3チェーンを同じ週に回して分かった差
相席ラウンジを同じ週に3軒はしごした記録。相席屋との料金の形の違い、時間課金とフリータイム定額で夜の過ごし方がどう変わるか、席替えの回転と会話の続き方、男一人で入った実際、3軒目で会ったアパレル店長代理のカンナとの最後の30分まで書いた。料金は執筆時点の目安。
アパレルの店長代理PLACE現場
現場レポHOOK場の空気を
崩す流れ
相席ラウンジで一軒に腰を据えると、俺の場合はだいたい三時間コースになる。時間課金の店ならメーターが四本、フリータイム定額の店なら最初に一発。どっちにしても、一晩で財布から出ていく額はほぼ決まってる。で、先月のカード明細を眺めてて思ったわけ。この一晩ぶんを、そのまま三回に割ったらどうなるんだろ、と。一軒に三時間いる代わりに、三軒に一時間ずつ。
というわけで先々週、同じ週のうちに相席ラウンジを三軒はしごした。火曜・木曜・金曜。全部一人で入って、予算は一軒あたり普段の三分の一に固定して、それぞれ一時間ちょいで切り上げる縛り。三軒目でアパレルの店長代理をやってる二十五歳と喋り込んで、その夜は終電を使わなかった。ただ、この記事で書きたいのはそこよりも、同じ「相席ラウンジ」の看板の下で三軒の中身がここまで違うのか、っていうほうだわ。
相席屋と相席ラウンジ、違うのは料金の「形」だった
相席ラウンジの実力の入口、現場での空気、会った後の動きまで。場面ごとの温度を拾いながら、アキの現場感をそのまま読む記事です。
同じ相席でも、相席屋と相席ラウンジは別の生き物だった。三軒回って、そこが一番はっきりした。
相席屋のほうは、居酒屋の座席をシャッフルしてる感覚に近い。三十分ごとに勝手に更新される時間課金で、食べ放題と飲み放題が最初から込み。だから卓には唐揚げとポテトが載ってるし、照明は明るいし、みんなの声もでかい。飯を食いながら喋る場所、って言い方が一番近い。
相席ラウンジは、入った瞬間に内装がバー寄りだった。照明が落ちてて、席は二人掛けか三人掛けのソファ。フードは軽いつまみが少しあるかないかで、基本はドリンクで回す。で、いちばん違うのが料金の形だった。俺が今回入った三軒は、三十分単位の時間課金の店と、入場から閉店まで一本で行けるフリータイム定額の店に割れてた。時間課金は「長くいるほど伸びる」、定額は「最初に払ったらもう増えない」。この違いが、そのまま一晩の過ごし方を変えてくる。長くいるほど得なのか損なのかが逆になるんだから当たり前なんだけど、行ってみるまでピンときてなかった。
金額の帯だけ書いとくと、男は時間課金で三十分二千円前後、定額のほうは一回七千〜九千円くらいの範囲だった。ただこれは執筆時点の目安で、エリアと曜日と入る時間帯で普通に上下する。行く前に店の公式の料金ページだけは見てくれ。俺は木曜のB店で、フリータイムに深夜料金が別で乗るのを、入店して二時間近く経ってから知った。

定額のほう、聞こえだけだと得っぽいっすね

得だわ。転がる卓に当たればな。つまんない卓で二時間座ってても同じ額なんだよ、あれ。笑
女性側が無料か格安なのは相席屋と変わらない。あと、酒が出る箱だから受付で身分証を見られるのも同じで、三軒とも例外なく出させられた。二十歳未満は入れない。免許証を家に置いてきた日はそれだけで詰むんで、財布の中身だけは出る前に確認したほうがいい。
形態ごとの料金の型と男女比は、前に全タイプ並べて相席屋・相席ラウンジ・相席バーを比較した記事のほうに表で置いてある。そもそもどの箱に行くか決めてない段階なら、そっちで当たりをつけてからこの記事に戻ってくるほうが早いと思う。
回った順に、火曜のA・木曜のB・金曜のC
回った順に書いてく。火曜がA、木曜がB、金曜がC。店名は伏せる。チェーンそのものの評価じゃなくて、俺が行ったその日その店舗の話でしかないんで。
A・火曜。駅前のでかいやつ。ビルのエレベーター前にもう男が三人待ってて、上がったら受付で「お一人様ですね、少々お待ちください」。店内は相席ラウンジにしては明るめで、BGMもそこそこでかい。案内された卓はカウンターの延長みたいな作りで、向かいとの距離が近い。時間課金で、席替えが十五分から二十分でどんどん回る。座って、名前聞いて、仕事聞いて、はい次、みたいなテンポ。この日は三組と喋った。

お一人でしたら、こちらのお席でお組みしますね。三十分ごとの延長になりますのでお声がけください

あ、はい。……(もう次の卓が動いてる音がする)
B・木曜。雑居ビルの七階。扉が妙に重くて、押した瞬間に音が消える。照明は三軒でいちばん暗くて、ソファが深い。座ると自然に体が沈んで、前のめりになりづらい。ここが定額のほうで、入場のときに「本日ラストまでのご利用になります」と言われた。席替えは自動では来なくて、申告制。この日は二組。二組しか喋ってないのに三時間近くいた。ちなみにこのソファの作り、前にオリエンタル系のラウンジでシャンパンを開けて二人組を連れ出した夜の卓とほぼ同じで、座った瞬間に既視感がすごかった。
C・金曜。中規模。二十時半に着いたら男の待ちが二十分あって、外の階段でスマホをいじって待った。入ったら店内は満席に近くて、卓の入れ替わりが常にどこかで起きてる。時間課金で、席替えは二十分から三十分で回るうえに、自分から店員に頼むこともできる。この日は四組。で、閉店前の最後の三十分で来たのがカンナだった。
三日ぶんのメモを並べ替えてみたら、差が出てたのは値段でも内装でもなくて、卓が動く速さと店内の音量だった。
| 店(行った曜日) | 料金の形 | その日の店内の空気 | 席替えの回り方 | 俺が向くと思った目的 |
|---|---|---|---|---|
| A(火曜) | 時間課金(30分単位) | 明るめ・BGM大きめ・声を張らないと届かない | 15〜20分で自動的に回る | 組数を当たりたい夜 |
| B(木曜) | フリータイム定額 | 暗い・静か・隣の卓の笑い声が聞こえる | 自分から頼まないと来ない | 一組とじっくり喋りたい夜 |
| C(金曜) | 時間課金(30分単位) | 混雑・入店待ちあり・どこかで常に卓が動いてる | 20〜30分+自分からも頼める | 短い時間で当たりを引きたい夜 |
同じ店でも曜日が変われば、この右三列は普通に入れ替わると思う。Bに金曜に行ってたら「静か」なんて書いてない可能性は普通にある。
で、実際に出ていった額。火曜のAが4,200円ちょい、木曜のBがフリータイムに深夜ぶんが乗って11,000円、金曜のCが延長二本で5,800円。三日で俺が使ったのは21,000円ってところで、要するに一軒に三時間いる普段の夜を二回やったのとほぼ同じ額だった。一軒あたり三分の一に固定するつもりが、Bで完全に崩れてる。
三軒回って自分の中でハッキリしたのは、俺は音量の小さい箱のほうが向いてるってことだった。Aの音量だと、こっちの声も自然にでかくなって、喋る内容がどんどん雑になる。「仕事なにやってんの」「へえ!」で会話が全部処理されていく感じ。逆にBは静かすぎて、間が空いたときの逃げ場がゼロだった。Cはちょうど中間で、金曜だったせいもあるけど、卓の入れ替わりを眺めてるだけでも面白かった。
一晩ぶんを三日に割ると、当たり前だけど夜が三つ埋まる。ただ火曜のAは、四千二百円ぶんの三卓が全部二十分で剥がされて終わった。三卓ぶんの顔を帰りの電車で思い出そうとしたら、一人も出てこなかった。こういう日にやることは決まってて、俺はマッチングアプリを開く。
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席替えの回転と、話が続く席・続かない席
席替えの回転数は、そのまま「その夜に何組と喋れるか」になる。ただ、組数が多いほどいいかというと、俺の場合は全然そうじゃなかった。
Aの火曜は三組。一組目は二人組で、片方がずっと画面を見てて、もう片方が気を使って喋ってくれるパターン。二十分で回転が来て終わり。二組目は同じ会社の同僚同士で、着席した瞬間から二人の職場の話が始まって、俺は最後まで相槌だった。三組目でやっと会話らしい会話になって、共通の知り合いがいそうな話まで転がったところで、店員さんが「お席移動お願いしまーす」。惜しいのはこれ。回転が速い店は、当たりを引いても同じ速さで剥がされる。
Bの木曜は逆だった。一組目に二時間いた。二時間な。
最初の三十分は普通に良かったんだわ。二人組で、片方の地元が俺と同じ路線で、去年潰れた駅前のパン屋の話でひとしきり盛り上がった。問題はそのあとで、共通の話題が一本しかない卓って、それを使い切った瞬間に本当に何も残らない。

……このソファ、深すぎない?
それ、さっき言ってた(笑)


言った?
言った

同じ話を二回してる時点で、俺の在庫は切れてる。ソファが深いから前のめりにもなれなくて、三人とも背もたれに沈んだまま、順番にスマホを触り出す時間が来た。定額だから時計を気にする理由もなくて、誰も動かない。二時間のうち、後半の一時間はほぼ無音だった。定額の店の怖さって、たぶんこれだわ。金が増えないぶん、何も起きてない時間だけが平気で伸びる。
その無音の途中で、空いたグラスを下げに来た店員さんが伝票をめくった。入って二時間近く経ったころだったと思う。

このあと深夜の時間帯に入りますと、料金が別でいただく形になりますが

……あ、別でかかるんですか。はい、大丈夫です
深夜ぶんが別で乗るのを知ったのは、この卓の、この一言だった。定額って言葉を、もう増えないって意味で読んでたわけだわ。誰も一言も喋ってない一時間の途中で、金だけが静かに動き出した。ここでやっと背もたれから体を起こして、俺は店員さんを目で探した。

(ドリンクを取りに立ったついでに小声で)すみません、うちの卓そろそろ替えていただけますか

あ、はい。三番の卓が空きそうなので、そちらへ回しますね
これが静かな箱の落とし穴だった。時間課金の店は勝手に剥がしてくれるけど、定額で申告制の店は、自分で手を挙げないと夜がそのまま終わる。Bの二組目は自分から頼んで来てもらった卓で、そっちのほうが普通に楽しかった。
話が続く席と続かない席の差は、俺の中ではけっこう単純で、こっちが振った話に相手が一個足してくるかどうかだけだと思ってる。「休みの日なにしてんの」に「家にいる」で止まる席と、「家にいる。あと最近ずっと餃子作ってる」まで来る席。後者は放っといても一時間もつ。前者は俺がどれだけ質問を作っても、質問と回答の往復にしかならない。

ここ来るの何回目?
三回目かな。ごはん目当て(笑)


ここ、ごはん弱くない?
弱い(笑)だから今日ちょっと後悔してる

こういう返しが一個でも来る卓は、だいたい持つ。逆に反応が薄い卓は、二杯目に行く前に自分から店員に手を挙げる。実際Cの金曜は、こっちが替えられる側になった卓もあった。替えられた直後は地味に凹むけど、こっちも同じことをやってる以上どうしようもない。
閉店まで30分の卓
金曜のC、閉店まで残り三十分ってところで席替えが来た。正直そこで帰るつもりで会計を頼もうとしてたんだけど、通路の向こうから二人組が来て、片方が先に座った。それがカンナだった。
二十五歳、アパレルの店長代理。半袖の黒いシャツで、店内が冷えてるからか肩を少しすくめてる。連れの子はすぐ隣の男と喋り始めて、こっちは実質サシになった。
最初の五分はほとんど中身がない。名前と、この辺で働いてるかどうかと、店が何時までか。ただ、喋りながらカンナの手がずっと動いてた。グラスを持ち上げて、飲んで、置いて、それをコースターの真ん中に戻す。ちょっとズレるとまた戻す。ひとつの話題の間に三回やってた。

そのグラス、いま置いたら真ん中に寄せるほうに賭けるわ
賭けって(笑)


いいから置いてみ
……あ


寄せたな
知らなかった(笑)


コースターのど真ん中な。ミリで合わせにきてる
怖いこと言わないで(笑)

バレたあとも、やめる気配はなかった。俺が言った直後の一回だけ手が止まって、そのつぎからは元の手つきに戻ってる。四回目までは数えた。五回目でどうでもよくなって、そこで数えるのをやめた。

金曜のこの時間って、店のほう忙しいんじゃないの
今日は早番。上がり十九時


じゃあ完全に飲みに来てるだけじゃん
そう(笑)ごはんは食べてきた

連れの子が横から一回だけ入ってきて、この子さっきの席で名刺もらってたよ、とだけ言って自分の相手のほうに戻っていった。

ここで名刺出す人いるんだ
いた(笑)びっくりして受け取っちゃった

仕事の話は、立ちっぱなしで足が終わることと、バックヤードが段ボールで埋まってることしか言わなかった。何を売ってるかも、どこの店かも聞かなかった。去年の夏に閉めた前の店舗の話をしてるときだけ声が低くなって、その一瞬だけ二十五歳に見えなかった。
残り時間が本当になくなってきたところで、時計を見せた。

あと三十分もないんだけど、延長する?
しなくていい


即答か。笑
外出よ。ここ寒いもん

会計して、二人でエレベーターに乗った。連れの子は残るらしくて、出がけに手だけ振ってきた。ビルを出た階段のところでカンナが一回大きく伸びをして、「耳が戻った」って言った。箱の低音が、外に出るまで頭の内側に残ってたらしい。
そこから歩いて三分の立ち飲みで、ハイボールを一杯だけ。木のカウンターにはコースターがないのに、カンナはやっぱり見えない真ん中にグラスを戻そうとしてる。指摘したら二回目の「知らなかった」が出てきて、その二回目で、俺はもうこの子と朝まで喋っててもいいなと思ったわ。そのあとどうなったかは、まあ、店の外の話なんで書かない。
男が一人で入ると浮くのか(3軒とも一人だった)
三軒とも一人で入った。浮くかどうかで言えば、浮かなかった。というか、A・Cは一人客の男が普通に何人もいた。
受付での扱いは店で違ってて、Aは「お一人様ですね」で即座に一人枠として処理された。Cも同じ。Bだけは、電話で先に「一人でも入れますか」って聞いてから行った。サイトに書いてなかったんで念のためだったんだけど、「大丈夫ですよ」で終わった。この一本の電話で当日の不安が消えるんで、初めて行く店なら聞いといて損はないと思う。
一人のきつさは、やっぱり卓の会話が全部こっちの担当になることだった。二対二なら相方に振って一息つけるけど、一人だと沈黙の責任が常に自分にある。特にAみたいな回転の速い店だと、十五分ごとに自己紹介のところからやり直しになるんで、三卓目には口が疲れてた。逆にBは一卓が長いぶん、序盤さえ越えれば楽だった。この辺は回転の速さとセットで考えたほうがいい。

一人で入るの、いまだに勇気いるんすよ

受付の十秒だけだわ、しんどいの。座っちまえば周りなんか誰も見てないから
座る位置だけは毎回気にしてる。俺は通路側を取れるなら通路側にする。奥に押し込まれると店員さんと目が合わなくて、ドリンクの追加も席替えの相談もワンテンポ遅れるんだよな。Bで一時間沈黙したときも、俺が奥側だったのが地味に効いてた。一人で行くときの細かい実務は、相席屋のほうで初めて行く前に知りたかったことを一本にまとめた記事があって、ラウンジでもそのまま使えたのは、受付の言い方と座る位置のところだった。

アキさん、毎回それ取れてるんすか

半分も取れてないわ。奥に通されたら諦めて座ってる。笑
最初の一軒は、回る箱にするか静かな箱にするか
もし俺が相席ラウンジ未経験のところまで巻き戻って、一軒だけ選べって言われたら、Bみたいな静かで定額の箱から入る。理由は単純で、初回は「何組と喋れたか」より「一組とどれだけ喋れたか」のほうが手応えとして残るからだわ。回転の速い店は、慣れてないと自己紹介の練習で夜が終わる。
逆に、月に何回か通えるなら、Aみたいな回る箱のほうが早い。数を当たれば、そのうちCの最後の三十分みたいな卓に当たる。今回の三日でいうと、いちばん粘ったのはBで、報われたのはCだった。
カンナとは、あれからLINEが続いてる。月曜の昼、店の前をたまたま通ったらガラスの向こうでマネキンの向きを変えてるところで、目が合って手を振られた。入るのも変なんでそのまま歩いて、夜に「見た」とだけ送った。
見てたよ、こっちも(笑)


入りづらいんだよ、ああいうの
入ってこいよ(笑)

そういえば、この三軒を回った次の週の水曜に、江ノ島まで行ってる。夏の終わりの片瀬海岸で写真を撮ってた子と喋った日のことな。冷房の効いた箱に同じ週で三日入った反動が、そのまま砂浜に出たんだと思う。
相席の箱は、店が開いてる曜日と俺の空いてる曜日が噛み合わないと成立しない。先々週みたいに三日ぶん取れるほうが珍しいわ。今週は木曜も金曜も箱の予定が入らなくて、その二晩ぶんは日曜のうちにアプリで先に手を打っておいた。アプリのほうは登録した週に免許証を出して年齢確認を通してある。18歳未満はそもそも登録できない作りだわ。
- 余裕のある大人の子が多い印象だから、変な探り合いが少なくてやり取りが楽だった
- 「会う前提」で繋がる空気だから、いいなと思った子とも上品なまま話を進めやすい
- 下見だけなら無料。本気で会いに行くなら、男は有料で動いたほうが早かった(俺の場合は)
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三軒ぶんのレシートは、三枚とも財布の内ポケットに入れたまま家まで持って帰ってきた。次は火曜か水曜の二十時前に、あの七階の静かなほうへ一人で入るつもりでいる。フリータイムを頭から使って、席替えは自分からは一度も頼まない。それで一卓に何分いられるのか、今度はちゃんと測る。
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