トリマー24歳と、犬の話が止まらない日
タップルでマッチしたペットサロンのトリマー、コハル(24)。人にはガチガチに人見知りなのに、犬猫の話になると別人みたいに止まらなくなる子だった。趣味タグで繋がった昼カフェデートで、無言を犬の動画が溶かしていった24歳の体験談です。
ペットサロンのトリマーPLACE下北沢
現場レポHOOK会う前提の
導線
今回はストナンじゃなくて、タップルの話。出会ったのは、ペットサロンでトリマーをやってるコハルっていう24歳の子です。
先に言っとくと、この子は最初ガッチガチの人見知りで、待ち合わせから30分くらいは正直「あ、これ今日ハズしたかも」って思ってた。なのに、ある一点を踏んだ瞬間にスイッチが入って、そこから別人みたいに喋りだした。そのスイッチが「犬猫の話」だったっていう、そういう昼の話です。塩で終わりかけたのに、最後はこっちが聞き役に回ってた。笑
趣味タグの「動物」で、先に共通点が見えてた
タップル体験談の入口、下北沢での空気、会った後の動きまで。場面ごとの温度を拾いながら、アキの現場感をそのまま読む記事です。
タップルって、最初にカードをスワイプする段階で「趣味タグ」みたいなのが見えるんですよ。コハルのプロフには「犬」「猫」「動物園めぐり」がずらっと並んでて、自己紹介は短く「犬と猫の世話してます(仕事です)」だけ。写真も、本人より抱っこされてる柴犬のほうがメインみたいな構図だった。笑
俺、別に犬飼ってるわけでもないんだけど、実家に昔いた犬の話くらいはできる。で、マッチした後の最初のメッセも、挨拶を飛ばして「プロフの柴、コハルさんちの子ですか?」から入った。これが正解だった。普通の「はじめまして〜」だと、たぶんこの子は当たり障りのない返事で終わってた気がする。
あ、それサロンの常連の子です(笑)うちの看板犬みたいになってて


看板犬。笑 いきなり犬の話から始まったの、なんか珍しくて逆に良かった。

え、アキさん犬のこと聞いただけっすよね。それでいけるんすか
メッセの段階だと、コハルの返事はわりと短かった。質問には答えるけど、自分から広げてはこない。ただ、犬猫がからむ話題のときだけ、明らかに文章が一行長くなるんですよ。「今日は3匹トリミングしました」とか、聞いてもないのに添えてくる。あ、この子この話なら開くんだなっていうのは、会う前から薄々分かってた。タップルは「で、いつ会う?」が早く来る文化だけど、今回はその前に共通の入り口が一個できてたのがデカかった。
待ち合わせ、向こうから喋ってくれない
待ち合わせは平日の昼、下北沢の駅前。コハルは「人混みが得意じゃなくて」って言ってたんで、ガヤガヤしてない奥まったカフェを先に押さえといた。
時間ちょうどに来たんだけど、第一声から既に小さい。「……あ、アキさん、ですか」って、語尾が消えていく感じ。目もあんまり合わない。座ってからも、メニューをめちゃくちゃ真剣に見てる。たぶん何頼むか迷ってるんじゃなくて、視線の置き場所をメニューにしてるんだろうなと思った。

緊張させちゃってます? ごめん、俺も人見知りなんで気にしないでください。
あ、いえ……えっと、こういうの、慣れてなくて


わかる。アプリで会うの、最初の5分がいちばん変な空気になるやつ。
……はい(笑)

正直、ここまでは結構しんどかった。天気の話を振っても「そう、ですね」、仕事の話を軽く振っても「普通の、サロンです」。会話が一往復で全部死んでいく。俺の質問が悪いのかなと思って角度を変えても、返ってくる球がぜんぶ短い。コーヒー来るまでの間、無言の時間が二回くらいあって、その無言がやたら長く感じた。
これは流れを作るとかいう次元じゃなくて、まずこの子が安心できる話題を一個見つけないと始まらないやつだ、と。で、思い出した。プロフの柴犬と、メッセで一行長くなってたあの感じ。
「いちばん大変な子ってどんな子ですか」でスイッチが入った
ダメ元で、仕事の入り口をもう一段だけ具体的にした。「トリミングって、暴れる子とかいるんですか? いちばん大変なやつ」。これがスイッチだった。
コハル、顔が一瞬で変わった。さっきまで消えてた語尾が、急にはっきりする。
いますいます。シャンプー死ぬほど嫌いな子とかいて、お湯見た瞬間に逃走するんですよ


逃走。笑 濡れる前から察するんだ。
察します。あの子たち、めちゃくちゃ賢いんで。あとドライヤーの音で固まる子もいて、その子は私が歌いながらやると落ち着くんですよ


歌うの。笑 なに歌うんですか
童謡です。なんでか童謡だと落ち着くんで……あ、私いま喋りすぎてますね

ここで一回、本人が「喋りすぎ」って我に返ったのが面白かった。けど、もう遅い。一回スイッチ入ると、止まらない。さっきまで一往復で死んでた会話が、犬猫の話になった途端に三往復、四往復と続いていく。同じ子とは思えないくらいだった。
俺はもう、聞く側に回ることにした。へえ、とか、それで?、とか相槌打ってるだけで、コハルが勝手にエピソードを出してくる。トイプードルのカット失敗して飼い主に泣かれかけた話、保護猫を一匹引き取って今は太りすぎて病院通いの話、犬種ごとの性格のクセ。情報の密度が、人見知りモードのときの十倍くらいあった。

さっきまで「そう、ですね」しか言ってなかった子っすよね?

同じ子。笑 好きなもんの話だけ、別人格が出てくるタイプだった。
スマホの中が、ぜんぶ動物だった
話の流れで、「その太った保護猫、見たい」って言ったら、コハルがスマホを出した。これがもう、開けてびっくり。カメラロールのサムネが、画面いっぱい、上から下まで全部動物。犬、猫、たまに鳥、また犬。自撮りとか風景が一枚もない。笑
これがうちのモチ(猫)です。これが今日担当した子で、これがサロンの看板犬で……


待って、スクロールが終わらない。何枚あんのこれ。
えーと、たぶん一万枚は……あ、引きました?(笑)


引いてない引いてない。むしろ清々しいって。人間ゼロじゃん。笑
「引きました?」のところで、ちょっとだけ上目で確かめてくる感じが、さっきまでの人見知りの名残だった。たぶん、この子はこの「動物しかない自分」を、過去にどっかで引かれた経験があるんだろうなと思った。だから先に確認してくる。俺が普通に面白がってるのが伝わったら、コハルはほっとしたみたいに、また動画をどんどん見せてきた。
太った猫のモチが、椅子から飛び降りようとして距離を測り間違えてる10秒の動画を、二人でゲラゲラ見てた。気づいたら、最初の無言の30分が嘘みたいだった。可愛い、っていうのは犬猫に対してずっと言ってたんだけど、その犬猫を見せてるときのコハルの、子供みたいに笑う顔のほうが、正直ちょっと可愛かった。それは言わなかったけど。
動物の話以外も、ぽつぽつ出てくるようになった
カフェを出て、なんとなく下北をぶらぶら歩いた。歩きながらだと、コハルはさっきより喋れるようになってた。一回スイッチが入って気が緩んだからか、犬猫以外の話もぽつぽつ混ざってくる。
私、ほんとに人と喋るの苦手で。サロンでも飼い主さんとは犬の話しかできないんですよ


でもそれ、仕事だと最強じゃないですか。犬の話なら無限にできるんでしょ。
それはそう(笑)犬挟むと急に喋れる。今日もアキさん、犬から入ってきたから


あー、バレてた。笑 最初のメッセ、けっこう考えたんですよ。
なんでアプリ始めたんすか、って聞いたら、コハルの答えがこの子らしかった。「職場が女ばっかで出会いがなくて、でも合コンとか相席屋とか、ああいうの絶対無理で」。人がいっぱいいる場所も、初対面が複数いる場所も全部ダメ。一対一で、しかも先に相手のことが少し分かってる状態じゃないと、最初の一歩が踏めないらしい。タップルみたいに趣味タグで「この人は動物の話できそう」って先に当たりがつくと、そこだけはハードルが下がるんだ、と。
俺も正直に、「最初の30分、塩だったから今日ハズしたと思ってた」って言ったら、コハルは「すみません、いつもそうなんです……」って本気で謝ってきて、そのあと「でも今日は、犬の話してくれたから」ってちっちゃい声で付け足した。お世辞を言うタイプじゃないのは、ここまでの不器用さで分かってたんで、その一言は妙に効いた。
「次は実物のモチ、見ます?」で解散
夕方になって、コハルは「私、夜は猫の世話があるんで」ってきっぱり帰る時間を引いてきた。猫優先。これはこの子だと当たり前すぎて、もう笑うしかなかった。
別れ際、こっちから次を匂わせる前に、コハルのほうから言ってきた。
あの……今度、実物のモチ、見ます? 動画より100倍たるんでるんで


見る見る。それ完全に次のアポじゃん。笑 ちゃっかり誘ってきたな。
あ……今のなし。恥ずかしい(笑)

人見知りの子が、自分から次の約束を、しかも猫を口実に切り出してきた。これがこの日のいちばんの収穫だったと思う。手は出してないし、その空気でもなかった。最初の無言の30分を一緒に越えた子に、初日でぐいぐい行く理由が俺の中になかったし、コハルのほうも「実物のモチ」っていう自分のペースで次を作ってきたんで、急ぐもなにもなかった。その日はそれで解散。
動物の話を出すまでの30分はほんと長かったし、出さなかったら塩のまま終わってた気もする。会う前にプロフの柴犬っていう入り口が一個見えてたのは、今日に限ってはデカかった。どのアプリでどんな子と会ったかは出会えるアプリのランキングに全部まとめてあるんで、よかったら。
- 余裕のある大人の子が多い印象だから、変な探り合いが少なくてやり取りが楽だった
- 「会う前提」で繋がる空気だから、いいなと思った子とも上品なまま話を進めやすい
- 下見だけなら無料。本気で会いに行くなら、男は有料で動くのが結局いちばん早かった
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その後。次の犬の動画が、定期便で届く
帰りの電車で、コハルから先にLINEが来た。今日の挨拶……かと思いきや、いきなり動画だった。たるんだ猫のモチが箱に入りきってないやつ。文章なし、動画一本。笑
そこからは、ほぼ毎日コハルの撮った犬猫の動画が定期便みたいに届くようになった。「今日担当したトイプー」「サロンの看板犬が寝てる」「モチが落ちた」。最初の頃の人見知りはどこへやら、動物経由だと俺にもガンガン送ってくる。たまにこっちが「で、コハルさん自身は元気なの」って聞くと、急に「あ、はい、元気です……」って一行に戻るのが面白い。本人の話になると、まだちょっと固い。
返信の温度感は、相手が誰でも基本そんなに変えてないつもりで、その辺の考え方はLINE攻略まとめに書いた通り。コハルの場合は、こっちから話題を探さなくても向こうが動物を投げてくれるから、そもそも気を遣う隙がない。楽だった。
ちなみに同じタップルで会った専門職だと、こっちの口元をプロの目で見られて落ち着かなかった歯科衛生士の回も、なかなか変な汗かいた夜だった。あと「仕事のリズムで会う日が決まる」って意味だと、明け休みを縫って会いに来てくれた看護師アンナの回とちょっと近いものがある。よかったら。
実物のモチを見に行く日は、来週末で仮押さえ中。コハルから「モチ、その日めっちゃ機嫌いいといいんですけど」って、本人より猫のコンディションを心配するLINEが来てて、相変わらずだなと思った。まあ、その日に会えたらまた書きます。
会った後の流れまで、次に読む。
アプリで会ったあとに失速しないように、連絡、待ち合わせ、次のデートへ繋がる記事を置いています。


