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【イククル 仙台】出張当日の「会える日」検索から、国分町の横丁で27歳と

【イククル 仙台】出張当日の「会える日」検索から、国分町の横丁で27歳と
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NIGHT REPORT / 仙台

イククル 仙台出張当日の「会える日」検索から、国分町の横丁で27歳と

出張の前の晩にイククルの仙台の板へ置いた募集は、朝になっても一通も返らなかった。代わりに動いたのは新幹線の中で開いた「会える日」のほうで、信用金庫の窓口のミユ(27)から一通。文化横丁からいろは横丁へ渡って、国分町の大箱には入らずに終わった夜の話。

イククル 仙台仙台読了 14分
01 ENTRY入口を作る02 PLACE仙台で動く03 VIBE空気を読む04 NEXT次へ繋ぐ
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TYPEミユ 27歳
信用金庫の窓口
PLACE仙台
現場
HOOK現場感を
そのまま読む

今回はイククルで仙台の話。出張が一泊で入って、金曜の夜が丸ごと空いた日だわ。結果のほうを先に置いとくと、その夜は文化横丁といろは横丁を一軒ずつ渡って、国分町の大箱には一歩も入らないまま、いい雰囲気のところまで行った。相手は信用金庫の窓口をやってる27歳、ミユ。

東京駅を出て10分くらいのところで、イククルのエリアを宮城に切り替えた。前の晩に一回だけ、仙台の板に短い募集を置いてある。それの返事を見るつもりで開いたんだけど、自分の書き込みはもう板のずっと下のほうにいて、返事の欄は空のまま。指を止める理由がなくなって、そのまま「会える日」の欄に移った。この夜が動いたのは、結局こっちの欄だった。

Scene 01

前の晩の募集は空のまま、「会える日」に切り替えた

先に、沈んだほうの話をしとく。木曜の23時前、風呂上がりに仙台の板を開いて、「まずは食事から(ピュア)」のジャンルにエリアを宮城で指定して、四行書いて、スマホを充電器に挿した。

金曜の夜、仙台駅の近くにいます。一泊だけの出張です。19時以降ならいつでも動けます。一軒目だけでも付き合ってくれる人がいたら。

四行とも事実しか書いてない。無難に置けたつもりではいた。で、金曜の午後、新幹線の中で開いたら反応ゼロ。上に新しい書き込みがどんどん積まれて、俺の四行は画面を三回スクロールしないと出てこないところにいた。5ptで最新に掲載し直す機能もあるんだけど、押さなかった。前に何回か押して上に戻したことはあるけど、それで返事が増えた覚えがない。

出張先の板って、地元の板とは人の動き方が違う。東京の板は時間帯で表情が変わるけど、仙台の板は曜日で変わる感じで、木曜の23時はそもそも新着が薄かった。あとから思えば、あの時間に置いたこと自体が筋が悪かった。ただ、そこを直しに行くより、俺は別の欄に移ったほうが早いと判断した。

その欄が「会える日」。公式の料金表だと出張検索とも書いてあるやつで、名前のとおり出張で動く人間のための欄だわ。会いたいメッセージを送るのに1pt。

アキ
アキ

板は置いといて、会える日のほうで探すわ。

コウ
コウ

新幹線の中でやることっすか、それ

アキ
アキ

移動の1時間半、他にやることないだろ。笑 着いてから探すより、着く前に投げとくほうが夜が長く使える。

アキ
アキ

ちなみに前の晩の募集は、この時点でもまだ空だわ。

イククルは俺の中では四枚目のカードで、PCMAXを先に使ってて、半年遅れで入れた口座みたいなもんなんだけど、出張が入った週だけは開く順番が一番手に繰り上がる。理由は単純で、俺の使い方だと板も会える日も「何日にどこにいるか」ありきで回してるから。来月どこかで会いましょう、という速度の場所では、一泊の出張は間に合わないんだよな。

板そのものの見方——エリアを絞ってから一番上の投稿が何分前かだけ見る、っていう開き方についてはイククルの掲示板の使い方を書いた回に全部並べてある。あの回は地元の板の話で、今回みたいに自分が余所者になる夜の話は入ってない。

Scene 02

ミユから一通。返すのに7pt使った

会える日の欄を開いて、金曜の仙台で会えそうな人を探していく。俺がここでいちばん時間を使うのはプロフのほうだわ。

三人目に開いたプロフがミユだった。自由欄が二行しかない。

休みは金曜です。人混みが苦手なので、静かなところが好きです。

二行。写真は横顔で、顔はほとんど写ってない。こういうプロフ、以前は飛ばしてた。情報が少ないと一通目に書くことが無いからな。ただ、この二行は妙に手触りがあった。「休みは金曜」って書いてる人は、本当に金曜が休みなんだよ。嘘をつく理由がないところに一個だけ具体が置いてある。

アキ
アキ

一行目が曜日なんだわ。こういうの、わりと当たる。

会いたいメッセージを、この日に重なった何人かに送った。1ptずつ飛んでいく。仙台の手前、福島のあたりを走ってるときに、一通返ってきた。通知が出たのと同時に開いた。

ミユ

はじめまして。金曜なら空いてます

ミユ
ミユ

何時に着きますか

ミユ

一行目が挨拶、二行目が質問。三行目は無い。絵文字もゼロ。人によっては塩に見えるやつだけど、この二行には答えるべきことしか書いてなくて、俺はここでメッセージを送った。イククルはこの一通が7pt。送る前に、プロフの自由欄の二行をもう二回読んだ。7ptかかると思うと、打つ時間より読み返す時間のほうが長くなるんだよな。

アキ
アキ

17時半に仙台駅です。ホテルに荷物置いたら19時には出られます。

ミユ

19時ですね

ミユ
アキ
アキ

横丁、前に一回歩いただけなんですけど、一人で入れる店ってあります?

ミユ

入れます。むしろ一人のほうが入れます

ミユ

ここで初めて、聞かれたこと以上の一文が返ってきた。それまで答えるべきことしか書かなかった人が、店の話で一文足してくる。この時点では気に留めなかったんだけど、あとで嫌というほど分かることになる。

ミユ

駅で待ち合わせじゃなくても大丈夫ですか

ミユ
アキ
アキ

どこでも。地下鉄も乗れます。

ミユ

文化横丁の入口にします。アーケードから一本入ってすぐのところ

ミユ
アキ
アキ

了解です。それなら俺でも辿り着けます。

どういう人なのかは、文化横丁の入口に立って初めて知ることになる。板から入った夜もだいたいこうなるんだけど、会える日の欄は「その日に会う前提」が先に立ってるぶん、余計な工程がもっと削れる感じがある。

ひとつだけ意外だったのが、待ち合わせを向こうが指定してきたこと。仙台駅に着く人間に対して駅を避けてくるのは、地元の人間の発想だわ。駅前は人が多い。人混みが苦手ですって自由欄に書いてあった二行目が、ここでちゃんと効いてた。

Scene 03

文化横丁のカウンターは、声の小さい人向けにできてなかった

17時半に仙台着。ホテルに荷物を放り込んで、18時50分にはアーケードにいた。中央通りから一番町のほうへ歩いて、右手に細い口が開いてるのが文化横丁。地元では「ぶんよこ」なんて呼ばれてるらしい。一歩入ると、天井が低くなったみたいに音の響き方が変わる。間口の狭い店がびっしり並んでて、ほとんどがカウンターだけの造り。老舗の居酒屋と、若い人がやってる小さいバーが隣り合ってる。

入口のところに、紺のカーディガンの女の人が立ってた。スマホは持ってるけど見てない。俺が近づいたら先に顔を上げた。

アキ
アキ

ミユさんですか。アキです。

ミユ

……はい。ミユです

ミユ
アキ
アキ

すいません、もう一回いいですか。笑

ミユ

ミユです。声、通らなくて

ミユ
アキ
アキ

じゃあ店の中はもっと無理そうだわ。笑

ミユ

近くで喋ります

ミユ

さらっと怖いことを言う人だな、と思った。言い方はまったく平坦で、口説きにも冗談にも寄ってない。事実の申告として近くで喋りますと言ってる。

入ったのは、ミユが「ここが空いてます」と言った一軒。カウンターが七席くらいで、あとは壁。奥に二人分空いてて、そこに並んで座った。文化横丁は客同士より客と店主の距離が近い路地で、注文も会話も全部カウンター越しに飛ぶ。

店主
店主

二人ね。じゃあ奥のほう詰めてもらえる

ミユ

あ、はい

ミユ

肩が触れる距離になった。狙ったわけじゃなくて、単に店がそういう幅でできてる。宮城の酒を一杯ずつ頼んで、突き出しの小鉢が出てきて、そこからしばらくは俺が質問して、ミユが短く答える時間だった。

信用金庫の窓口を五年。地元は仙台じゃなくて、宮城の内陸のほう。高校まで向こうにいて、就職で仙台に出てきて、そのままこっちに住んでる。喋り方は静かで、語尾を伸ばさない。そのうえ声量がとにかく小さくて、俺は三回に一回くらい聞き返してた。

アキ
アキ

窓口の人って、一日中喋ってるイメージあったんですけど。

ミユ

マイク使ってます

ミユ
アキ
アキ

ずるいな。笑

ミユ

よく言われます

ミユ

ここで初めてミユが笑ったんだけど、これがびっくりするくらいでかかった。喋り声はカウンターの端まで届かないのに、笑い声だけは店の一番奥の客が振り返るレベルで響く。本人はそのあと普通の音量に戻って、小鉢の里芋をつついてる。

アキ
アキ

いま、笑い声だけ別の人だった。

ミユ

それも言われます

ミユ
アキ
アキ

喋る声より笑い声がでかい人、聞いてる側は楽なんだわ。ウケたかどうかが一発で分かる。

一軒目のあいだ、俺は横丁の話をほとんど振らなかった。というより、振るだけの知識がない。この路地のことは、隣で里芋をつついてる人のほうがよっぽど詳しい。

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Scene 04

いろは横丁の立ち飲みで、急に案内役が出てきた

一杯半で店を出た。文化横丁は長居する路地じゃないと思ってて、というのは単純にカウンターが狭くて、次の客が入口で待ってるのが見えるから。外に出たところで俺が次をどうするか聞いた。ここから、この夜がはっきり変わった。

アキ
アキ

次どこ行きます?

ミユ

いろは横丁。立ち飲みのほう

ミユ
アキ
アキ

即答だな。笑

ミユ

歩いて3分です。アーケード戻って、手前の口から入ると近い

ミユ

声の音量が、明らかに一段上がってた。さっきまで俺が二回聞き返してた人が、道順を喋ってる。しかも一文が長い。店と道の話になった途端に、この人は案内役の側に立つ。

壱弐参横丁——読みは「いろは」——は、文化横丁から歩いてすぐ、これもアーケードの脇にある。入った瞬間に温度が違う。文化横丁が静だとしたら、こっちは完全に活気のほうで、立ち飲みとせんべろ系が並んでて、客層も若い。グループも一人客も同じカウンターに雑に混ざってる。

ミユ

そこじゃなくて、もう一本奥。手前は座れないので

ミユ
アキ
アキ

詳しっ。

ミユ

近所なので

ミユ
アキ
アキ

近所の人、頼りになるわ。俺、一人だったら手前で立って終わってた。

ミユ

一杯だけならここが早いです

ミユ

入った店は、立ち飲みのカウンターがコの字に回ってて、真ん中で店員が回してる造り。椅子がないぶん体の向きが自由で、隣との境目があってないようなもんだった。ミユは俺の左に立って、さっきよりさらに近い。距離を詰めたつもりはお互いに無くて、単にカウンターの幅がそうなってる。

ここでの1時間が、この夜で一番よく喋った時間だった。話題はほぼ全部、店と道の話。どの横丁が何時から混むか、どの筋が抜けやすいか、雨の日はどこが屋根の下か。俺が「へえ」って言うたびに次が出てくる。

アキ
アキ

「一杯だけなら」って言い方するんだ。

ミユ

二杯目は隣で飲めるので

ミユ
アキ
アキ

それ、はしご前提じゃん。笑

ミユ

はしごする街なので

ミユ

この返しで一回、俺のほうが黙った。観光の人向けの説明じゃなくて、自分の生活の手順としてそう言ってる。東京から来た人間が半日で覚えられる情報じゃないんだよな。

酒が二杯目に入ったあたりから、店と道以外の話も出てきた。窓口の待ち時間が長い日の話、同じ人が毎週同じ曜日に来る話、通帳の記帳だけしに来るおじいさんの話。声は相変わらず小さくて、俺は身体ごと左に傾けて聞いてた。で、俺がそのおじいさんの真似をしたところで、また例の笑い声が出た。今度は立ち飲みだから、店の半分が振り返った。

ミユ

……すみません

ミユ
アキ
アキ

謝るとこじゃないでしょ。笑

ミユ

会社の飲み会で怒られたことあります

ミユ
アキ
アキ

その上司とは合わないわ。

ミユ

合わないです

ミユ

このへんで、肩が当たったまま離れなくなってた。立ち飲みは体の向きが自由だから、向きが変わらないってことは、そのままでいいと思ってるってことなんだよな。空気が変わったのは、たぶんここ。俺が何かしたというより、二軒目の幅がそうさせた。

Scene 05

稲荷小路を抜けて、国分町の通りは端まで歩いただけ

21時を回って、外に出た。いろは横丁を出て北へ歩くと稲荷小路に入る。横丁の路地っぽさとネオン街っぽさがちょうど混ざってるゾーンで、ここを抜けると国分町。仙台の夜は、文化横丁の静からいろは横丁の活気、稲荷小路で切り替わって国分町へ、という三段の助走で組むと一番きれいに流れる——というのは俺が前に仙台の横丁と国分町の歩き方をまとめた回で書いた道順で、あの回には金土と祝日前は相席ラウンジのほうが男一人だと通してもらえない、という条件も入れてある。この日は金曜で、しかも仙台には一人で着いてる。相席ラウンジの線は、新幹線を降りた時点で消えてたわ。

で、国分町通りに出た。週末の21時過ぎで、人は出てるけど東京みたいに肩がぶつかる密度じゃない。客引きが何人か立ってて、当然ついていかない。俺は通りを端まで一回歩くつもりでいて、実際に歩いた。歩いただけで終わった。

コウ
コウ

大箱、ほんとに入らなかったんすか

アキ
アキ

入らなかった。通りの入口でミユが足を止めたんだわ。

ミユ

この先、うるさいですよ

ミユ
アキ
アキ

うるさいの苦手?

ミユ

今日は苦手です

ミユ
アキ
アキ

じゃあ引き返すか。

「今日は」の二文字が入ってるのが良かった。うるさいのが嫌いな人ですという自己申告じゃなくて、今日の話をしてる。俺はこういう言い方をされたら素直に従うことにしてて、乗ってこないなら引くし、引き返そうと言われたら引き返す。

引き返す途中で、国分町の北の端の定禅寺通に出た。ケヤキ並木が両側に立ってる広い通りで、9月の夜はもう風がひんやりしてる。人はまばらで、さっきまでの横丁の密度が嘘みたいに静かだった。並木の下を、駅のほうへ向かってゆっくり歩いた。

前に仙台に来たときは、横丁を一本も通らずに国分町の地酒の立ち飲みに直で入って、黒板に並んだ銘柄を眺めるところから始まった夜だった。あれは国分町に直で入った夜のほうに全部書いてある。同じ街なのに、入口を変えただけで歩く道が丸ごと変わるのが面白い。今回は国分町を目的地にしないまま、端まで行って戻ってきた。

並木の途中でミユが立ち止まって、こっちを見上げた。声はやっぱり小さくて、一回聞き返した。二回目は聞こえた。そこから先はいつも俺が手を止めるところなんで、今回も同じところで止めとく。いい雰囲気だった、とだけ。

Scene 06

五文字の「気をつけて」から始まった二週間

ミユとのトークを一番上まで戻すと、最初にあるのは翌朝の新幹線で届いた「気をつけて」。五文字。絵文字なし。アプリのメッセージのときと何も変わってなくて、あのときは座席で笑ったわ。

その下に続く二週間ぶんも、ずっとこの調子。俺が三行送ると、一行返ってくる。既読はだいたい即なのに、返事は夜まで来ない日がある。最初は距離を測りかねてたんだけど、何日か続けるうちに、これがこの人の標準速度なんだと分かってきた。返信の長さと機嫌が連動してないタイプの人っている。

例外が一個あって、店の話を振ったときだけ文字数が三倍になる。「今度行きたい」って写真を送ったら、その店の並びと、隣が何時に閉まるかと、入るなら何曜がいいかまで返ってきた。窓口で一日喋ってる人が、通帳の話より店の場所の話のほうが速い。

アキ
アキ

11月にまた仙台行くかもしれない。

ミユ

了解

ミユ
アキ
アキ

了解だけ?笑

ミユ

日にち決まったら教えてください。店、押さえます

ミユ
アキ
アキ

ほら増えた。店の話になると増えるんだって。

ミユ

増えてないです

ミユ

11月の出張は、いまのところ第三週で入りそうな気配だわ。日にちが固まったら連絡する。

前の晩に仙台の板へ置いた四行は、結局一通も拾われないまま下へ流れていった。

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思い出すのは横丁の音でも国分町のネオンでもなくて、立ち飲みのカウンターで俺が身体を左に傾けてるときの、あの音量だわ。「はしごする街なので」。地元の人が当たり前の顔で言う一行が、いまだに耳の中で小さいまま残ってる。

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読み終わったあとに動きやすいように、連絡、街での流し方、次の場づくりに近い記事を置いています。

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アキ
ナンパ歴10年ちょい。アプリ・ストナン・相席・遠征までなんでも行く30代。実際に行って出会って、どうなったかをそのまま書いてます。