映画のワンシーンみたいだった。加工強めの自撮りが延々と流れてくる中で、スクロールの指が勝手に止まった。しかも1枚目の本人写真、顔が半分ちょい見切れてる。自分を撮るのは下手っぽいのが、逆に信用できた。
自己紹介文も、こんな感じ。
- フィルムカメラを持って散歩するのが好きです
- 雑貨屋で働いてます。フィルムも少しだけ置いてるお店
- 現像が上がるまでの数日が、いちばんそわそわします
- 返信遅いときあります。すみません
「返信遅いときあります。すみません」を先に自己申告してるのが妙に正直で笑った。で、この一文があとで効いてくることになる。
マッチして、最初のメッセは俺から。こういう子に「はじめまして!休みの日なにしてますか?」を送っても、たぶん一言で終わる。プロフの中でいちばん本人の体温が乗ってるのは、明らかに1枚目の顔じゃなくて風景のほうだった。だからそっちに触れた。

マッチありがとうございます。3枚目の商店街の写真、あれ夕方すか?色が良すぎて2度見したんだけど
あ、わかります…?夕方です。フィルムって夕方の色がいちばんそのまま残るんですよ。空が濃くなる直前の、10分くらいの


最初の返信でいきなり文章量が倍になった。プロフのゆるい空気と違って、写真の話になると急にアクセル踏む子っぽい。

え、アキさんカメラいけるんすか?聞いたことないっすけど…

全然。スマホで撮る専門だわ。だからずっと「教えて」側だったんだけど、この子にはそれで正解だった気がする。
返信は1日おき。なのに現像の話になると長文が来る

メッセ期のヒヨリは、プロフの自己申告どおりだった。こっちが送って、返ってくるのは早くて半日後、だいたい翌日。文面も「そうなんですね(笑)」「いいなあ」みたいな一言二言。既読だけついて、そのまま止まってる日もあった。正直、手応えは薄い。この時点で切る人も多いと思うし、俺も他の子とのやり取りと並行じゃなかったら、心が折れてたかもしれない。
けど週末になると人が変わった。「昨日、現像上がりました」から始まる長文が、写真付きで連投される。フィルムってのは撮ってすぐ見れなくて、現像に出して数日待って、ようやく何が写ってたか分かるらしい。その報告のときだけ、句読点を忘れたみたいな勢いの文章が来る。誤字もそのまま。雨の日の水たまりが思ったより良く写ってたとか、逆に本命だった猫が全部ブレてたとか、1本ぶんの答え合わせを延々と聞かされる。これが不思議と苦じゃなかった。
で、途中の空白3日。既読すらつかなくて、俺はほぼ諦めてた。アプリでこの沈黙は、経験上まず戻ってこない。そしたら4日目の夜に復活した。
すみません…。フィルム切らしてたの忘れてて、週末なにも撮れなくて、ちょっと落ち込んでました


消えた理由が初めて聞くタイプのやつだわ。笑 戻ってきてよかった
戻ってきました(笑)今日新しいの3本買ったので、もう大丈夫です

「フィルム切らして落ち込んでた」が言い訳じゃなくてガチっぽいのが、この子らしいというか。で、アポの切り出しは俺から。飯に誘うより、こっちのほうが乗ってくる確信があった。

今度その撮り歩き、ついてっていい?俺はスマホで撮るんで、邪魔はしないから
え、いいんですか…?人と撮り歩いたこと、たぶんないです


じゃあ俺が一人目だわ。歩くだけなら邪魔のしようがないし
じゃあ…夕方からがいいです。土曜の16時とか。フィルムは夕方からが本番なので

場所も彼女の指定で、都内の東側の、古い商店街が残ってる下町になった。デートに誘ったっていうより、散歩の同行許可が下りた、くらいの温度。でも会ってみたら、この温度が正解だった。
夕方4時の下町。首からカメラを下げて、ゆるく現れた

土曜の16時、下町の駅前。ヒヨリは5分遅れてきた。ゆるっとした半袖のワンピースにスニーカー、首から銀色の古いカメラ。写真で見るより小柄で、歩くのもゆっくりだった。
…あ、どうも。はじめまして(笑)すみません、遅れました


どうも。カメラ、ほんとに首から下げてくるんだな。プロフのまんまで安心したわ
これがないと、ただの散歩になっちゃうので

歩き出して最初の30分は、正直ちょっと硬かった。ヒヨリは沈黙をまったく気にしないタイプで、平気で黙って歩く。俺だけが「なんか喋らないと」って焦って、仕事の話を振る。返ってくるのは「んー…楽しいですよ、雑貨屋。狭いですけど」みたいな短いやつで、会話が2往復で消える。休みの日の過ごし方を聞いたら「歩いてます」で終わった。嘘だろ、って心の中でツッコんだ。夕方の商店街は買い物の人で混み始めてて、豆腐屋の前とか氷屋の軒先とか、景色はいちいち良いのに、隣の空気だけが硬い。俺は普段、初対面の間を持たせるのはむしろ得意なほうなんだけど、この日は手札が全部すかされてる感じで、内心、(これは失敗したかもな)って思い始めてた。
その空気が変わったのは、商店街のアーケードの手前だった。ヒヨリが急に立ち止まって、しゃがんで、カメラを構えた。カシャ、っていう乾いた音と、ジジッてフィルムを巻き上げる音。

え、今なに撮ったの
電線です。夕方の電線、いいんですよ。影が長くなるので


電線。笑 その目で街を見たことなかったわ
今日一日歩いたら、たぶん見えるようになりますよ

で、歩きながら気づいた。この散歩、会話が途切れても気まずくならない。途切れたら、どっちかが立ち止まって撮ればいい。沈黙が「気まずい間」じゃなくて「次に撮るものを探してる時間」になってる。飯デートなら沈黙は軽い事故だけど、この日はそれも込みで散歩だった。開始30分の俺の焦りは、そこで完全に消えた。
- 余裕のある大人の子が多い印象だから、変な探り合いが少なくてやり取りが楽だった
- 「会う前提」で繋がる空気だから、いいなと思った子とも上品なまま話を進めやすい
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ファインダーを覗いた瞬間だけ、別人になる

そこからは撮り歩きが本格化した。で、今日いちばん面白かったのはここなんだけど、ヒヨリはファインダーを覗いた瞬間だけ、人が変わる。
普段はゆるゆる歩いてるのに、撮りたいものを見つけた瞬間、動きが速い。しゃがむ、寄る、半歩下がる。挙げ句、俺の腕を軽く引いて、自分の決めた位置に立たせてくる。
アキさん、ちょっとそこどいて…あ、やっぱりだめです、そのままで。入っててください


どっちだよ。笑 え、俺写るの?
逆光だから顔は写んないです。シルエットだけ欲しいので


シルエット要員か。笑 まあいいけど、変なポーズはしないからな
言われるがままアーケードの柱の横に立たされて、シャッターの音を1回聞いた。指示が的確で遠慮がなくて、メッセで「そうなんですね(笑)」しか言わなかった子と同一人物とは思えない。しかもフィルムは1本で36枚しか撮れないらしくて、連写ってものをしない。「あと11枚なので、ここから節約します」とか言いながら、1枚にじっと時間をかけて、撮った瞬間に満足そうな顔でフィルムを巻いて、またゆるい歩きに戻る。金物屋のガラス戸に夕陽が反射してるのを見つけたときは、道の反対側から小走りで戻ってきた。この日いちばんの運動だったと思う。この切り替えを横で見てるだけで、飽きなかった。
商店街では肉屋のコロッケを2個買って、歩きながら食った。ヒヨリは揚がるのを待つあいだに「手元、撮ってもいいですか」って店のおばちゃんに聞きに行って、断られて、普通に戻ってきた。「そういう日もあります」って、特に気にした様子もない。
…コロッケ、そっちのほうが大きくないですか


気のせいだわ。……いや、ちょっと大きいなこれ。半分いる?
一口だけください(笑)

一口って言ってたのに、結局三口くらい持っていかれた。指摘したら「誤差です」って真顔で返された。マイペースの使い方がうまい。
銭湯の煙突が夕陽で赤くなってて、ヒヨリがそれをじっと撮ってるあいだ、俺はスマホでその背中を撮った。撮ってから、俺もだいぶこの散歩に染まってんなって気づいた。

いいなあ、その日。撮った写真、その場で見せ合って盛り上がるやつでしょ

俺のスマホのはな。あっちはフィルムだから、その日は1枚も見れないんだよ。で、これが後からデカく効いてくる。
日が落ちて、古い喫茶店で「今日の答え合わせ」

18時半を回って、空の端が濃くなってきたころ、ヒヨリがふっと上を見て「…そろそろ終わりです」って言った。フィルムは暗くなると写らないから、日没で店じまいらしい。営業時間が太陽で決まってるの、ちょっと良かった。
で、商店街の外れの古い喫茶店に入った。赤いソファが日焼けしてオレンジになってる店。クリームソーダとコーヒーを頼んで、ヒヨリはカメラをハンカチの上にそっと置いた。
じゃあ、今日の答え合わせしましょう。何を撮ったか、覚えてるやつを言い合うんです


見れないもんな、その場で。えーと、電線、煙突、猫2匹…
猫は3匹です。1匹、自販機の下にいました


見えてる範囲が違うんだわ。笑 完敗
ヒヨリ曰く、コロッケ屋の湯気がこの日いちばんの賭けらしい。
湯気って、だいたい写らないんですよ。写ってたら今日の優勝なんですけど


写ってなかったら?
…覚えとくしかないです。今日のは、写ってなくても覚えてられる気がしますけど

さらっとそういうことを言うから、こっちが照れた。しかも本人はクリームソーダの氷をストローでつついてて、こっちの照れに気づいてもいない。情けな。笑 で、そのあとヒヨリは「前に現像したやつなら見せられます」って、スマホに保存してた過去の写真を出してきた。プリントをスマホで撮り直して持ち歩いてるらしい。小さい画面を挟んで、肩が触れる距離になる。1枚ごとに「これは雨上がりで」「これはピント全滅だけど、色だけ好きなやつ」って解説がついて、止まらない。カメラは実家で埃かぶってたのを、家を出るときに勝手に持ってきたやつらしい。「返せって言われてないので、まだセーフです」って言ってた。メッセの一言二言はなんだったんだってくらい饒舌で、俺は相槌打ちながら、画面より横顔を見てる時間のほうが長かった。途中で一回目が合って、ヒヨリが「…聞いてます?」って笑って、聞いてる聞いてる、って画面に視線を戻した。あの数秒が、この日いちばん心拍数上がってたと思う。
店を出たら、外はもう夜で、商店街の裸電球が点いてた。昼間とは別の街みたいで、ヒヨリが「夜は撮れないぶん、ちゃんと見て帰るんです」って言うから、二人でしばらく黙って歩いた。今度の沈黙は、ぜんぜん硬くなかった。駅までの道を、お互いわざとゆっくり歩いてたと思う。改札の手前でヒヨリが立ち止まって、「…もうちょっとだけ、歩きます?」って言った。その先のことは、ここには書かないでおく。ちゃんといい雰囲気のまま、その日は終わった。
その後。現像が上がるたび、ヒヨリから連絡が来る

4日後の夜、日付が変わる直前に「現像あがりました」から始まる長文が届いた。例によって句読点少なめ、勢いそのまま、誤字もそのまま。電線、赤い煙突、自販機の下の3匹目の猫。コロッケ屋の湯気は、写ってた。白い筋が一本、夕方の光の中にちゃんと立ってた。本人いわく優勝らしい。「湯気写ってました!!」だけ2回送られてきて、あの日いちばんの賭けだったのが伝わってきた。
で、その並びに1枚、俺がいた。コロッケを食ってる横顔。撮られた記憶が、まじでない。
これ、あげます。よく撮れたので


撮られた記憶がないんだわ。笑 いつの間に
コロッケに集中してたので。隙だらけでした(笑)


隙だらけの顔してんな俺…。データじゃなくてさ、今度プリントでくれよ
じゃあ次のとき、焼いて持っていきますね

この「次のとき」が、そのまま2回目の約束になった。今度は朝の商店街を撮りに行く。朝は朝で色が違うんだそうで、シャッターの下りた店ばっかりの通りがいいらしい。集合は朝7時。俺の生活リズムだと完全に罰ゲームなんだけど、断るって発想がそもそも出なかった。「起きられます?」って先に心配されてるのが、ちょっと悔しい。
連絡は相変わらずマイペースで、2日返ってこないのもザラ。あの現像の夜の勢いとの落差込みで、最初は戸惑ったこのリズムに、もう慣れてきてる自分がいる。
ちなみにヒヨリとはタップルで出会った。趣味タグに「カメラ」を付けといたら繋がった子で、最初の一通から写真の話しかしてない。
- 余裕のある大人の子が多い印象だから、変な探り合いが少なくてやり取りが楽だった
- 「会う前提」で繋がる空気だから、いいなと思った子とも上品なまま話を進めやすい
- 下見だけなら無料。本気で会いに行くなら、男は有料で動くのが結局いちばん早かった
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趣味きっかけの出会いだと、フェス好きの子と繋がって、そのまま夏フェスまで行った回もある。同じタップルの趣味タグなら、スイーツ好きの子とカフェを3軒はしごした回。撮る系のつながりで言えば、カメラ持参で集まるフォトウォーク合コンに出た回もあって、あれはあれで妙な会だった。
机の上には、次にもらうはずの横顔の一枚を立てかける場所を、もう空けてある。我ながら気が早いわ。笑
会った後の流れまで、次に読む。
アプリで会ったあとに失速しないように、連絡、待ち合わせ、次のデートへ繋がる記事を置いています。


