ナンパTV実践「インタビュー入り」をカメラ無しで荻窪の路上で試した夜
ナンパTVの検証回で書いた理屈を、カメラ無しの俺が荻窪の路上で試した実践編。水曜19時、駅前で9人に声をかけて空振り8回。打ちのめされた夜の終わりに、教会通りで一人だけ足を止めてくれたのが古着屋店員のユズだった。ガード下の立ち飲みでいい雰囲気の手前まで。
古着屋店員PLACE新宿
現場HOOK画面と現場の
ズレを見る
水曜の19時、荻窪駅の改札を出たら、まず総菜の匂いがした。駅ビルの食品売り場から流れてくる、揚げ物と醤油の匂い。改札から出てくる人はほぼ全員が家の方向に歩いてて、スーツの人も学生も、今日をたたみにかかってる。その流れの中で、これから何か始めようとしてる人間は、見渡す限り俺だけだった。
目的は一個。こないだナンパTVがガチかヤラセか、現役の目で検証した回を書いた。あそこで俺は、インタビュー入りってのは「相手が考えずに答えられる質問で足を止めさせる」っていう路上の理屈そのもので、ただしあっちにはカメラという最強の口実がある、装備が違いすぎる、って整理をした。書き終わってからずっと引っかかってたんだわ。じゃあ装備なしの俺が、あの理屈だけ意識し直して路上に立ったら、実際なにが起きるのか。今夜はその答え合わせに来た。
荻窪を選んだ理由と、今夜のルール
先に、なんで荻窪かの話。
荻窪って、高円寺や吉祥寺みたいな「遊びに来る街」じゃないんだよな。中央線で新宿から10分ちょいなのに、駅前のアーケードも教会通りも、歩いてるのは買い物袋を提げた地元の人ばっかり。飲み屋はあるけど北口のガード下寄りにぎゅっと固まってて、あとはラーメン屋と、静かな住宅街。要するに住む人の街。声をかける側からすると難易度は高い部類のはずで、だからこそ試す場所として選んだ。カメラ無しの質問入りがこの街で機能するなら、どこでも機能する。逆に沈むなら、それはそれで書く価値がある。
今夜のルールも決めてた。入りは全部、質問の形にする。道聞きか、店聞き。相手が考えずに答えられるやつ限定。検証回の最後に、真似するなら入りの構造だけ盗んで口実は自分の街と自分のキャラで作る、って自分で書いた手前、やらないわけにはいかない。
ちなみにこの計画、出がけにコウへ送ったら、返ってきたのがこれだった。

俺は無理っすよ。カメラも無いのに取材ごっこは、普通に事案なんで

装備ごと真似する気だったのかよ。笑 やるのは理屈のほうだけな。カメラが無いのは今夜の俺も同じなんで。
19時の商店街、質問は思ったより届かない
アーケードの入り口に10分立って、まず分かったこと。この街の19時台は、全員が「帰宅の顔」をしてる。
1人目。スーパーの袋を提げた子に「すみません、この辺で」まで言ったところで、会釈された。丁寧なんだけど、足は1ミリも緩まない会釈。防御として完成されすぎてて、こっちが会釈を返して終わった。
2人目はイヤホン。声が物理的に届いてない。3人目は仕事帰りっぽい子で、一瞬こっちを見てくれたけど、「あ、ごめんなさい、急いでるんで」で終わり。質問の中身に入る前に会話が閉じてる。

質問で止める以前に、質問を聞いてもらう関門があるんだわ。検証回で観た画面の中には、この関門が最初から存在してなかった。
そのあと教会通りの入り口あたりで3人続けて、会釈がもう1回、スルーが2回。開始1時間で6人、会話の成立ゼロ。

6人目が終わった時点の俺、ティッシュ配りの兄ちゃんより疲れた顔してたと思う。あっちは配る物がある。こっちは口実まで手ぶらだ。
言い訳させてもらうと、フォームが崩れてたわけじゃないんだよ。斜め前から、歩く速度を合わせて、声は低めに短く。いつも通りではあった。ただ、いつも通りのことを、遊びに来た人がひとりもいない街でやると、こうなるってだけの話で。
あと、これは観てるだけじゃ一生分からなかったやつなんだけど、路上でいちばんきついのは断られる瞬間じゃない。次に声をかける相手を探して、ただ歩いてるだけの時間だ。商店街の惣菜屋がシャッターを半分下ろし始めて、コロッケの匂いだけが残ってて、俺はその中を用もなく往復してる。検証で観た数本には、この時間が1秒も映ってなかった。当たり前だよな、絵にならないもん。でも実際の路上は、この絵にならない時間が9割を占めてる。
カメラという装備の強さを、路上で思い知る
20時すぎ、北口のガード下寄りに移動した。飲み屋が固まってるゾーンなら、せめて「これから飲む顔」の人がいるだろうと踏んだ。
7人目、スルー。8人目は立ち止まりはしなかったけど、「この辺で一人で入りやすい立ち飲みってあります?」に、歩きながら「わかんないです」って返してくれた。……質問には答えてもらえたんだよ。0.5秒で。そして会話は、その0.5秒で終わった。

分かってきたぞ。考えずに答えられる質問って、考えずに終わらせられる質問でもあるんだわ。
ガード下の自販機で缶コーヒーを買って、ひと息入れた。路上に立ちながら頭の中でずっとやってた比較を、ここに並べとく。
| 入りの要素 | カメラがある側 | 何も無い俺 |
|---|---|---|
| 足を止める口実 | 「取材」。カメラが口実を勝手に説明してくれる | 店聞き・道聞き。口実は自分の口で3秒で説明 |
| 何者かの証明 | 機材とスタッフの存在が証明になってる | 証明手段ゼロ。声の調子と引き際で見せるしかない |
| 質問のあとの時間 | 「せっかくなので」で会話を延長できる | 答えをもらった直後に終わる。次の一言が全部 |
| 断られたとき | 撮れ高のために淡々と次へ行ける | 8連続で食らうと普通にへこむ。笑 |
| 質問そのもの | 考えずに答えられる短い質問 | ここだけ完全に同じ。理屈は共通だった |
下の2行が今夜の全部なんだよな。質問の理屈そのものは、画面の中と俺の路上で同じだった。違うのは、質問のあとの時間を誰が支えてくれるか。あっちはカメラが「まだ会話が続く理由」を作り続けてくれる。こっちは、答えをもらった直後に、次の一言を自力でひねり出さないと終わる。検証を書いてた夜の俺に教えてやりたい。見るべきは入りの一言じゃなくて、一言目と二言目の間だぞって。
カメラって、身元の証明だけじゃなかったんだな。会話の延長装置でもあったんだわ。部屋で観てたときは「最強の口実」くらいに思ってたけど、持ってない側で路上に立つと、あれはもう口実ってレベルの装備じゃない。
ちなみにあの検証で観たのは数本で、全部MGS動画で単品を買った。今夜の俺の惨状と、画面の中の入りを見比べてみたくなった人は、あそこが本家レーベルの配信元なんで探すのは早い。
- 「シロウトTV」「ナンパTV」を配信してる大手。素人系の作品数と更新はここが軸
- 単品購入と月額見放題が選べる。気になる1本だけ試す、って買い方ができるのが気楽
- 会員登録は無料。セールとポイント還元がちょいちょい来るから、買う前に一度中を見とくといい
18歳未満の方はご利用いただけません。本コンテンツには広告(PR)が含まれます。
MGS動画ってサイト自体がどうなのかは、別のレビュー回に分けて書いたんで、細かい話はそっちに任せる。今夜はサイトの話より路上の話な。
9人目、教会通りでようやく足が止まる
20時半、教会通りに戻った。ガード下の空気に少し飲まれてたんで、歩幅の合う通りに戻りたかった。
で、9人目。エコバッグを提げて、ゆっくり歩いてる子がいた。急いでる背中じゃない。斜め前に出て、いつもの店聞きでいった。

すみません、この辺で一人でふらっと入れる立ち飲みってあります?
……荻窪で、飲むんですか?(笑)


え、だめなんすか。笑
だめじゃないけど(笑)飲みはみんな高円寺行っちゃうから。珍しくて


荻窪の人に言われると重みが違うな。地元の人が行く店でいいんで、方向だけでも
んー、ガード下のほうに何軒か。……口で説明するのむずいな(笑)私もそっち方向なんで、途中までなら


(心の中で)9人目で、はじめて質問の続きが始まった。声が上ずってなかったといいけど。
夜の教会通りは、店じまいの音がぽつぽつ鳴ってて、開いてるのは弁当屋と、灯りの色が温かい個人の飲食店くらい。ユズの歩くペースは変わらず遅くて、俺が半歩後ろをついていく形になった。案内される側って、こんなに楽なんだなと思った。さっきまで俺は、すれ違う全員に対して入りの一言を構えてたのに、今は隣の一人に話しかけるだけでいい。
歩きながら考えてたのは、この子の足が止まった理由だ。質問に答えたからじゃない。質問の中身が引っかかったからだった。「荻窪で飲もうとしてる人」が珍しくて、向こうから聞き返したくなった。考えずに答えられる質問って条件に、もう一個足すなら、相手がちょっと聞き返したくなる質問。ここは画面の中からは学べなかった。足で覚えた。
店の前まで来て名前を聞いたら、ユズ。26歳。エコバッグの中身は缶ビールと豆腐だって、聞いてないのに教えてくれた。

道案内のお礼に一杯奢らせてください。店の判定もしてほしいし
……ビール1杯ぶんなら(笑)どうせ家で飲むつもりだったし、明日遅番だし

ガード下の立ち飲みと「荻窪は住む街」
入ったのは、カウンターだけの細長い立ち飲みだった。常連らしいおっちゃんが3人、テレビのナイターを見ながら静かにやってる。ユズは慣れた感じで瓶ビールを頼んで、コップを2つもらった。
ここ、うるさくないから好き。荻窪の店って、だいたいこの音量なの

分かる気がした。さっきから街全体がこの音量なんだよ。乾杯して、ひと口目を飲んだところで、ユズが横目でこっちを見た。
てか、ほんとに店探してた人? なんか、声のかけ方が慣れてた(笑)


店は、ほんとに探してた。笑 現に見つけたし、今いるし。
答えになってない、って笑われた。それ以上は追及されなかったんで、俺もそれ以上は白状しなかった。この店の音量には、そのくらいの緩さが合ってた。
荻窪の話になって、俺が「ラーメンの街のイメージしかなかった」って言ったら、そこは全力で肯定された。
ラーメンは強い。それは合ってる(笑)でも夜は静かなの。荻窪は住む街だから


今めっちゃ飲んでるじゃん、荻窪で。
これは帰り道の延長(笑)飲みに「来る」のとは違うの

この理屈、何回聞いても分かりそうで分からなかったんだけど、ユズの中では完全に筋が通ってるらしくて、一歩も引かない。仕事を聞いたら、高円寺の古着屋で店員をやってて、家が荻窪。飲むのは高円寺、帰って住むのが荻窪。線引きがはっきりしてる。今日は早番あがりで、帰りにスーパーに寄って、あとは家で缶ビールと豆腐の予定だったらしい。その予定を俺が乗っ取った形になる。ハムカツを2枚頼んで、1枚をユズの取り皿に置いといた。

高円寺は俺もたまに飲む。前に角打ちで、隣の子のホッピーが泡だらけになってるのを見かねて口出したら、そのまま飲みになったことある。
何それ(笑)高円寺っぽ

その夜のことは高円寺の角打ちから始まった回に書いた。あの街は気取らない飲兵衛の街で、知らない人同士の距離が最初から半分詰まってる。荻窪は逆なんだよな。距離は詰まってない。ただ、一回詰まると、この店みたいに静かに落ち着く。同じ中央線で数駅しか離れてないのに、酒の飲まれ方がまるで違う。
2杯目は、ユズが自分から手を挙げた。1杯ぶんって言ってたのは、本人の中でもう時効らしい。
もう1杯だけ。豆腐は明日でも食べれるし(笑)

缶ビールも明日飲めるしな、って返したら、そういうこと、って頷いてた。理屈の作り方が一貫してて笑う。
俺のジャケットの袖を、ユズが急に摘んできたのは、そのあとだった。
それ、どこで買ったの。タグ見ていい?


適当に買ったやつだから、あんま見られると恥ずいんだけど。
……うん、悪くない。けど、うちの店ならもっと似合うの出せる(笑)


営業じゃん。笑
営業(笑)古着屋、平日ひまなの

そこから古着屋の話をひとしきり聞いた。平日の昼は客が来なくて、ずっと検品と値付けをしてること。たまに変な服を仕入れては、店長と「これ誰が買うんですかね」って言い合ってるのに、そういうのに限って週末に売れること。喋ってるユズは、荻窪の話をしてるときより早口だった。好きなんだろうな、その店。こういうのは、こっちが質問を重ねるより、瓶ビールを注ぎ足しながら黙って聞いてるほうが伸びる。
肩が触れる距離で、ユズの笑い声が少しずつ大きくなってて、カウンターの中のおっちゃんが一回だけちらっとこっちを見て、また野球に戻った。時計は22時に近かった。空気は、悪くない方向に転がってた。と思う。
ただ、この夜はここまでだった。ユズがコップを置いて言った「そろそろ」に、迷いの成分がゼロだったんで、もう一軒、は言わなかった。ここで粘って、この1時間半ごと安っぽくするのはもったいなさすぎる。
私、そろそろ。歩いて帰れる距離なんで


家近いんだ。
5分(笑)それが住む街ってこと

会計は2人で4000円しなかった。店を出て、連絡先の話を出したら、ユズはちょっと笑って、先にエコバッグの中を探った。
LINEでもいいけど……先にこれ。店のカード。金曜と土曜はだいたいいるんで


買いに行くわ、そのうち。営業に負けたことにする。笑
勝った(笑)

そのあと普通にLINEも交換した。ユズは教会通りの奥の、住宅街のほうへ、来たときと同じゆっくりした速さで歩いてった。
22時の改札と、ポケットに残ったもの
22時すぎの荻窪駅前は、19時とは別の街になってた。総菜の匂いは消えて、シャッターの音もとっくに鳴り終わって、駅に向かう人はまばら。3時間前にここへ立ったときの、あの帰宅の大行列を思い出すと、よくあの中で声を張ったなと自分で思う。
駅までの帰り道、今夜の数字を数えた。声をかけたのは9人。空振りが8回。会話になったのは1人で、その1人と立ち飲みで1時間半。打率で言えばひどいもんだけど、検証回で自分で書いた通りではあった。画面に映るのは止まってくれた子だけで、映らない側の数は、こうやって自分の足に溜まっていく。今夜の俺は、その「映らない側」を8回ぶん、生で浴びてきたわけだ。カメラを担いでる人らへの見方が、ちょっと変わった夜だった。
ホームで電車を待ちながら、アプリで来週のアポの返信だけ返した。路上で8回空振りした夜でも、先の予定が一個あると、帰りの足がそんなに重くならない。保険というより湿布に近い。貼ってあると安心するやつ。
- 余裕のある大人の子が多い印象だから、変な探り合いが少なくてやり取りが楽だった
- 「会う前提」で繋がる空気だから、いいなと思った子とも上品なまま話を進めやすい
- 下見だけなら無料。本気で会いに行くなら、男は有料で動いたほうが早かった(俺の場合は)
無料登録して、気になる子を探す18歳未満(高校生を含む)はご利用いただけません。本コンテンツには広告(PR)が含まれます。
家に帰ってジャケットを脱いだら、ポケットから立ち飲みのレシートと一緒に、ユズの店のカードが出てきた。ざらっとした厚紙に、店名がハンコで押してあって、インクの端が少しかすれてる。裏は手書きをコピーした地図で、駅から店までの矢印が、途中で不自然に曲がってた。アーケードの人混みを避ける道順なんだと思う。財布のカード入れのいちばん上に差して、金曜の古着屋が何時まで開いてるのかだけ調べて、寝た。
観る側の夜を、もう一段読む。
検証、買い方、支払い、無料の範囲。家で観る夜に要る記事を並べています。


